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言わずもガーナ_50_その名も廃るNostalgia
日本からガーナにやってきて1年が経ち、ぼくはひとつ年をとった。
ぼくが17歳になる少し前にサリンジャーが死に、ぼくはそれ以来心の中にホールデン・コールフィールド少年を飼っている。
練習試合に向かう途中の地下鉄の中に、試合で使うフェンシングの道具一式すべて置き忘れても人生は続いていく、世の中そういうメンタルが大切である。
さて最近のガーナの日常であるが、停電の頻度と期間が悪化している。
原因は電気
言わずもガーナ_49_断水インザダーク再び
1か月半の断水を乗り越えて、この原稿を書いている。
なお「断水インザダーク」とは断水と停電が同時発生する現象を指した、ぼくの造語である。
もっと流行らせたい。
稀代の雨男たるぼくも地球の地軸の傾きには勝てず、この乾季にはたびたび断水することがあった。
これでも例年よりは雨を降らせているようだが、やはり雨期に比べて格段に降水量が減るのがこの季節である。
これまでも最長10日間程度の断水は経験し
言わずもガーナ_48_末端までHarmattan
2024年2月、ガーナ――
ぼく「ごほっごほっ、なんか空気悪くない?」
同僚「てめえのプロジェクトが一向に進んでねえからだろうが!」
ぼく「いや、そういう心理的な『空気』の話じゃなくて」
2月、ガーナは乾季の真っ只中である。
遠くサハラ砂漠から赤道に近い西アフリカ諸国へと貿易風が吹き込み、大量の砂塵が運ばれる。
例年この時期のガーナは深刻な大気汚染に見舞われることで有名であり、今年の「世界大気
言わずもガーナ_47_お祝いしようなpensioner
彼の名前はコジョ。
ぼくの学校のスクールドライバー。
初老を迎えた気のいいおじさんである。
コジョは坂道の多いこのケープコーストの街中を、年代物のトヨタ・コースターを巧みに操縦して生徒を送迎する。
それが終わると校門前で休憩し、出勤するぼくを待ち構えるのが彼のルーティンとなった。
ぼく「グッモーニン」
コジョ「ファンティ語で言え」
ぼく「えーと・・・ mema wo akye」
実際、街の人
言わずもガーナ_46_チャチくはないぜこのchurch②
ガーナでは日曜日の朝だからといって戦隊モノの視聴に明け暮れたり、朝寝をむさぼったりすることは許されないと前回述べた。
日曜朝はみんな楽しみ教会のお時間である。
今回は近所のバプテスト派の教会にお邪魔したときの様子をお届けする。
なおガーナのキリスト教も様々な教派に分かれており、カトリックおよびプロテスタント系の各派(メソディスト、バプテスト、長老派、ペンタコステほか)、そのほか新興系の教会が林立
言わずもガーナ_45_チャチくはないぜこのchurch①
おばちゃん「もしもし、起きてるかい」
ぼく「寝てます・・・」
おばちゃん「起きてるじゃないか! 教会の時間だよ」
ぼく「日曜の朝は『パワーパフガールズ』観るから・・・」
おばちゃん「もうとっくにプリキュアの時代になってるよ!」
という感じで日曜日の午前中は教会に連行されることが多い。
今回と次回は、ガーナにおけるキリスト教とぼくについて書いてみようと思う。
説明したいこの四諦ぼくは特になんの
言わずもガーナ_44_辛え日々でも徒然に
いやそんなに辛い日々じゃないけど、語呂合わせに。
最近の日常を脈絡なく振り返っていきます。
入学おめでとう新1年生が入学してきた。
最初の1週間はオリエンテーションで、授業もないからわりと暇である。
月曜日が入学・入寮手続きの日だけれど、翌日以降にもばらばらと新入生+保護者がやってくる。
一度に来い。
ぼくがぶらぶら歩いていると先生たちに捕まえられた。
お前に息子が生まれたら、この学校に入
言わずもガーナ_43_たぶん過労だ文化祭
いつもは穏やかに過ぎる学園の日々が、にわかに慌ただしく感じられるようになった。
文化祭準備である。
ぼくの学校の人々はわりにお祭り好きらしく、学校対抗の運動会とか合唱・ダンスコンテストとか遠足・職場見学とかの学校行事がよく行われている。
今回は年に一度の文化祭(名目上は学校創立記念祭)が開催された。
生徒「今年は映像作品を出展したい!」
