note_箱根駅伝

MGC前夜、一番思い出した選手のこと

2020年の東京オリンピック、マラソン日本代表。
3枠中の2枠が、今日決まります。


9月15日(日)のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に向けて、連日特番やMGC関連のニュースが流れています。

やはり注目が集まるのは有力選手。
男子なら、大迫傑(日本記録保持者)、設楽啓太(前日本記録保持者)、井上大仁(2018年アジア大会優勝)、服部勇馬(2018年福岡国際マラソン優勝)の4選手に関する報道や特集が圧倒的に多いです。

当日活躍が期待される選手について知ることができれば、MGCってよくわからないけどちょっと見てみようかなと思う人が増えるだろうし、実際のレースを見ても楽しんでもらえる可能性が高いから、4強と言われる彼らに集中することは、「まぁそうだよね。」と思います。

でも、前日の昨日、事前番組を見ながら私の頭に浮かんだのは、明日この舞台に立てない一人の選手のことでした。正確に言うと、「MGCの舞台に立つ権利は獲得したのに、立たないという結論を出さざるをえなかったのであろう選手」のこと。


GMOアスリーツ所属の一色恭志選手。
青山学院大が箱根駅伝4連覇したうちの実に3回、エース区間である2区を務めた超実力者(であり、もちろん超人気選手)なので、陸上長距離マニアじゃなくても知っている人が多い選手でしょう。

駅伝ファンの間では、「最後はタックルベリー * に突っ込む勢いで駆け抜けます。」の名言が有名ですが、個人的には全日本大学駅伝で、たすきをつなぐ直前、ラスト向かってくる後輩選手に放った「時計見てる暇あったらダッシュしろ!」が大好きです。

*タックルベリーは2区→3区の中継所にある釣り具店のこと。釣り好きな一色選手らしい名言。


ちなみに私は東海大学応援組なので、彼の印象は「応援したい選手!」と言うよりは「ラスボス」。そんなこともあり、MGC出場権獲得に向け、多くの選手がマラソン大会に挑戦する中で、特に彼に注目していたということは全くなかったのですが、今年の東京マラソンがあまりにも印象的すぎたのです。

MGC出場権獲得まで、あと4秒。
これが東京マラソンでの、一色選手の結果でした。

2時間以上走り続けて、たった4秒届かなかった。その結果を知って、空を仰ぐように顔をあげた姿がとても印象的だったこと。そして、一切の言い訳をせず「結果は出たものなので、これを踏まえて何をするかです。」というTwitterでの発言。ぐっと心を持っていかれました。

MGC出場権をかけた戦いとしては国内最後のチャンスだった東京マラソンで、ギリギリ届かないという結果に、心折れることなく最後まで諦めない姿勢。

ここまでなら、トップレベルのスポーツ選手であれば、そこまで珍しいシーンではないかもしれません。でも、彼は実際に「諦めずチャレンジすることで、最後の最後にチャンスを掴み取った」のです。

最後の最後、本当にラストチャンスとなる4月のハンブルグマラソンに出場し、今度はきっちりとタイムを切って、MGC出場権を獲得したのでした。


ここまでの経緯を知っていたからこそ、一昨日の欠場報告が痛いほど響くのです。そして、記者会見の様子を見るたびに、そこにはいない彼のことをぼんやりと考えている自分がいました。


「最後まで諦めない。」

言葉にするのは簡単だからこそ、時に陳腐に聞こえてしまうこのセリフを、「こういうことだ!」とばかりに示してくれた一色選手。(もちろん、そう受け止めているのは勝手ないち陸上好きの想像でしかないのだけれど。)

今日、彼の姿を見ることはできないけれど、次に陸上競技の場に現れた時には、純粋に応援したい選手になっていることは間違いありません。

「必ず戻ってきます。」と言っていた11月3日は、第60回東日本実業団駅伝が開催される日。彼の所属しているGMOアスリーツが参戦を表明した、ニューイヤー駅伝(実業団の駅伝大会)の東日本予選会です。

宣言通り、ここで走る姿を楽しみに待とう! 
私の中でラスボスが「応援したい選手」に変わった瞬間でした。

ちなみにこのGMOアスリーツ、サイトもムービーも非常にかっこいいのです。青学の原監督がアドバイザーである影響も大きそうですが、陸上ファンを増やそうというやる気をひしひしと感じるチーム。そういう点でも応援したいし、陸上よくわかんないけどという人にまずお勧めしたいチームです!

青山学院大の歴代エースが集う青学色強めなチームですが、私が個人的にずっと応援している「国立大陸上選手の星」東大の近藤秀一選手も所属しているのですよ。あと、花田監督(上武大を5年で箱根に導き、その後連続出場を続けた名指導者)も好き。


でも、まずはMGC! 男子は8:50スタート!

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