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芥川賞作品 おすすめランキング~読書好きが選ぶベスト5~

こんにちは!
社会人2年目、読書大好きのYasuです。

1都3県では緊急事態宣言が発令され、なかなか外出しづらい日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

旅行や大勢の飲み会などやりたいことはありますが、今は家で辛抱ですね。

さて、私は社会人になってからも趣味の読書を続けています。

特に芥川賞受賞作品が好きなのですが、
共感いただける方はいらっしゃいますでしょうか。

年2回の発表がある芥川賞。
2016年にお笑い芸人、ピースの又吉さんが『火花』で受賞したのが
記憶に残っている方も多いかと思います。

芥川賞作品おすすめランキング

今回は芥川賞作品を読みつくした私の独断に基づき、
5つの小説をランキング形式で、紹介していきたいと思います。

ランキングに入る前に、芥川賞の特徴や魅力について語ります。

芥川賞の特徴と面白さ

芥川龍之介

引用元(新潮社):https://www.shinchosha.co.jp/writer/619/

芥川賞の正式名称は「芥川龍之介賞」で、純文学の新進作家に与えられる文学賞のことです。

◆選考会は年2回(上半期は7月、下半期は翌年1月)

◆中・短編作品から選出されることもあり、読みやすい作品が多いです。
多くの作品が300ページ以下です。

◆未公開の作品を世に送り出す目的の賞とは違い、受賞対象作品は雑誌に発表されたものだけですので、おのずとトップレベルの戦いとなります。

◆「風景や心象の描写」が細かい点や、表現が多彩であり文学的である点が特徴。
非現実的な世界に連れて行ってくれるSF系とは対極で、設定は現実的なものが多いです。
→「表現しづらい細かい感情をこんなにうまく文字起こしできるのか
と驚くことでしょう。

心に残るフレーズが沢山散りばめられている小説が多いのも特徴の一つです。洗練された筆者の表現力を噛み締めてみてください。

ざっくりとしたあらすじと私の感想、世間からの評価をまじえながら、5作品紹介していきます。

みなさんにはあらすじだけでなく、是非読んでいただきたいので、
ネタバレはしませんのでご安心を。

第5位:蹴りたい背中 綿糸りさ

第5位は「蹴りたい背中」です。綿糸りさのデビュー二作目の作品です。
なんと彼女は芥川賞史上最年少の19歳で受賞。
151万部のベストセラーとなり、大いに世間を騒がせました。

高校を卒業したばかりの女性が発表したストーリーらしく、高校生の日常が細かく描かれています。

あらすじ
理科の授業中、同じグループになったことをきっかけに、クラスメイトと打ち解けられない女子高生、長谷川初美は同じく友達が少ない男子「にな川」と接点を持ちます。話しの流れで、にな川の愛してやまないモデルに、以前初美が会っていることが発覚。この話題から二人の関係性は深まっていきます。初美とにな川の微妙な距離感、二人の自由な発想、おかしな会話に引き込まれる作品です。

感想・評価
王道の高校生活から外れた二人の関係性が面白かったです。
帯に書いてある「愛おしいよりも、いじめたいよりも、もっと乱暴なこの気持ち」というフレーズがしっくりきます。

会話文が多くあり、ページ数も短いため、大変読みやすい印象を受けました。
何気ない学生生活における情景や微妙な心情の描写は見事です。
読み終わった後に懐かしい気持ちになる人も多いのではないでしょうか。

こんな人におすすめ!!
◆日常を描いた小説が好き
◆学生時代に戻りたい
◆表現の分かりやすい作品が好き


第4位:コンビニ人間 村田紗耶香

本作は、2016年に芥川賞を受賞しました。
「コンビニ」という誰もが慣れ親しんだ題材ですが、かなり異質な内容です。

あらすじ
物語の主人公は18年間コンビニでのアルバイトを続ける古倉恵子36歳。
幼い頃から普通な子ではなく、歳をとるごろにそのズレが顕著になっていきます。世間からすると36歳で未婚にも関わらず、全く焦りを感じていないのです。1人のズレた女性が社会の正解に迎合するために奮闘する様子が大変興味深い作品です。

