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小柳とかげ
2021年7月17日 21:02
ふと目が覚めた。頭だけではなく、体までも覚醒していて、いつもの憂鬱な目覚めとは何かが違っていた。体にかけていたはずのタオルケットはお腹だけを守ってくれている。夏の焦燥が私を襲うけど、まだ寝ていても許される時間のはずだ。枕もとのスマートフォンをつけて、通知を確認する。そしてそれらを無視してロックをかけた。その時思い出す、私は時間を確認したかったのだと。だからもう一度あけて五時前であることを見つめた
2021年7月12日 21:40
遠い場所からあの騒々しい音が聞こえる。かと思えば、すぐ隣から耳を刺す。大合奏ではなく、各々が勝手に暴れているだけで、心は踊らない。暑さに心がやられ始めた。 夏はいつだって私を包む。そして、そのまま圧迫して消し去ろうとする。出来る限り抵抗をするのだが、それでもやっぱり痛みが襲う。 あっちぃ。 私は一人、学校の最寄り駅とは名ばかりな十五分間の灼熱を歩きやめたところだった。このままでは溶けてなく
2021年7月8日 19:21
彼と最後に話した日を私は覚えていない。毎日喧嘩をしていたから、きっと最後の日も喧嘩をしていたのだろう。今も彼のことが好きとかそういう可愛い話はないけれど、七夕の時期になると何故だか彼のことを思い出す。地上に雨が降り続けるころ、夜空には大きな川が出来上がる。けれど私は一度もそれを見たことがない。その大きな川は、愛し合っていた織姫と彦星のの中を引き裂く。けれど、年に一回、七夕の日に橋が架かり2人は
2021年7月7日 19:24
一昨日からずっと雨が降っていたのに、何処までも青い空が私を迎えてくれた。雨の中、学校に行くのは骨が折れる。スカートはびちょ濡れで一日中不愉快だし、ローファーはプールに足をつけたのかってぐらい水がたまるから、絶対に履くべきではない。でもまあ、制服は可愛くて好きだけど。 やっぱり、私の願いを叶えてくれたのかな。 去年もその前もずっと七夕の日は土砂降りで、高校近くの神社のお祭りに参加することが出来
2021年7月3日 19:19
視界が赤かった。それは信号の止まれであり、渋滞中の車のテールランプであった。夜の街には赤色が唯一の光のように思えた。 私は屋上にいた。闇の中にいたせいで、ここがどこか分かっていなかった。でも、ここはビル街であり、気付いていなかっただけで明かりはたくさんあった。都会の夜は明るいのだと思った。 室外機の上に座っていると、隣からカップルと思しき二人組の歓声が聞こえた。広い屋上には五組の男女