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言わずもガーナ_35_今週もConsumer

忙しさを言い訳に、更新が滞ってしまった。
多忙にターボがかかっていたわけですね。

さて、ちょっとした買い物の話。
市場で買い物をするときはもちろん、この街ではスーパーに行ったとて強制会話イベントから逃げることができない。

店員「鶏むね肉買うの? 私のぶんも料理してきてね」
ぼく「いやだよ。ぜんぶ自分で食うよ」
店員「コーンフレークも買うの? 贅沢だね」
ぼく「いいだろ。たまに忙しい朝に便利なんだよ」
店員「私のぶんも買ってよ」
ぼく「もっと値下げしてくれたら買ってやるよ」
店員「無茶言わないでよ」
ぼく「最初からあんたが無茶苦茶なんだよ」

上記は現実に交わされた会話である。
ちなみにコーンフレークはぼくにとっても贅沢品で、いつもの朝食ではバナナとか街の揚げパンとか食べてる。

以前とあるスーパーマーケットチェーンで「おしゃべりレーン」を設け、店員が高齢者の話し相手になるサービスが話題になった。
ガーナ人を送り込めば繁盛すると思う、たぶん。


以前の記事に登場した布屋のおばちゃんも避けては通れない。
先日気づいたのだが、彼女はなかなかのストロングスタイルで商売をしている。

おばちゃん「こないだ作った服はどうだい?」
ぼく「チャラいって言われた」
おばちゃん「今度はこっちの生地はどう? ブランドものだよ」

彼女の言うブランドとは、Woodin(ウディン)とGTPというメーカーの製品を指す。
どちらもオランダのフリスコという会社の傘下にあり、ガーナ国内でデザイン・製造をしている。
中国やインドなど外国からの輸入品に対し、Made in Ghanaをウリにしていることが特徴である。
まあ元々はオランダが植民地インドネシアから「ろうけつ染め」の技法を本国に持ち帰り、その資本でアフリカに輸出しているだけだから微妙な話になるけども・・・。


首都アクラのフリスコ(Vlisco)店舗(Google Mapより写真引用)

ところでこのWoodinとGTPは我が街ケープコーストにも直営店を構えている。
それも布屋のおばちゃんの100m先に。
彼女はそこで布を仕入れてきて、路上で販売するのが仕事である(もちろん他メーカーの製品も扱っているが)。
よく言えばセレクトショップ、悪く言えばただの転売ヤーである。

おばちゃんの店の一隅。
ブランド品が並べてある。

おばちゃん「何か言ったかい?」
ぼく「いえいえ、何も」
おばちゃん「ところでぼく君は日本語と英語を話せるね」
ぼく「日本で義務教育受けたからね」
おばちゃん「日本語から英語に翻訳してほしい本があるんだけれどもね」
ぼく「い、いやです・・・・」
おばちゃん「そう言わずに。この生地も安くしとくよ。50セディ」
ぼく「隣のメーカー直営店でも同じ値段だよ」
おばちゃん「バレたか・・・・」

という流れで、ぼくはとある書籍の翻訳作業に勤しんでいる。
消費者に甘んじるはずが、いつの間にか働かされている。
しかも無賃で。

ぼく「神は死んだのか!?」
おばちゃん「いきなり何だい」
ぼく「ニーチェの引用をしました。『日英』翻訳だけに」
おばちゃん「ちょっと何言ってるか分からないね」

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