感想・評価
読み終わると「いったい、普通や王道は何なんだろう」と考えさせられます。
みんなと同じでいることが幸せに直結するのでしょうか。

普通が良いとされ、個性を出しづらい日本社会が色濃く反映されており、
自分の本心と社会の正解の狭間でもがく主人公の描写が素晴らしいです。

個人的にはコンビニのアルバイト店員のルーティーンの描写もリアルすぎると感じました。

火花の著者、ピースの又吉さんも本作を大絶賛。
2016年の11月に放送されたアメトーーク!の読書芸人の回では、又吉やカズレーザーさんを含む3名がおすすめ本として挙げました。

読書上級者からしてもかなり評価の高い本のようです。

感想は、主人公のユニークな感性に「こわい」と感じる人もいれば、
「共感できた」とコメントする人もおり、様々だと思いますので、
ぜひ読んで確かめていただければと思います。

こんな人におすすめ!!
◆心象描写が細かい作品が好き
◆変わった感性の主人公に感情移入したい
◆読みやすいのが良い(2日くらいで一気に読み切りたい)


第3位:火花 又吉直樹

第3位は言わずもしれた又吉直樹さんの『火花』です。
2015年に芥川賞を受賞し、翌年には映画化も実現されました。

あらすじ
主人公はスパークスという売れないお笑いコンビのツッコミ担当徳永。
神谷という先輩に出会い、その才能に惹かれていきます。
笑いを突き詰める男たちの友情と苦悩が描かれています。

感想
神谷のお笑いに対するストイックさや二人の関係性が面白い作品。
読み終わった後、神谷のような先輩に憧れる人も多いでしょう。

全体を通じてクスっと笑ってしまう場面が多いですが、感動できる作品です。
私も物語の後半でじんと来てしまいました。

男女関係を細かく描写をする物語はよくありますが、先輩との関係性を題材としている点も新鮮に感じます。

又吉さんの作品『劇場』もそうですが、観察眼が凄まじいです。
登場人物の小さな所作までよく描写しているなと本当に尊敬!
又吉さんが普段どのような視点でコントのネタを作っているのかが気になります。

5位、4位と比べると文学的表現が多く、少し読みづらいかもしれません。
読み終わった後も「理解できなかった部分があった」という感想もよく聞きます。逆に言えば2回、3回目に読むと違った解釈が楽しめる作品と言えるでしょう。

こんな人におすすめ!!
◆純文学的表現に富んだ小説を楽しみたい
◆お笑いが好き
◆「人」を題材にした本が好き


第2位:むらさきのスカートの女 今村夏子

第2位は、昨年令和初の受賞となった『むらさきのスカートの女』です。
この小説は、2019年の6月に発表され、わずか1か月で受賞に至りました。
極めて異例なことです。

作者の今村さんは、大学卒業後20代半ばから5年ほど大阪のホテルで清掃のアルバイトをしていました。当時は「天職だ!」と思ったそうです。

あらすじ
自身の経験を参考にし、本作でも主人公の「わたし」(女性)はホテルで清掃のアルバイトをしている設定です。
ある日公園で「むらせきのスカートの女」に出会います。
なぜかむらさきのスカートの女に憧れを抱いた「わたし」少しでも距離を縮めるべく奮闘。
主人公のズレた感性が面白い作品です。

感想・評価
ユニークさとしては、物語がすべて「わたし」の視点、つまり一人称で書かれている点です。「わたし」は、世の中の常識から逸した行動(ストーカー行為?)をとります。

第4位に選ばせていただきました「コンビニ人間」では主人公が社会とのズレに気付きながらも奮闘していく話でした。
これとは対照的に、本作では主人公は、自身の異常な行動に気づいておらず、当然だと思い込んでいる視点で描写されています。
ここに面白さがあります。

