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言わずもガーナ_49_断水インザダーク再び

1か月半の断水を乗り越えて、この原稿を書いている。

なお「断水インザダーク」とは断水と停電が同時発生する現象を指した、ぼくの造語である。
もっと流行らせたい。

稀代の雨男たるぼくも地球の地軸の傾きには勝てず、この乾季にはたびたび断水することがあった。
これでも例年よりは雨を降らせているようだが、やはり雨期に比べて格段に降水量が減るのがこの季節である。

これまでも最長10日間程度の断水は経験してきたので、それなりの備蓄はしてある。
しかしその貯水にも限界はあり、断水の長期化にともない近所の井戸まで水汲みに行かざるを得なくなった。

奥が井戸。
手前がサラダ油の容器を再利用したウォーターバレル。
みなさんこれで水を運ぶ。

井戸端会議、という言葉があるがガーナでの水汲みはもっぱら子どもたちの仕事である。
学校の前後に水を汲み、家のバケツかタンクに入れておく。
その水を料理なり洗濯なりに使うのである。

そこに大人が行くと、だいたい代わりに水を汲まされたり(つるべとか手押しポンプみたいな高級なものはおらが村にねえ)、バケツを頭に載せるのを手伝えと言われる。

お、重い・・・。
先述のバレルをいっぱいにすると25リットル。
さすがにそれを両手に持っては歩けないので3分の2くらいまで入れる。
それをガキンチョたちの頭に載せ、最後に自分の分を汲み上げ家まで帰る。
50mほどの坂道をバレル両手によちよち歩きである。

ぼく「これ大谷翔平のトレーニング動画で観たことある・・・」
子供「あっちは1,000億円もらってドジャースタジアムで筋トレしてるけど・・・」
ぼく「うるさい、現実を見せるな」

ぼくが汲んでやった水を高々と掲げ、家に帰る姉妹。

何の目的もなくただガーナの辺境で黙々と体幹を鍛えるぼく。
ちなみにシャワーは2~3日に1回で、洗濯は2週間に1回である。
水が重すぎてやってられないので。
あと自炊も面倒なのでほぼ買い食いである。
煮た豆と揚げバナナを食って生き延びている。

マッチングアプリの条件欄に
・清潔感のある人
・国際連合食糧農業機関の定める食料不足のしきい値2700kcalを日常的に摂取できている人
とかあったら諦めざるを得ない。
マッチングアプリ使ったことないから分からんけど。

そんな生活を1か月程度続けて無の境地に差し掛かってきたころ、水道局の人が来てパイプの点検をしてくれた。
どこかしらに欠陥があり給水が届いていないらしい。
乾季だの降水量だの関係なかったんか。
水道代毎月払ってんだからもっと早く来いよ。
おっと、せっかく会得しつつある無の境地が。
南無三。

そこからさらに半月くらいすると、やっと家の蛇口から水が出始めた。
文明社会へようこそ。
両腕の筋肉痛に悩まされる日々もこれで終わりである。

やはりここガーナで普通のインフラを享受できるのは、普通のことではないのだ。
日本でこれをお読みの皆さんは、ぜひVolvicを飲んでアフリカの恵まれない子どもたちとぼくに清潔な水を届けていただきたい。
ワンリッターフォーテンリッター。
と思って検索したら2016年で寄付プログラムは終了してた。
いままでありがとうVolvic。
ガーナではボルタ河で取水したらしい「Voltic」って水がバカ売れしてるけど、あんま気にすんなよ。

ガーナの飲料水ブランド「VOLTIC」
すがすがしさを感じるネーミングだ。

なお、そのあと高熱が出てたぶん発達した筋肉はすべて失われた。
ついでに西アフリカ全土に影響するネット障害が発生し、ついでにガーナ政府の支払い遅延で発電所の操業停止・計画停電にも見舞われた。

久しぶりに水浴びをして、身体が冷えたか・・・?

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