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我が家にとうとう電気がつきました

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この度全盲夫婦の暮らす我が家に新しい家族が加わりましたので、合理的配慮として電気をつけることにいたしました。 同時に我が子との成長の記録もつけることにいたしました。 ごゆるりとお…
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2022年12月の記事一覧

ひなちゃんからのクリスマスプレゼント

 ひなちゃんが生まれてからの3ヶ月は本当にあっという間だった。年の暮れに、今年も早かったなと思うのは毎度のことだが、9月からはそれまでの倍以上の早さで過ぎて行った気がする。
 この3ヶ月の間に、ひなちゃんはいろんなことができるようになった。生れた当初は首も座っておらず、手足をバタバタさせて泣く「生き物」という感じだったが、ようやく人間らしくなってきた。
首が座ったり目でものを追えるようになったりと

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試練と喜びに満ちた私の2022

 今年1年の成果は自分が一つ年を取ったことと、地球に人類を一人増やしたことだ。私にとって、2022年は人生最大の試練と喜びを味わった年となった。
 妊娠が分かったのは1月下旬のことだ。それからの8ヵ月間はつわりとの戦いで、心身ともに最もきつい時期であった。
1日1日を過ごすことがこんなにも大変なことかと、ベッドやソファーの上でうずくまりながら何度となく思った。健康は何事にも代えがたい。
7月には誕

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もしひなちゃんが・・・

 ある日の夕食時の我々夫婦の会話。
僕 「もしひなちゃんに、(我々が視覚障害の両親であるということで)こんな家庭にどうして私を生んだんだって言われたらなんて答える?」
妻 「私たちが見えないっていうことで、いじめにあったりした時にってことだよね」
僕 「うん。
例えばそこでごめんって謝るのは違うと思うねんな。謝った瞬間に、ひなちゃん自身の存在を僕らが否定してしまうことになるから」
妻 「そうだね。

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どうする!沐浴

 沐浴!それは1日1回訪れる戦いの瞬間だ。
ぐにゅぐにゅと手足を動かし抵抗するひなちゃんの服を脱がせ、ベビーバスできれいに洗い、体を拭き、スキンケアをし、再度服を着せるミッションには丁寧さと手際の良さが求められる。
一たび鼻や口にシャワーのお湯が散ろうものなら、ひなちゃんは烈火のごとく怒りだし喚き散らす。体を洗うことに手間取れば冷えるようで、警報のようにまた叫び始める。
加えて浴室という環境が追い

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ひなちゃん居酒屋デビュー

 タイトルだけ見ると、20年も早いんじゃないかと言われそうだが、ひなちゃんとの3人でのお出かけは唐突に始まった。
その日、東京から遊びに来ていた我々夫婦の友人と久しぶりにご飯を食べに行くことになり、居酒屋に出かけた。出かける、と言ってもひなちゃんを連れて外出するのはほぼ初めてだ。
近所のスーパーに一緒に買い物に行くことは2・3回あったが、当然1時間以内に帰ってきていたし、何より歩いて5分の距離だ。

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ひなちゃんのよもやま話

ひなちゃん:
 ひなちゃんです。ママとパパに好き勝手に書かれるのもいかがなものかと常々考えておりまして。たまには私目線の報告があっても良いのでは?と思っている今日この頃です。
いやー、最近めっきり冷え込んできました。テレビをつければ天気予報氏が何年に一度の寒さとか何十年に一度の寒波とか毎年言っているようですけれども。
生後数か月の私にしてみれば、人生最大の寒さを毎日更新しているんですから。たまった

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初めての一晩ワンオペ育児から考えたこと

 ひなちゃんが生まれてから約2ヶ月が経ったある日。ままが1泊2日で友達と旅行に出かけた。
その友達とはずっと前から旅行に行きたいと言っていた。ただ妻は、最後の最後まで悩んでいたのだ。生後2ヶ月の我が子を一晩置いて出かけていいものかと。
僕としては旅行は大賛成だった。妊娠期間中は体調が安定せずそれどころではなかったし、何より定期的に日常から離れるのはとても大事だ。もちろんそれが我が子だったとしても。

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どうする!ミルクづくりと授乳

 ミルクづくりと授乳にも見えない私たちを助けてくれるグッズや手がかりがある。
当初私は母乳でひなちゃんを育てればよいと思い、正直ミルクのことをあまり考えていなかった。ところが産後1日目、理想とは程遠く母乳は数ミリ程度しか出なかった。どうやら子供を生めば自動的に母乳が出るわけではないらしい。
ひなちゃんも上手に最初からおっぱいを吸えるわけではなかった。母乳をあげる方ももらう方も安定するまでに長い練習

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【コラム】 実用的かはさておき

【コラム】 実用的かはさておき

 点字版の母子手帳があるのをご存じだろうか。我々視覚障碍者でも読めるように、母子手帳の内容を点字化した冊子だ。かく言う私も役所で教えてもらうまでその存在を知らなかった。
 妻の出産からさかのぼること約9ヶ月前、役所に母子手帳をもらいに行くと、やたら分厚い冊子があることに気付いた。広辞苑ともいえそうな大きさのこの冊子こそが、点字版の母子手帳だ。夫婦ともに全盲の視覚障害であることを職員さんに伝えたとこ

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