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めがね男子愛好会。

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やっぱり💕好きなものは、好きだと言おう。 声を上げて行こう!【#めがね男子愛好会】 (美しいイラストはyuhei.info) めがね男子👓をこよなく親愛している人達と、別にそれ… もっと読む
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#小説

七里ヶ浜にて

七里ヶ浜にて

何か嫌なことがあったり、落ち込んだりすると私はこの海を見に来る。

昨日、彼から突然「別れよう」というラインがきた。

理由は聞かない。

何故ならそれは私にとって傷口に塩をぬる行為に等しいことだから。

何となくわかっていた。

ここ一月ほど前から彼の態度がよそよそしくなっていたのを感じていた。

でも、見て見ぬふりをしてきた。

私から何か聞いたり咎めるようなことを言えば、ここぞとばかりに彼は

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硝子の蛙

硝子の蛙

わたしは蛙を飼っている。

それは硝子でできた半透明でサラサラした手触りの。

気持ちよくていつまでも撫でていたくなるようなひんやりとした感触の蛙。

ある日いつもの定位置であるマホガニーの飾り棚の上の蛙がいなくなっていた。

…何処に行った?

飾り棚の下の隙間や裏側、その周辺をあちこち探したけれど一向に見つからない。

私は毎朝この硝子の蛙を愛でないと心が落ち着かない。

手のひらにすっぽりと

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ダイエットよりも大切なこと?

ダイエットよりも大切なこと?

週3回通っているスポーツジムでよく見かける男がいた。

私が走っていると、ふと気が付くと隣のマシーンで走っている。

100キロは軽く超えるであろう巨漢の身体の割にはリズム良くステップを踏んでスイスイと走るその姿はジム内でもかなり目立っていた。

見ていて気持ちいいほど汗ビッショリになっている。

走りながら目の前のガラス越しに目が合うといつもペコリと頭を下げて挨拶してくる。律儀な男。

私はにっ

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しあわせの青い鳥

しあわせの青い鳥

自分の目に見えないことは信じない。

自分が体験したこと以外は信じない。

自分の存在など何の価値もない。

誰も私のことを分かってくれる人はいない。

なぜ私はこの世に生まれてきたのだろう。

なぜ生きなければならないのだろう。

この苦しみの先に何が待ち受けているのだろう。

もう二度と笑うことなどないのかもしれない。

生きる意味がわからない。

苦しむ理由がわからない。

なぜ私はここにい

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嬉しい楽しいありがとう

普通に生活をしていて、そこまで人に感動を与えられたり喜ばれたり力になれたりする事って滅多にない。

二人の子供が成人し、ようやく一息つけるようになったというところ。離婚して10年、学生だった子供たちも今はすっかり親の私を色んな意味でサポートしてくれるまでに育ってくれた。

一人の自由時間が増えた。仕事以外は自分の自由に使える。なんて贅沢だろう。時は金なり。休みの日は好きなだけ本を読みふけっていよう

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もう1人の僕の物語

もう1人の僕の物語

こんばんは🌕
この度は、ビスコ様よりお誘いを頂き「めがね男子愛好会」に入会致しました。

その特典として、なんと会長であるverde様が僕を想像した物語を書いて下さいました!

verde様の事、お母さんと呼んでもいいですか?と言いたいぐらい僕をよく見てくれており、とても嬉しくて涙が出ました。

現実の世界で生きる僕の所に、物語のルナが訪ねてきてくれた様なそんな驚き。

癖が強く偏っている僕の空

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夢の旅人 ルナ

夢の旅人 ルナ

「ちょっとルナ!あなたまたお弁当食べるの忘れたの?」

「あ〜、母さんごめん。忘れてたね。」

… 全くもう。

キッチンに置かれたお弁当箱は朝持たせたままのズッシリとした重さで返ってきて心配と同時に腹立たしくもあり。

息子のルナは時々こういうことをする。食べ盛りの高校男子というのに信じられない。

小さい時から何かに夢中になると他が全くお留守になるのだ。

自分の世界に入ってしまってこちらから

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夏の思い出(金木犀はヒーローだった?)

夏の思い出(金木犀はヒーローだった?)

 小学生の時の淡い思い出はあるでしょうか。

 私の経験から言うと、小学生でも高学年になると、異性という存在が気になるようになりました。友達の中にも「女好き」がいて、どこか遊びに行くにも女の子を誘っていました。

 私は誘うほどの勇気もなかったので、そいつのお陰で、女の子と遊べたようなものです。また、私の実家は農家で、庭が広かったので、たくさんの友達が集まってよく遊んでいました。たまに女の子が来た

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わたしのヒーロー

わたしのヒーロー

「では、これで一学期末のPTA集会を終わります。夏休みの間、くれぐれも事故のないよう、お母様方には子供達の規則正しい生活と健康の管理を宜しくお願い致します 。本日はお忙しい中お集まり頂きましてありがとうございました。」

ふぅ~~、と集まった親達から暑さと疲れによる溜め息が漏れる。

夏休みの注意書きや2学期の準備事項など、担任から配られた資料を片付けつつ3階の教室の窓から校庭を見下ろすと、真夏の

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Y

目が悪いなんて知らなかった。

だってあなたはいつも私の心をお見通しだから。

初めて会った時から常に私の考えてることの先を読む。意地悪だなと思った。

「俺のこと好きなんだろ?」

なんで分かるの? でも悔しいから認めてやらない。

「何言ってるの? 意味分かんないよ。」

そう言うと何も言わずにふふん、と鼻で笑った。

なんだか悔しい…。

初めてあなたの部屋を訪れたとき、その瞬間に出くわした

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