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『大人の本音だだもれ。』5話 朝礼の発表を聞いて職場の空気が変わった【Web小説】

第5話 繁忙期の増員

「はあ……。
 あ、またため息ついちゃったわ」

 来週から派遣スタッフが入るって発表があったけど、もっと早めに言ってくれないかしら。
 五年もこの会社にいるからわかっていることだけど憂鬱ゆううつだわ。

 給湯室で電気ポットのお湯がわくのを待っていると、これまでのことが浮かんできた。

 この会社は二~五年ごとに人事異動があるので、役職クラスを除けば自分が部署内の最古参となる。次に古い十住とすみも来年は異動だ。人の入れ替わりは仕方のないことだけど増員は気が滅入る。

 所属部署の非正規社員は私だけ。
 でも繁忙期には同じ非正規雇用の人がくる。
 担当する仕事は違っていても比較されるのは目に見えているわ。

 学校卒業後はずっと非正規雇用で働いてきた。アパレル系や事務職を転々として仕事に困ることはなかった。

 でも20代後半になるとアパレル系が書類選考で落とされるようになり、30代になると事務職も一次選考で落ちるようになった。35歳を過ぎたころには仕事の幅がだいぶ狭くなっていた。

 パソコンが使えるからこの会社の事務職に就けたけど、不景気なのでクビにされてしまわないかと不安が消えない……。

 朝礼で派遣スタッフの発表があると、社員が性別を質問してきた。女性と言ったとたんに男性陣が浮かれたのがわかった。

 嫌だわ、ライバルが増えてしまう。
 今の地位を保つためにマウントを取らないと。

 美容室へ行って髪をきれいにしておこう。
 ついでに服も新調しようかしら?

 気持ちを切り替え、インスタントコーヒーをいれると席へ戻った。

 オフィスを見回すと、いつもどおり黙々と働いている従業員たちの風景が映る。男性陣は浮かれているように感じ、女性陣は自分と同じようにピリピリしているように思える。

 落ち着かなかったけど、みんなも似たような心境とわかり、安心した町家まちやは仕事に戻った。

 

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※小説投稿サイト『カクヨム』で投稿していた小説を推敲してnoteに公開しています。


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Web小説『大人の本音だだもれ。』

第1話

  • 【あらすじ】

  • 1話 会社の忘年会はなんのためにある?

第2話

会社に新しい人が来るときは期待してしまう

第3話

美人で仕事はできる。でもコミュ力がね

第4話

30代の枯れたオッサンをとりこにしたのは

第 4.5 話 小休憩(1)

物事に変化を与えるのはいつも「人」

第5話

朝礼で増員の発表があって職場の空気が変わる

第6話

自分より若いコが来て40代女性は焦りを感じてる

第7話

結婚願望はある。でも大っぴらには言っていない

第8話

仲が良くても酔っぱらいに向ける視線は厳しい

第9話

これまでの対応は社交辞令だったの?

第10話

本来の性格がわかるとき

第10.5話 小休憩(2)

モテる人っていますよね?

第11話

社内恋愛は避けてきたけど迷ってしまう

第12話

酔っぱらいの相手は大変

第13話

恋愛モードに完全に切り替わった

第14話

恋の作戦スタート!

第15話

勝利するには布石を打つ

第16話

俺の攻略マニュアルは完璧。恋の勝者は

第16.5話 小休憩(3)

会社の忘年会の裏側ではこんなことも

第17話

忘年会がスタートする前からモノゴトは始まっている

第18話

フラれても再挑戦! 諦めないこの男は策士だ

第19話

攻略するために選んだアイテムは「酒」

第20話

大人だから態度には出さない。でも脳内で叫んでいる

第21話

おじさんは若いコが心配だ!

第22話

強気で駒を進め今度こそあのヒトを落としてみせる

第23話

送り狼のピンチに騎士ナイトが参上!

第23.5話 小休憩(4)

オトナたちはどんな恋愛をしているのかな?

第24話

オトナの男の恋

第25話

嫉妬、羨望…。職場でもあること

第26話

「彼女」よりも「パートナー」を探したくなったきっかけ

第27話

人が強くなる瞬間

第28話 【最終話】

パートナーになったら絶対に彼女から引き出したい!



カクヨム
 神無月そぞろ @coinxcastle


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