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科学革命の史的コンテクスト:インテレクチュアル・ヒストリーの手法と実践
2014年の夏に、東大の駒場キャンパスでおこなった集中講義の序論です。インテレクチュアル・ヒストリーの説明と、実際にどういうところに注目して実践していったら良いのかについての話をしました。
科学革命とは?
1990年代を中心に「科学革命」という概念の妥当性を再考する運動が顕著になり、とくに英語圏では、それなりの市民権をもつようになりました。僕も海外で作品を発表するさいに、この言葉を使うと異議や質問を受けることも往々にしてあります。つまり現在では、この概念に反対する人たちもけっして少数派ではないのです。しかし、研究者たちのあいだでこの言葉の使用が消えてしまったわけではありません。
では、なぜこの科学革命という概念の使用はなくならないのでしょうか?やはり実際に、この言葉は便利なのです。とくに、人々になにかをアピールするときに便利なのです。たとえば、国際会議を開くとき、会議のタイトルに科学革命と入っていると多くの聴衆が集まるのです。本や雑誌の特集号のタイトルに科学革命とついていると売りあげが伸びるのです。本が売れるというのは商業的な視点ですが、国際会議に集まる聴衆となると研究者や学生が多いわけです。つまり、学問界(アカデミア)の視点からも、この科学革命というキーワードはアピール度が高いわけです。根強い人気があるのは、いまだに論争が続いていること、そしてやはり本が売れ、聴衆が集まり、話題になるという面を無視することはできないと思います。
もし一七世紀の西欧に科学革命と呼ばれる近代科学の形成にとって重要な運動が起こっていたとするなら、この集中講義ではその少し前の段階、つまり一六世紀を中心とする「ルネサンス」と呼ばれる時代に焦点をあて、この時期になにが起こっていたのか、どういう時代であったのかということを考えていきたいと思います。科学革命の歴史的な「背景・文脈」(コンテクスト)としてのルネサンスという位置づけです。
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