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ハードSFの世界から「プランク・ダイヴ」

<SF(20歩目)>
ハードSFの巨匠は沢山の問題提起をしてくれます。読んだ後で考えることが多い。

プランク・ダイヴ
グレッグ・イーガン (著), 鷲尾直広 (イラスト), 山岸 真 (翻訳)
早川書房

「20歩目」はハードSFバリバリの作品で、人間というものを考えながら、最新の物理化学や生命工学の進捗を学べます。

作者のグレッグ・イーガンさんは、まさにオーストラリアが産んだSF界の大御所です。

SF者(モノ)の世界では、科学技術にかかわる言及が多い正統派のハードSFの旗手とされています。

しかし、イーガンさんの作品は「コアとなる技術」は最新の科学論文集の通読から得ているものですが、テーマは「人類愛」です。
まさに「愛(love)」が詰まった作品が殆どです。

今回紹介する作品は、イーガンさんの作品の中ではマイナーですが、短篇集として各種の科学分野が盛り込まれていて、おススメです。

昨日の紹介に記載した「わたしを離さないで」にも記しましたが、8篇の短篇のうち「エキストラ」はクローン技術にかかわる問題提起です。

山中伸弥先生の講演の中では、まさに「直登ルート」とされる技術にかかわる話です。
※あるいは、「倫理規定」でボルト・アブミが禁止されている中で、ガンガンボルトを叩きこんでとりあえず「登る」にあたる。

この問題点をイーガンさんは、1990年に提起している。
科学技術の進化には、「戦争」も大きくかかわるのですが、「格差」も大きな要因となります。

1990年当時も、「不法な臓器移植」が話題になっていました。悲劇として、そして極悪犯罪として。

その時に、いずれ「格差」が拡大すると、「命」のために「エキストラ」の世界に移行することを予想しての作品を34年前に提起されたと思います。

この技術が、現在「突破」されつつある。
次代が追いついてきたのですが、ここで「オリジナルっていったい何!?」を考える契機になると思います。

また、「クリスタルの夜」も2008年に発表されていますが、人工知能については15年程度で追いついてきています。
※この作品同様になるには、あと「〇〇年」かかるとは思いますが、ここで提起する問題は間近です。

色々な意味で近未来を考える契機になる作品で、深い「愛(love)」が注入されています。

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