ぼく「えーぞえーぞー。映像だけに」
生徒「なので動画編
言わずもガーナ_42_性急セキュリティ
窃盗対策をセットでお届け
教頭「また窃盗に入られた・・・、防犯カメラをセットしてくれ」
ぼく「8個セットでお得になりますよ」
先だって防犯カメラを設置していた教室で貴重品の盗難が発生し、録画映像をチェックしたところ学校の警備員が犯人だと判明した。
この学校、シンプルに治安が悪い。
教室、職員室、学生寮、教員宿舎ほか、ありとあらゆる場所で盗難被害が報告されている。
生徒間・職員間の犯行の疑い
言わずもガーナ_41_TOEICと行く珍道中
ガーナでTOEICが受験できるらしい。
英語を日常的に使う環境で半年近く生活して、少しは英語力も向上しているに違いない。
リスキリングだかリスキーだか、リカレントだかかりんとうだか昨今の流行は知らないが、要するに暇な社会人のぼくにぴったりの暇つぶし機会である。
申し込みページの「残り○○席で受付終了!」の表示にも煽られて、思わず受験申込みしてしまった。
電子書籍でTOEIC過去問なんて買っちゃっ
言わずもガーナ_40_入手困難なNews
ぼくのいる高校は新聞配達のおっちゃんと契約しているらしく、校長室・教頭室に朝刊が毎日届けられる(なお、ガーナに夕刊は存在しない)。
教頭先生のご機嫌がよさそうなとき、ぼくはちょくちょく新聞を拝借してガーナのニュースに目を通している。
多くの記事が既報の繰り返しであったり、退屈な社説だったりではあるが、たまに面白い記事を見つけることもある。
とりあえず今回はガーナ到着後の半年間で入手したニュース記
言わずもガーナ_39_隙ありscary (住居侵入に遭った話)
おうちに泥棒さんがいらした。
タイトルの通り、何者かが我が家を囲う塀を乗り越えて庭先に侵入し、同居する大家さんの部屋をねらって窃盗を試みる事件が発生した。
ガーナの青年海外協力隊員は結構このブログを読んでくれてるらしいので、注意喚起の意味もこめて一部始終を書いてみる。
夜明け前
屋外「ワンワン、メーメー、 الصلاة خيرٌ
من النوم」
ぼく「うるせえ寝かせろ」
昼間
大家「泥
言わずもガーナ_38_ミッドサマーにてドサ回り
9月はケープコーストにおける祭りの季節である。
ぼくも同僚たちに地元の祭りの何たるかを説明され、見物を勧められた。
同僚「折角だからオレの故郷に来ないかい? 夏至の日に特別なお祭りをやるんだ」
ぼく「有難い申し出だけど…それって90年に一度、生贄を捧げたりするやつじゃないよね」
同僚「まさか! 『偉大なる輪』の中で生まれ変わってもらうだけだよ」
ぼく「やっぱりホルガの村の民じゃないか」
この祭
言わずもガーナ_37_無理だってリーダー②
前回のあらすじ。
上司の失踪を機に禁術・多重影分身を習得したぼくは、ひとり中忍試験(教頭との面談)に挑む。
冷たく突き放されるぼく。
次々に減っていく同僚。
ガーナの子どもたちにE-ラーニングを届けるため、先生たちとの撮影交渉が迫る。
お願い、死なないで城之内!
次回「城之内死す」
デュエルスタンバイ!
先生たちへ撮影依頼と交渉
同僚からの情報によると、学校の先生方は補講や個別指導で副収入を
言わずもガーナ_36_無理だってリーダー①
最近のぼくのガーナでのお仕事っぷりを時系列で振り返っていきます。
上司、失踪。そして昇進へ。
上司が実家に帰ってしまった。
少し前の記事で書いたが、上司は上司の上司と喧嘩している。
結果として上司殿は体調不良を訴え、遠方の実家で療養するといって職場に来なくなった。
心身の健康といわれてしまうと深入りできない。
お大事に、としかいえない。
そして諸々の仕事はすべて残された者たちで引き受けるしか
言わずもガーナ_35_今週もConsumer
忙しさを言い訳に、更新が滞ってしまった。
多忙にターボがかかっていたわけですね。
さて、ちょっとした買い物の話。
市場で買い物をするときはもちろん、この街ではスーパーに行ったとて強制会話イベントから逃げることができない。
店員「鶏むね肉買うの? 私のぶんも料理してきてね」
ぼく「いやだよ。ぜんぶ自分で食うよ」
店員「コーンフレークも買うの? 贅沢だね」
ぼく「いいだろ。たまに忙しい朝に便利なん