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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#真実

ヴァ―ツラフ・ハヴェル「力なき者たちの力」人文書院

ヴァ―ツラフ・ハヴェル「力なき者たちの力」人文書院

元チェコスロバキア大統領ヴァ―ツラフ・ハヴェルについてほとんど知るところがなかったのだが、NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」で彼と伝説のロッカー「ルー・リード」との関係を知って、引き寄せられるようにこの本に出会った(「100分で名著」でも2年前に扱われていたことを今になって知り、読んでみたが、ルー・リードとの関係にはまったく触れていなかった)。

「バタフライエフェクト」によるとハヴェルと

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栗山民也「演出家の仕事」岩波新書

栗山民也「演出家の仕事」岩波新書


・「アウシュビッツという場所が恐ろしいのではない。こういう場所があったということの人間の記憶を消し去ることこそ恐ろしいのだ」
 至言である。記憶から目をそらしたまま、いくら「未来志向」とかいってたって、それは偽善でしかない。。真剣なコミュニケーションではないのだ。この本でとりあつかっていることは<演劇>にとどまっていない。

・「演出に必要なことは何か」 
 「聞くこと」 ・・・・・ 何を聞くの

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泉谷閑示「『普通がいい』という病」講談社現代新書

泉谷閑示「『普通がいい』という病」講談社現代新書


健常者と異常者の境目とは何なのか?
中原中也は「病的である者こそは、現実をしっているように私には思える」といっているように、正常を約束しているものは世間一般の常識などに過ぎない。

「ノラの家」で最後にノラが「妻、母親である以前に自分自身に対する義務」をもって家を出て行くとき、夫は「きっと病気だな、正常ではない」と切り捨てる展開も同じコンテキストだ。

健康にこだわっていること自体が実は非健康的

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富板敦編 鶴見俊輔著「鶴見俊輔語録1 定義集」

富板敦編 鶴見俊輔著「鶴見俊輔語録1 定義集」

尊敬する哲学者!鶴見俊輔の語録!共感の嵐!
「刺さる言葉」に一言ずつ感想だけ添えます。

「悪は学問の母である。悪人の身に備わる合理性に着目し、そこから学び、それと競争する智慧の必要がわかる」
国家権力はそういう智慧の芽をつみ取ろうとするよなあ・・・。

「unlearn(学びほどく)」
著者はこの言葉を18歳の時にニューヨークの図書館でヘレンケラーに会い、手の通信で直接聞いたらしい。学んだことを

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ジャン・コクトー「COCTEAU コクトー詩集」はるぶ出版

ジャン・コクトー「COCTEAU コクトー詩集」はるぶ出版

訳者は堀口大学だ。それにしても難解な文章・・・読んでみて、「ああこれは読み物じゃないんだ」ってことに気付いた。彼はデッサン画家としても大変な力をもっていた。ピカソからも評価をうけていた程の腕だ。これは絵画なのだ。詩を言語という絵具で描いているのだ。彼は詩を書いてもすぐにその詩に背を向け、反対の方向に歩き出したという。彼の詩にはストーリーがない。つまり皮の部分がなく、実だけが存在している。すべてが比

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