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言わずもガーナ_39_隙ありscary (住居侵入に遭った話)

おうちに泥棒さんがいらした。

タイトルの通り、何者かが我が家を囲う塀を乗り越えて庭先に侵入し、同居する大家さんの部屋をねらって窃盗を試みる事件が発生した。

ガーナの青年海外協力隊員は結構このブログを読んでくれてるらしいので、注意喚起の意味もこめて一部始終を書いてみる。

夜明け前
屋外「ワンワン、メーメー、 الصلاة خيرٌ
من النوم」
ぼく「うるせえ寝かせろ」

昼間
大家「泥棒入ったの知ってる?」
ぼく「『シートン動物記』のやつ?」
大家「えーと、それは『狼王ロボ』だ。いや笑いごとじゃねーよ」

大家さんによると、夜明け前の午前4時頃、何者かが庭先に立っているのを見て大声を出したらしい。
その声を聞いた侵入者は塀を乗り越えて逃走。
庭先には長さ約3mの塩ビ製パイプが残されていた。

おそらくそのパイプにトリモチのような粘着物質をつけ、窓越しに室内の貴重品を盗み出すつもりだったようだ。
窓には「バーグラーバー」という鉄格子がはめ込まれているが、財布や小型の電化製品などはその隙間から持ち出せてしまう。
大家さん曰く、ガーナでは典型的な窃盗の手口らしい。

泥棒の遺留品(パイプ)と大家さん

なおその間、ぼくは一度も起きずに眠りこけていた。
夜間でも動物の鳴き声やパーティーの音楽、モスクの礼拝などでうるさくなることが多いし、いちいち目を覚ましていたら不眠症になってしまう。
ぼくの身体は既にたいていの物音では覚醒しなくなってしまっているのだ。

さて、大家さんに声をあげられた泥棒はすぐに逃走。
結果として建物内へは侵入を許さず、身体的被害はもちろん窃盗被害も特に発生しなかった。
大家さんの活躍には感謝の限りである。
本人はその場で泥棒を捕縛できなかったことを悔しがっていたが。

(ちなみに同僚たちも「ちゃんと犯人を捕まえたか」と聞いてくる。
犯罪被害者は自力救済•倍返しが基本らしい。
みなさん好戦的で結構だが、ぼくは一目散に逃げ出すタイプだ。)

さてここからはぼくの反省。

今回のケースは自分の隙につけこまれてしまったな、と感じている。
一言でいえば、防犯環境設計が甘かった。

塀に囲まれているとはいえ、体格のよい人ならよじ登れてしまう高さ。
現に今回もすぐに塀を超えて逃亡できる(すなわち侵入もできる)ことが実証されてしまった。
有刺鉄線があるわけでもなく、防壁としてあまり機能していない。

結果として大家さんの身体を危険に晒すことになってしまった。
ぼくだって直接のターゲットにならなかったのは単なる偶然である。

犯人にしても決して擁護するわけではないが、侵入できそうと考える余地を与え、犯罪行為に走らせてしまった。
この国では現金収入を得る手立てが少なく、「成功」する見込みがあれば(そう認知すれば)、犯罪に走りやすい環境がある。
そうした動機をつくらないよう未然に工夫するべきだった。

極端なことをいえば、道端に放置されている100万円を盗み去ることは犯罪だが、100万円を道端に放置する人がいなければその犯罪は発生しないのである。

そうした反省を受けて今後の方針。
可及的速やかに外壁にブロックを追加し高さを確保、有刺鉄線などを設置して防犯機能を強化する。
JICAから費用を補助してもらえるのか、自費持ち出しになるかはまだ分からないけど、いくらであれ身の安全には代えられない。

また窓をみだりに開放しない、窓から近いところに貴重品を置かないことも徹底していく。

ぜひ他のJICA海外協力隊員におかれては、今回のぼくのケースを他山の石とし、安全管理に努めていただきたい。
もちろん住居や職場環境の違いは往々にして存在し、誰もが理想的な防犯態勢を整えられるとは限らないことはわかっているけれど。
できることはやっておきたいし、何かあってから後悔はしたくないのです。

というわけで泥棒さんへ。
大家さんもトシだし、なるべくもう来ないでください。
お腹減ってたらアイスくらいなら奢れるから、できれば街中で声かけてくれ。


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