また、この本では、クスっと笑ってしまう表現が随所に散りばめられています。
しかし、驚くべきことに今村さんは芥川賞受賞会見にて
「笑わすことを目的に書いていない」と発言。
しかし、読み進めるうちに、独特且つ自然な笑いに引き込まれることでしょう。

最近の本ということもあり、あまり批評されておりませんが、個人的な感想を言うと、「ハンパない!」です。
芥川賞受賞作品は十数作読んでいますが、度肝を抜かれました。
こんな物語の書き方がありなのか!と。

今村さんはインタビューにて「芥川龍之介の小説を読んだことがない」とコメントしており、それもあってか芥川賞の中でもかなり異質と思います。

「半分まで読んで、結末が予測できてしまった」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この作品は予想を確実に上回る展開があります。

「むらさきのスカートの女とは誰なのか?」
「主人公が求めていたことは何なのか?」

読み終わったあとでも考えされられる点が多く、読者の中でも議論が巻き起こる作品ですので、是非読んでみてください!

こんな人におすすめ!!
◆一人称の小説が好き
◆大きな展開があり、ハラハラドキドキしたい
◆表現の面白さを堪能したい


お待たせしました!第1位は・・・

第1位:蛇にピアス 金原ひとみ

第1位は、『蛇にピアス』です!
金原ひとみさんは、2004年に20歳という若さで受賞しました。
第4位で紹介しました『蹴りたい背中』は、同年に19歳の綿矢さんが受賞しましたので、2004年は若き才能が光る1年となりました。

『蹴りたい背中』が等身大の高校生活を描いているのに対し、蛇にピアスの題材はかなり”アンダーグラウンド”です。

あらすじ
舌にピアスを開け、その穴を徐々に大きくしていき、舌を2つに切るスプリットタンに憧れるルイ。恋人のアマと彫師のシバさんとの出会いをきっかけに、肉体改造にはまっていきます。激しい愛と都会を生きる若者の苦悩が描かれています。

感想・評価
本作について、金原さんは「痛かったり、不健康になったりする時に人間は生きていることを実感する」と述べてます。
その言葉通り、痛みを感じて初めて「生」を意識するルイの心象風景が細かく描かれています。

私は初めて『蛇にピアス』を読んだ時に、絶句しました。
文庫本で114ページしかない短編にも関わらず、ここまで心を動かされた本は他にはありません。
想像できない結末に向かってジェットコースターのようにストーリーが展開されていきます。

「これほど描写力・人生経験がある20歳がいるのか」と、
ただ驚きました。
作者がこれまでどのような人生を歩んできたのか大変気になります。

主人公のルイに共感できる人は少なく、「こういう世界があるんだ」と感想を持つ人が大多数かもしれません。
個人的に小説の魅力は自分の知らない世界に連れていってくれる点だと思いますので、心を動かされました。

本作品は吉高由里子主演で映画化もされましたが、個人的には是非小説で作者の描写力を堪能していただきたいです。

(※)バイオレンスを伴う表現が多くありますので、苦手な方は避けてもらった方が良いかもしれません。万人受けする作品ではないことを承知しつつも、第1位に選びました。

刺さる人には深く刺さると思います。私もその一人です。

こんな人におすすめ!
◆本を通じて自分の知らない世界を知りたい
◆都会での暮らしに興味がある
◆短編を読みたい
◆心を動かされたい


まとめ

今回は、芥川賞のおすすめ作品をランキング形式で紹介してきましたが、
いかがだったでしょうか。

全ての受賞作を読めているわけではないので、あくまで個人の意見だということをご理解いただきたいです。

芥川賞作品は、描写力が素晴らしいですし、心を揺さぶる力を持っています。


「芥川賞は難しそうだから」
と避けている方も多いかもしれませんが、案外読みやすいですよ!

どの作品も描写力がけた違いで、ストーリーも面白いので、
まとめて読んでみることをおすすめします。

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