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小柳とかげ
2021年4月29日 09:26
同じ形の同じ色の一軒家が並ぶ場所。彼らのアイデンティティはどこにあるのだろう。いつも気になるのは、自分の家を説明する時どうやって表現するのだろうということ。同じ家がいっぱいあるところの3つ目?今家主が全員出てきたら、同じ顔してたりしないかな。そうすれば怪談になるのに。電車から見る世界は楽しい。まるでジオラマみたいに作り物で、確かすぎて不確かになる空間が永遠と続くよう。あちらとこちらでは温度
2021年4月27日 08:57
組章が光ると、笑いが漏れた。楽観的なのは僕の悪い所だ。実害はないし、生きていく分にはなんの障害もない。カラッと笑うところが好きだって言ってくれる人も多い。先生にはもっと真剣に考えろと言われるけど、深刻になってる同期を見ると馬鹿だなぁと思う。まあそれも愛おしいけども、自分にはあんな苦しみを課したくない。世界はなるようにしかならない。通天閣が見えそうな駅で遅延していることに苛立つのは無意味だ。ま
2021年4月13日 21:52
無性に泣き出してしまいそうな私は空を飛ぶ蛇のような電車に揺られる。どこかの何かの赤い光を雨はかき消そうとする。こんなに寂しい気持ちになるものなんだと、弱い自分を再発見する。こんなに弱いのか、こんなに弱いのなんてダメだよ、と私は鞭打つことすら出来ない。会えないことに涙が出そうになるなんて知らなかった。それほどに私はあの人のことが好きなのか。それとも、ただの依存か。愛情を注いでくれる人だか
2021年4月8日 21:56
電車は人を吐くガマガエルと成り果てた。真昼の猫の腹の中で眠りにつきそうな長髪の君は、スマホを眺める。来るはずのない電車を知らせる電光掲示板は僕の瞬きよりも早く泥水を啜るペガサスのように点滅していた。こんなことになるのなら、もっとご飯を食べておけばよかった。靴底が早く布団に連れてけと叫ぶけれど、僕は無視をし続ける。爪は光ることなく、血管を潰す。何かを食べたいと虚無に包まれた学生のようなカバンの中
2021年4月6日 16:43
私は動揺している。日々の暮らしの疲れが取れない。心臓より上の胸が痛い。苦しい。思考が暗くなっているようで、何も考えれていない。命は一瞬で尽きていく。なのに、私は無駄な時間を過ごしている。既読がつかないのも、既読が着いてるのに返事が来ないのも両方とも怖くて仕方がない。そんなこと平気な人間だったはずなのに、私はどうしてもどうしても、何か悪いことが起こっているのでは、と考えてしまうんだ。悪いこと
2021年4月5日 23:01
【大教室にて】頭が落ちた人がいる。きっとあれは人もどき。動物に「もどき」と名づけるのは、人間だけでは無いはず。ヒトにももどきがいるだろあ。ヒトっぽいけど、何かが違うもの。この教室には何人のヒトもどきがいるのだろう。【ガイダンスにて】エアコンの音が響く。学生の邪念が走り出す。一人一人の脳裏にあるものがひとつになり映像となる。それがスクリーンに投影されて、目視できるようになった。【風呂場
2021年4月4日 22:43
空が白いのは、誰かが牛乳をこぼしたから。誰かにあの話を聞きたいけど、僕のもとにはそんな人はいない。心が誰かを求めている。それは僕が一人ぼっちだからかな。こんなに世界は広いのに、僕はこんなにも一人だ、なんてありきたりな言葉を思い浮かべては、感傷に浸っている自分がいる。明日になれば、クラスメイトと笑って話す。当然のように、ただただその時間が楽しいふりをして。あの時間は、普通に楽しい。楽し