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役者のたしなみ(サイト&パンフにおけるプロフィール編)

役者をやっている友人知人の中にもプロフィールらしいプロフィールを記載していない人が散見されるのですが、それに関しては「おッ!君は売れる気がないんだね?」という解釈でそっとしておきます。今日の記事は仕事を発展させる気がある人にだけ読んでもらえたら。

演劇を生業にしたいなら

芝居を本業とし、それをメインにして食べていきたいと思うならプロフィールくらい真剣に考えようよと思う。売れたいって言いながらプロフィールのひとつもまともに書いていない役者とか……なにそれ、ねぇ、寝言?

どこの馬の骨ともわからん役者を誰が起用するのか

ある日突然の大抜擢!飛び込んできた大きなチャンス!掴んで一夜にして世界が変わるの!素敵!シンデレラストーリー!?アメリカンドリーム!?

すみませんねぇ。ここはちっちゃな島国・日本でねぇ。舞台?演劇?なんじゃそら?がデフォルトでねぇ「表現」とか「芸術」とか、そういう言葉が使われるようなものにお金も敬意も払われにくい国なんですよねぇ。

そもそも今、あなたはどこに立っている?

茶番はサテオキ。プロフィールとか基本的なデータをまとめた書類とか、単純にこういうのがナイとお話にならないケースの方が圧倒的に多いよね。だって「選考」ですから。

どんな業界も、間口は狭く・競争率は高く・チャンスは少なく・お金にシビア。そういう中でどうやって確実に掴んでゆくか。ちゃんと相手に届くプロフィールを提示しないとそもそもスタートラインにも立てないわけよ。

インターネットがあって当たり前のものになり、スマホが普及して久しく、様々なSNSが登場し、情報の伝達やコミュニケーションもスピーディーで活発なこの時代、スタートラインに立っているのかいないのかすらわからない役者がいまだゴロゴロしているということ。なんなん、そんなん、君ガラパゴス?

基本情報とキャリアについて

プロフィールと言われて一般的にイメージするであろう、基本情報とキャリア。名前・生年月日・サイズ・趣味特技みたいな簡単な情報、出演の履歴や受賞歴などの部分。これらについては難しい話はなくて、誤字脱字に注意することと正式表記・表記ゆれに気をつけること、表記を統一することくらい。履歴書の基本情報と思えばわかりやすいよね。

今より刺さるプロフィールにするために

基本情報は当然として、どうしたってアレヤコレヤ仕込むことは大切です。これ一つで大きな仕事が取れるなんて言うことは無いでしょうけれど、これから記すことを意識するだけでも、まさかあなたが今まで使っていたプロフよりは刺さるプロフが書けるはず。

一般的なプロフィールは基本情報としての役割

極端かもしれませんが、私は基本情報はさして重要でないと思います。もちろんそれを正確に丁寧に記しているかという意味ではとても大切で、姿勢や礼儀、道徳や人間性という意味でチェックされる部分ではありましょう。ただ、情報としては特別に大きな差が出るようなポイントではないということ。

今を見つめる役者、未来を見つめる制作者。

たとえばオーディション。役者は「今回、この作品に出たい!」と今を見つめ準備することでしょう。だけど、企画制作者側は「この作品を上演することでシリーズ化できるか否か」とか「ここから発展させて将来的にもっと大きな規模の公演ができるか」とか、そういう未来のことを考えているわけです。集客力という意味でも、今の動員・集客力も大事ではあるけれど、未来の集客力という部分まで視野に入れているものです。(そうでない制作者もたくさんいるでしょうけれど。)

プロフィールを読む側が何を求めているか

プロフィールを読むという立場には大きく分けて2つのパターンがあります。お客様と企画制作者。厳密に言うとどちらを対象にするかで表現やアピールするポイントが変わってくるのですが、基本的な考え方は同じ。ではどんな風に仕立てればよいのか、簡単に説明してゆきます。

◎どんな活動をしているのか
◎どんな可能性があるのか
◎どう広がりそうか
◎どう展開できそうか
◎その役者を採用するメリット

個人的には、このあたりのポイントをわかりやすく簡単にまとめればいいのではなかろうかと思います。これが制作者や玄人に向けたプロフィールのベースになります。

日頃、どんなフィールドでどんな活動をしているのか、どんなスキルを持っていてどういったことができるのか、それを広げ展開した場合どんな風に発展する可能性があるのか。今目の前にある作品に適しているか否かだけでなく、この作品に起用した場合将来的にどんなメリットをもたらすかを考え、そこを強みにして売り込む準備をすること。

期待感、煽っていますか?煽れていますか?

「制作者が読みたいプロフィールとはどんなものか」「お客様が読みたいプロフィールとはどんなものか」そういった目線は絶対に必要。シンプルな話です、期待感を煽ってなんぼ。これからが楽しみになるような役者でなきゃ「次も観てみたい」とはならないでしょう?お客様・未来のファンに向けたプロフィールについては過去の投稿が参考になるかもしれません。

やらなければならないのは●●を刺激すること

選考ってそういうものですが、んまぁさ、紙を突破しなけりゃそこで終わりじゃないですか。どんなに素晴らしい商品も、採用してもらう・使ってもらうというところに至らなければ、ただの飾り。類似商品や他者との差別化は、あなたが想像するよりずっとシビアな世界です。そういう中で「起用したい!」「観てみたい!」と思わせることができていますか?

個人的に、プロモーションの基本は欲望を刺激することだと思っています。

ある程度確立するまで、めちゃくちゃしんどいと思うけど、自分のやりたいことをやるためにも自分を売り込み・勝ち抜いて・評価を得ることって大切なのよね。難しいし葛藤も生まれるだろうけど。自分のやりたいことをやるためには力をつけること、これが一番だと思います。その為にも常に商品価値を高めていかなければならないと思うし、魅力を磨いてゆかねばならない。

まとめと雑感

紙+実技が同時、実技でガッツリ持って行けるという自信があるならいいんですけど、それだって上見りゃキリないという話で猛者がわんさか。そういう中では差がつけられる場所があるなら些細なところも逃さずにガッツリ押さえていくことが重要。それに、プロフィールは自分の棚卸・内観にもなるから「企画責任者向け」「関係者向け」「演劇マニア向け」「既存のファン向け」「未来のファン向け」など、ある程度のバリエーションを考えつつ定期的に更新していった方がよい。勉強にもなる。

自分を売り込んでいこうと思うなら、他者との差別化を図るのは必須で「これだけは誰にも負けない!」みたいな強みももちろん必要なのですが、それ以外の細かな部分でも蜘蛛の巣のように張り巡らせて、どんなチャンスもキャッチできるくらいに準備し待ち構えつつ攻めるということをやるか否かで後々とんでもない差が出てきます。

なにごとも、いざって時にすぐに動ける人がチャンスをモノにするというのは絶対だと思います。基本の能力や知識と準備、加えて機動力。これらを併せて使うと効果は数倍にもなるよ!お試しあれ!



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