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「走姿顕心」を観戦するということ。

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陸上長距離(トラック競技、駅伝、マラソン)の魅力について、主にドラマを見るような感覚で、お届けします。
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"箱根から世界へ" を観るために

"箱根から世界へ" を観るために

「箱根から世界へ」

毎年、箱根駅伝のTV中継をスタート前から見ている人なら、必ず聞いたことがあるはずの言葉だ。

1月2日の往路、そして1月3日の復路のテレビ中継では、かなり早朝から前番組が始まる。注目選手のストーリーや監督のコメントなどが流れる直前番組の時間は1時間くらいだっただろうか。そこから一転、いよいよ選手が並び始めるという時間になると、画面の向こうの雰囲気がガラリと変わる。そして、号砲

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「応援したいから、応援に行かない」箱根駅伝 2021

「応援したいから、応援に行かない」箱根駅伝 2021

箱根駅伝復路、10区の選手が鶴見中継所を出てしばらく走ったあたりの沿道で声援を送る。これが、毎年1月3日の恒例行事だった。トップの写真は、まさに去年(第96回)箱根駅伝の応援の際に使った旗だ。

選手が走る第一京浜沿いに、長男保育園時代の友人の家があり、ママ友パパ友が集まって応援し、その後は新年会に突入する。新年で一番楽しい時間。友人の母は、毎年家から箱根駅伝を見ているだけあり、選手や大学の歴史に

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やる人も観る人も盛り上がる、陸上競技の新しいカタチ、バーチャレを応援します!

やる人も観る人も盛り上がる、陸上競技の新しいカタチ、バーチャレを応援します!

3月頭の東京マラソンを最後に、「陸上競技を見る時間」が、まるっと消えてしまった今年の前半。陸上競技観戦を趣味に挙げ、陸上について書き綴りたいがためにマガジンまで作っている私にとって、「一体、何を励みに、日々過ごせばいいんだ!?」というレベルの喪失感でした。

とはいえ、私は陸上競技をする当事者ではありません。当事者ではないのに、陸上競技を見られない寂しさを漏らすのも…という気もして、やるせない気持

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その一瞬に書ききれないほどの思いがある

その一瞬に書ききれないほどの思いがある

*読みやすさのために、選手名は敬称略で書いております。心の中ではいつでも「さん」または「選手」と読んでおりますので、皆様も心の中で補完していただけたら!

今年の箱根駅伝が終わった後、もう何も考えられないくらいぼーっとした。

早い展開に目が離せなかったから?

それももちろんある。でも、一番の理由は「追いかけたい選手が多すぎて、目も耳も頭も常にフル回転だったから」だ。

応援しているチームは昔か

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MGC前夜、一番思い出した選手のこと

MGC前夜、一番思い出した選手のこと

2020年の東京オリンピック、マラソン日本代表。
3枠中の2枠が、今日決まります。

9月15日(日)のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に向けて、連日特番やMGC関連のニュースが流れています。

やはり注目が集まるのは有力選手。
男子なら、大迫傑(日本記録保持者)、設楽啓太(前日本記録保持者)、井上大仁(2018年アジア大会優勝)、服部勇馬(2018年福岡国際マラソン優勝)の4選手に関

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目の前にあるスピードが魅せるもの

目の前にあるスピードが魅せるもの

陸上競技の魅力を伝えるにはどうしたらいいんだろう? ということを常々考えている私ですが(注:陸上関係者ではありません)、余計な言葉などいらない瞬間もあるよな、ということを実感する出来事がありました。

「陸上選手の本気の走りは、ただそれだけで人を惹きつける。」

その瞬間を教えてくれたのは、小学3年生の長男でした。

特にスポーツはしていないけど、友達と走り回って遊ぶのは好き。
かけっこは早いほ

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続く物語としての箱根駅伝 |14秒の先に

続く物語としての箱根駅伝 |14秒の先に

「14秒」

2018年(昨年)の箱根駅伝におけるこの数字の意味。
箱根駅伝好きな人なら、すぐ気付くことでしょう。
箱根を目指す大学によって大きな意味を持つ「シード権」のボーダーをわけた14秒です。

激しいシード権争いが繰り広げられた復路。7区を終えた時点で11位、シード権の当落線上ギリギリで、落の側の位置を走っていたのが順天堂大学でした。8区、9区… 少しずつ10位との差が縮まってアンカーに襷

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続く物語としての箱根駅伝

続く物語としての箱根駅伝

2019年の箱根駅伝が終わって2週間。
当日の写真や報道記事などでしばらく賑わっていた私の駅伝用Twitterアカウントも、すっかりいつもの静けさとなってしまいました。

寂しい…。今年は、「#箱根ロス」というハッシュタグもかなり盛り上がったようですが、今の私はまさに箱根ロス。

でも、そんな情報量が少ない時こそ、積極的に発信をして、興味を持ってもらい、陸上長距離観戦の裾野を広げたい!そんな勝手な

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「スピード軍団、初Vへ」 東海大学の挑戦

「スピード軍団、初Vへ」 東海大学の挑戦

2019年1月2日午前8時。
第95回箱根駅伝がスタート。

毎年テレビの前に7時前にはスタンバイし、事前番組からきっちりとチェックするというスタイルを10年続けてきましたが、今年はアメリカ在住で時差もあれば、リージョンの問題でネット配信も見られないため、速報とツイッターを駆使してレースを追う予定です。

応援するチームは箱根駅伝観戦を始めてからずっと変わらず東海大学。
黄金世代と呼ばれる現3年生

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そのゴールが終わりではないとしても

そのゴールが終わりではないとしても

「どうか笑顔でゴールできますように。」

去年の箱根駅伝でそう祈った選手がいる。
10年以上応援している東海大学で10区を走った、川端千都(かわばた かずと)選手だ。

ここ2年の東海大学は、「黄金世代」と言われる現3年生たちに注目が集まっていた。もちろん、彼らの活躍は目を引くし素晴らしい。2017年の出雲駅伝では、6区間中5区間をこの黄金世代が走って、結果見事に優勝した。

川端選手はこの時の出

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全日本大学駅伝を愛知県出身者の目線から

全日本大学駅伝を愛知県出身者の目線から

11月4日の日曜日、全日本大学駅伝(正式名称:第50回 秩父宮杯 全日本大学駅伝対抗選手権記念大会)が開催されました。

10月の出雲駅伝、新年1月2日・3日の箱根駅伝とあわせて、学生3大駅伝のひとつである全日本大学駅伝。その名の通り、全国から選抜された大学が出場するので、関東の大学しか参加できない箱根駅伝とは異なり、大学日本一を決める大会となるのです。

駅伝と名のつくもので公共放送の電波にのる

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スポーツ観戦の選択肢に「陸上長距離」を

スポーツ観戦の選択肢に「陸上長距離」を

「スポーツ観戦するなら何?」という話になった時、私は内心ドキドキします。野球、サッカー、この辺りは王道。女性ならフィギュアスケートも話が盛り上がりやすい気がします。テニス、バスケットボール、バレーボールなどは、自分の経験とつなげて挙げる人も多いでしょう。日本ではあまり観戦人口は多くないかもしれないけれど、アメリカンフットボールもスポーツ観戦としては王道で、好きな人が語る熱量がすごいスポーツだと思い

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