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言わずもガーナ_40_入手困難なNews

ぼくのいる高校は新聞配達のおっちゃんと契約しているらしく、校長室・教頭室に朝刊が毎日届けられる(なお、ガーナに夕刊は存在しない)。
教頭先生のご機嫌がよさそうなとき、ぼくはちょくちょく新聞を拝借してガーナのニュースに目を通している。

多くの記事が既報の繰り返しであったり、退屈な社説だったりではあるが、たまに面白い記事を見つけることもある。
とりあえず今回はガーナ到着後の半年間で入手したニュース記事から3点厳選してご紹介してみたい。



金の違法採掘をたしなむ苦学生、政府から奨学金を贈られる


ガーナの高卒認定資格試験(日本でいう共通一次試験にあたるもの)を5科目A、3科目Bという優秀な成績でパスしたStephen Koomsonさん。
しかし家庭の経済状況から大学進学を断念。
ガーナで違法とされている金鉱石の露天堀りに手を染め、日銭を稼いでいた
(重機を入れて土地を荒らし、人体に有害な水銀を用いた精製作業をすることから、未認可の採掘作業は禁止されている)。

新聞メディアで彼のストーリーが取り上げたことから、ガーナ政府が反応。
最終的に政府系の石油公社から奨学金が贈られ、ステファンくんはガーナ大学法学部に進学して弁護士を目指すことになった。
なおネット上では「犯罪者が先に救済されるのはおかしい」「弁護士になる前に違法採掘の罪を償え」との声があがった。

・・・そりゃそうだ。


現役閣僚、泥棒に入られた挙句クビになる


水・環境衛生担当大臣Cecilia Dapaah氏の自宅から多額の金品が盗み出される事件があった。
大臣の自宅で働く家政婦2名による犯行と見られている。

話が急転するのはここから。
盗難被害の届出額が膨大なものだったため、どうして一大臣がそれほど多額の財産を所有していたのかという疑惑が持ち上がった。
そして自宅調査の結果、大臣の自宅内からさらに約1億円相当の現金および貴重品が発見された。
(なおガーナの公務員の平均月収が約3万円強、国民平均はこれよりずっと低い)
汚職による不正な蓄財が疑われ、捜査当局による追及を受ける中、大臣職の辞任にまで追い込まれてしまったセシリアさん。
現在は凍結された資産を取り戻すために裁判所・捜査当局と戦っている。

アフリカっぽい話の展開でいいね。


日本最悪級の雨男、ガーナ国内最大級のダムを決壊させる


ガーナの10月は乾季の始まりの時期にあたり、例年では降雨量が減少する。
しかし稀代の雨男、ぼくの登場により立て続けに大雨がガーナを襲い、国内最大の人造湖アコソンボ・ダムが緊急放水を行った。
完全決壊を防ぐための措置であったが、放水量をコントロールできず下流域に広範な浸水被害を出してしまった。
正確な被害は依然不明だが、少なくとも4,000人以上の地域住民が影響を受けたといわれている。

高校時代に「主要体育行事にすべて雨を降らせる体育委員長」としての伝説を残して以来、数々の雨男エピソードを打ち立ててきたものの、話がだんだん壮大になってきた。
例年なら既に乾季に入っているはず、と首をかしげるガーナの友人たちに対して、「温暖化による異常気象かもしれないね」とつぶやくことしかできない。
被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げたい。

今朝も任地ケープコーストでは季節外れの土砂降りとなっている。
誰か早くぼくをサハラ砂漠かどこかに連れて行ってくれ。

(参考)ガーナ赤十字webページ
"DONATE NOW"ページにて寄付受付中。
今回の被災地で避難テントの設置など救援活動にあたっている。
ガーナ国内ではpaypalなどの安価•安全な国際送金システムの多くが利用できない。
こういうときに義援金を集めにくいのが問題ですね。

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