記事一覧
〔連載小説〕 うさぴょん ・その157
その 1 へ
佐々野さんが隣にいる。
やはり佐々野さんは目立っている。たぶん山鉾と同じくらいに、といったら言い過ぎかもしれないけれど、周囲の視線を集めていることには違いない。でもまあ、大丈夫そうだ。こんなに人がいれば。
後祭は前祭に比べると規模が小さいということだけれど、それでも十分に大勢の人が見物に来ているし賑わっている。
「おいっ、うさぴょん。飯田はどこ行った? もうすぐ始まるぞ」
〔連載小説〕 うさぴょん ・その156
その 1 へ
だいぶ日が陰ってきた。とはいえまだまだ暑いし、人がいっぱいいるから余計に蒸し蒸しするように感じる。四条通りをうろちょろしていた時にもらったうちわが大活躍だ。
「宇佐美君、パトカー、パトカー」
飯田君の指さす先では警無車がサイレンは鳴らさず警光灯だけをつけて通っていく。いつもより明らかにパトカーが多く走っていて、あちこちでしょっちゅう見かける。やはりお祭りだ。
大型輸送車をいっ
〔連載小説〕 うさぴょん ・その155
その 1 へ
画面にパトカーが映っている。昔のパトカーだ。サイレンを鳴らしながら高速道路を走っていく。電子式サイレンでなくモーターサイレンというサイレンなのだという。
飯田君が見つけてきた動画をスマホで見ている。最近のお気に入りはこれだ。パトカーはもちろんだが、嫌みったらしいナレーションもまたいい。
軽快な音楽にのって動画は進んでいく。今度は空撮だ。パトカーがまっすぐな高速道路を走っていき
〔連載小説〕 うさぴょん ・その154
その 1 へ
今月10日、自身の所有する自動車へ放火したとして末田達吉容疑者(32)が京都府警に逮捕された。
キラキラネームが話題となる昨今において「達吉」なる古風な名前を持つこの男、実は、未成年者に対して常習的に盗撮を行っていたグループの中心的なメンバーとして警察にマークされており、のちに京都府迷惑行為等防止条例違反の容疑で再逮捕される。
末田容疑者は京都市内の不動産会社に勤務する傍ら、
〔連載小説〕 うさぴょん ・その153
その 1 へ
先生に呼ばれて連れてこられたのは、学校本館の応接室だった。そこには知らない人がいて警察官と紹介されて驚いたし、どういうことなんだろう、どうして自分が呼ばれるのだろうと不安になった。
刑事さんの前に座らされ、私は女の刑事さんから色々と尋ねられた。そして学校の横の河川敷で「不審な人を見かけたりしたことはありませんか?」と聞かれたとき、そういうことか、とひとつ疑問が解けた。応接室に入