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なんでもない。

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記したつもりが消えていくもの。
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#mementomori

白昼。

白昼。

 川沿いを歩いて、この場所まで来た。ここら辺ドラマの撮影にもよく使われるのよね。なんて独り言を呟いたら、急に右側の木がザワって揺れて、あの匂いを纏った風が全身を力強く、かつ優しくフワリと抜けた。

 背後に気配を感じて振り向いたら、彼がいた…。

『あ、昼間でも登場出来るものなんだ?』

「アハハ…まあね、第一声がそれ?」

『何時も夢の中でじゃない?それにメール中とはね…』

「僕が去った後、キ

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and I became an angel。

and I became an angel。

memento・moriとの関連で、気になっているもの。

〈お迎え現象〉
人が死亡する前に実際はいないはずの人を見る現象。
死に行く人が見る最も多いお迎えはすでに亡くなった両親や友人であるが、飼っていたペットや故郷などを見るケースも報告された。

本当かな?どうなんだろう…。

前回の絵本…
「そして僕は天使になった」の続編。

そして僕も天使になった 
         文・画 池谷剛一 /

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おいしくてつよくなる。(その名はビスコ)

おいしくてつよくなる。(その名はビスコ)

 今月、わが家の犬が、13歳を迎えました。
人間の年齢に換算すると、64〜68歳くらいだそうです。朝、家族が外出して二人きりになると、家事をこなす私の後をついて離れず、真っ直ぐな眼差しで、こちらを見上げています。陽射しの明るい日中に、ふと目をやると、年月の流れを実感せずにはいられず、
「あなたも…歳を取ったねぇ…」と呟きながら撫でて話しかけます。「そうなのよ…」とキャッチ。同じ女同士。何故か?わた

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Automatic。

Automatic。

スタイリストの補助をしていた頃。

衣装を運び込む作業の途中で、
ある女性と少女を見かけた。
少し手前で止まり、通路を譲った。
二人は、ドアを開けられて、入室して行く。

小柄ながら、背筋の伸びたスタイル
あの強い眼差し。自分の親世代。
リアルタイムには知らないけど、有名な歌手だと
いうことは分かっていた。

その後ろから、線の細い、大人びた少女が、
戸惑いを隠せないような雰囲気で付いて行く。

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そのさき。

そのさき。

(苦手な方は読まないでください。昨夜の満月の揺らぎです。死について綴っています)

現在も実在するサイトを何度も読みに行く。

未だに。

読書家で、優秀な編集者だった彼女は、25才で世を去った。
最期の別れを、自ら記して…。

昨今のニュースを観ていて、不思議に思うことがある。「死について」また「memento・mori」だ。当然だけど、人間はいつか必ず死ぬ。自分が、たぶん想像するのとは異なる形

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