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小説大好き☘️毎週博物館か美術館に行く☘️コンサート・バレエも愛してる💖 美しいもの、楽しいもの、おもしろいもの、ドキドキするもの、もしよかったらご一緒に💖
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2020年7月の記事一覧

「形」を自分から取り払うー『水を縫う』ように

「形」を自分から取り払うー『水を縫う』ように

小説を中心に感想を時々記します。

「好き」と「家族」を自分の手で選び取りたい。「水を縫う」寺地はるな 集英社

縫物や刺繍が好きな高校生男子・清澄、ふんわりした服やかわいいものを嫌がる姉・水青、離婚後女手一つで子供を育てる母、それに祖母や、別れた頼りない父…みな世間から「普通」と言われるものから少しずつずれている。

もうすぐ結婚する水青は着たいウェディングドレスが見つからない。どれもひらひらキ

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オラファー・エリアソン展ー自然と手をつなぐ

オラファー・エリアソン展ー自然と手をつなぐ

恋人と川べりを歩く気持ちになった。癒されるし、ドキドキもする。東京都現代美術館で開催中の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を見終わったあと、とても疲れて、とても幸せになった。

オラファー・エリアソンはデンマーク生まれのアーティストで、絵画、写真、建築、そのほか多彩な表現をしている。たとえばニューヨークに巨大な滝を出現させたことなどでも有名。

今回も多面的なアートで楽しめる。見るだけ

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ピーター・ドイグ展ーあなたの心をのぞき込む

ピーター・ドイグ展ーあなたの心をのぞき込む

現代画家だが、抽象ではない。幻想的だがファンタジーではない。見ていると懐かしい気持ちにもなる。作家の世界を見ながら、自分の中に入り込んでいる。

現代美術というと「わからない」「難しい」という方が多い。私もそうだ。でも私は、考えるよりも感じることを大事にしながら見ている。時代背景や描く動機の大切さはあるが、まずは見ること。楽しむこと。実際に足を運ぶと驚くような体験ができる。

現代美術に興味がある

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光琳の風神雷神図 ー雨を呼ぶ男たちー

光琳の風神雷神図 ー雨を呼ぶ男たちー

迫力のある神をご覧あれ。雷を鳴らし、風を吹かせ、雨を降らすその姿を。

300年以上前の絵とは思えない、ハッと目を引く鮮やかさに驚く。

背景の金地、風神の緑、雷神の白、すべて曇りのない美しさだ。「ここにいるぞ」「わしらを見ろ」と言わんばかりの力。グイと人を引き込む魅力にあふれている。

東京国立博物館、本館2階七室で7月21日から公開が始まった。8月10日まで展示されている。

風神雷神は中国伝

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東博「きもの展」は日本衣装の歴史絵巻

東博「きもの展」は日本衣装の歴史絵巻

東京国立博物館でひらかれている「きもの展」は着物の展覧会というよりもの安土・桃山時代からの文化絵巻だった。絵には人を描けばその衣装も描かれる。着物だけではなく、屏風・人物像にも目を見張るものがあった。

東京国立博物館としては47年分ぶりとなる大規模な染色の展覧会。これまで京都国立博物館、あるいは催事場などでたびたび開かれてきたが、スケールが違った。

国宝の屏風もあり、屏風、絵、図などだけで充分

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バンクシー展を見た―肝の据わった男の軌跡

バンクシー展を見た―肝の据わった男の軌跡

バンクシーは自分の視点でずっと訴え続けている男だったのだ、と今更知った。ずっと訴え「続けている」。

横浜のバンクシー展に行ってきた。東京を出たのは3月以来だった。

それまでのバンクシーのイメージはイギリスの覆面画家、ストリートアーティスト、シュレッダー事件程度だ。(シュレッダー事件とは、オークションにかけられた絵が落札された途端、額に仕込まれたシュレッダーで裁断された事件。シュレッダーは途中で

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