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言わずもガーナ_43_たぶん過労だ文化祭

いつもは穏やかに過ぎる学園の日々が、にわかに慌ただしく感じられるようになった。

文化祭準備である。

ぼくの学校の人々はわりにお祭り好きらしく、学校対抗の運動会とか合唱・ダンスコンテストとか遠足・職場見学とかの学校行事がよく行われている。
今回は年に一度の文化祭(名目上は学校創立記念祭)が開催された。

生徒「今年は映像作品を出展したい!」
ぼく「えーぞえーぞー。映像だけに」
生徒「なので動画編集のやり方教えて」
ぼく「イチから!?」

PCルームに入り浸っている生徒たちで何か企画を考えようとしたらしく、今回は学校紹介ムービーを制作することになったとか。
頑張れとだけ言って放置したかったけど、仕方ないので少しだけ手ほどきをしてみた。

ぼく「撮影時はなるべく手ブレがないように何かに固定して・・・、カメラをテーブレに置くとか・・・」
生徒「そういうのいいから要点だけ教えろ」

前から思ってたけど、ここの生徒たちはぼくにまったく敬意を見せない。
ぼくの同僚たちに声をかけるときは「ミスター」とか「アンクル」とか敬称をつけるのに、ぼくは毎回呼び捨てである。
こう見えてぼくは小学校6年生のときに市内わんぱく相撲大会で3位入賞した男だぞ。
尊敬しろ。

指導にあまり威圧感が出せずに残念だが、生徒たちはすぐに基本的な操作方法を習得していった。
まあ細かいことを言えばメリハリのある素材撮影技術とか、違和感のないトランジション(場面転換)とかストーリーテリングの工夫とか、改善するべき点はいくつもあるけども。
微細な点をいちいち指導されては生徒もやる気がでないだろうし、ぼくも面倒くさいし、ということで聞かれたことにだけ答えるようにした。

生徒「学生寮の紹介と、制服の紹介も盛り込もうと思うんだけど、どう思う?」
ぼく「しょーかいしょーかい、いいんじゃない?」
生徒「よかった!」
ぼく(男子校の寮と制服が興味ひくものか知らんけど・・・)

少し教えると自分たちでサクサク進めていく。
これがZ世代というやつか。


そしてぼくの残業時間が増えていった。
生徒たちは15時過ぎまで授業があり、それからPCルームに集まって話し合いや撮影・編集作業に取り組む。
平日だけでは時間が足りないので土日も熱心に集まる。
その間だれか職員がいる必要があるので、ぼくは居残りと休出を強いられる。

日本の学校の先生の大変さを知りました。

そして迎えた文化祭当日。
ぼくは38℃近い発熱を経験した。

生徒「教室で試写してみたら音量が小さかったから直して! あと他の団体もプロジェクター使いたいっていうから、教室設置のやつを一個取り外して持ってきて!」
ぼく「いまオネツあるんだけど・・・、というか実際の環境で事前リハーサルしてみろって言ったじゃん」
生徒「これ終わったら寝てていいから! 早く!」

いつの時代も人気者はつらいものだ。
緊急の動画編集と現場作業を終えて、しばらく職場で横になっていた。

ぼく「うう、熱が下がらない。過労だ・・・」
生徒「それ過労じゃなくて老化じゃない?」

やっぱりこの生徒たちからは敬意を感じない。
しつけが必要である。

生徒「しつけーんだよ! って言ってほしいんか?」
ぼく「こりゃ失敬」

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おまけ
ガーナ在住の日本人のお祭りで書道体験したぼく。
カスレ具合で水不足を表現してみた。

意外とうまく書けたんじゃなかろうか。


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