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『そのままにする』技術

『問題は解決すべき』っていう圧倒的「べき思考」

私たちの『べき思考』の中でほぼ全員の人類に使い古されているのが『問題は解決すべき』というものがあります。
「この状態をなんとかせねば」「このスケジュールなんとかせねば」という具合ですね。
たしかに、タスクを現実的に解決する上では欠かせない思考ですね。俗に問題解決と呼ばれる方略。でもそうなんです、方略なんですよ、つまり道具にすぎないということです。
問題において大切なのは問題を「なるべく問題じゃなくすること」
問題の存在を「うまく処理する問題解決」だけがアプローチ方法ではないのです(言語化が難しいところですね)

忘れられがちな存在『そのままにする』

実はこの問題解決という方略に隠れて、忘れられがちな方略は「そのままにする」という方略です。我々の直観からは反するようなアプローチなので、物凄く違和感が生じるのが自然かと思います。しかし、「どうにもならないこと」がありふれている世の中では「そのままにする」アプローチも決して馬鹿にはできない方略といえます。
コントロールが難しいことというと、他者、自分の感情や考え、天気などの自然界に属するものですね。

現代人は『そのままにする』ことが苦手

実は「そのままにする」事、現代人にとって容易ではないですよね。今の人々はある種、神になろうとしている部分もあり、自然かつ自由なものを自分の支配下に置いて、思い通りに操作することを目指していることが多いです。技術の発展というのはそういうような目論見が含まれていると個人的には思います。また、奇しくも、科学と技術の進歩もとい、人間の努力により、所々で「自分の思い通りにする」ということが叶っているから余計に「絶対解決できる」と過信してしまうこともあるかと思います。
だからこそ、思い通りにならない時、理想と現実の激しい乖離により、心の病気に発展したり、後悔する言動を選択してしまうこともあるわけです。

『そのままにする』技術はどのように高めればいいのか

・コントロールできること/できないことを分ける
・自分の支配欲に気づき、支配することで自分が何を得たいのか、どんなメリットがあるのか検討する
・自分の感情や考えにさらに意識的になる(揺れている時ほど)そして、その気持ちを受容する
言葉にすると色々出てきますし、どれも、実行することは言葉以上に難しいことばかりです。
しかし、「そのままにする」技術を向上するためにまず欠かせないことは、「そのままにしない」ことです(なんじゃそりゃ…呆気にとられているかと思いますが、引き続き読んでください、後悔はさせません!)
というのも、「そのままにする」技術を作るためには、過去の体験において「とことん詰めてやってみた、抗えってみたけどダメだった」という苦しい経験が必要不可欠なのです。そして、その経験から「世の中には自分の思い通りになることはほんとに僅かであり、自分に及ばないことばかりである」と心に腹落ちさせることです。この体験があなたの心の図書館に入っているかどうかで、「そのままにする」技術は一段と手に入りやすくなります。
「いやいや、自分はどこまでが自分に及ぶ範囲で、自分の欲にも気づいています」という方で、生きづらさを感じている方は一度、自身を振り返ってみてください。人間は外のことは常に観察できても、自分のことは鏡がないと観察できません。

「頑張った自分」を認める

ここで大切なことは、「その物事に対して自分は頑張って抗おうとした、努力してなんとかしようとした」という自己を認めることです。
この事実を曲げてしまうと、現実も曲げてしまうことになり、どこからが自分のコントロールが及ぶ範囲だったのか適切に振り返ることが難しくなります。今後への応用もしずらくなってしまう上に、自分が反省する部分もあやふやになってしまうわけです。
よくあるパターンが「自責的な考え」に支配されてしまい「自分の努力が足らなかった」「次こそは絶対に達成せねば」となることや、「全部相手や環境のせいであった」と他責的にすることです。

出来事は「ルービックキューブ」

物事や出来事は人間が理解及ぶ範疇とそうでない部分が混ざり合って、結果として存在します。結果はあらゆる側面を持って、それぞれの側面が相互的に影響しあっているわけです。
これほど化学や知識が発展した今でも、人が分からないことばかりですし、対処できないことも往々にしてあります。自然災害は予測できませんし、人を一度、力で支配できたとしても、支配続けることは難しいです。

ちなみに、物事に関わる人が多ければ多いほど、結果は色々な側面を持って複雑化します。自分のコントロール内から離れていくのですね。
一方で、個人的な「勉強」とかは、人が多くは関わらないので、まだ自分でコントロールできる領域があります。しかし、「勉強」も親、教師、教材、幼少期の環境、学校環境、家庭環境、あなたの気質、運などのあらゆる側面が影響しているともいえるわけです。



個人的におすすめなのは、原因を色々なところに帰属させながらも、最後は自分のコントロールできる領域に帰ってきて、少しずつ自分の手、足、口を動かしながら自分が期待する方向に期待せず行うことだと思います。そして、コントロールできないことに生きずまってしまったら、手を止めること。
「自分の出る幕は今ではないのかもしれない」と思って「そのままにする」「自分は欲深いな…」と思って「そのままにする」、「ほっといたら機嫌が直るでしょ」と思って「そのままにする」ことです。
その中で、再び介入する元気が出た時、違う方略が思いついた時、試みてもいいわけです。

「そのままにすること」の魅力

その魅力は、問題は解決されていなかったけれども、問題そのものが消えていたりすることです。実は、問題をそのままにして抱えながら生きていくと、その問題は自分の一部になります。自分の一部になった時(受け入れた時)問題は問題でなくなるのです。



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