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王妃ペルシーナの視線 (2)
前節の「王妃ペルシーナの視線(1)」では、太陽神をまつる神殿の祭司の末裔だと自称する紀元後四世紀の文筆家ヘリオドロスの長編小説『エティオピア物語』の主人公、伝説的な美女カリクレイアの出生の秘密をかいまみた。それによると、彼女の本当の母親はエティオピア王妃ペルシーナであるという。そしてカリクレイアを受胎した経緯について記した書簡で、王妃ペルシーナ自身が告白する。ある晩のエティオピア王との行為の
王妃ペルシーナの視線 (1)
シリアの首都ダマスカスと北部の重要な都市アレッポを結ぶ位置にあるホムスは、その古名をエメサといい、古代末期に栄えた都市だった。古代ギリシアの文明が地中海世界からインド北部にまで席巻するヘレニズム時代の開始を告げたアレクサンドロス大王の東方遠征のころから、エメサは記録にはっきりと登場し、その中心には太陽神エル・ガバルをまつる神殿があったという。「エル・ガバル」という名称は、ギリシアの太陽神ヘリ
科学革命の史的コンテクスト:インテレクチュアル・ヒストリーの手法と実践
2014年の夏に、東大の駒場キャンパスでおこなった集中講義の序論です。インテレクチュアル・ヒストリーの説明と、実際にどういうところに注目して実践していったら良いのかについての話をしました。
科学革命とは?
1990年代を中心に「科学革命」という概念の妥当性を再考する運動が顕著になり、とくに英語圏では、それなりの市民権をもつようになりました。僕も海外で作品を発表するさいに、この言葉を使うと異
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