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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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#コラム

【essay】永遠を求めない、スープの話

【essay】永遠を求めない、スープの話

あれは、2024年があけてまだ1週間も経たない時だった。
宅配便で身に覚えのない荷物が届けられて、中身を確認してみると
『おめでとうございます。当選したました』という印刷された挨拶文とともにスープメーカーが入っていた。
その挨拶文を読んでみると、私は半年くらい前に、よく覚えていないが雑誌のプレゼントキャンペーンに応募していたらしく、それの3等が当たったらしい。それがスープメーカーだった。
さて1等

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【essay】 27歳という数字の曲がり角

【essay】 27歳という数字の曲がり角

私はもうとっくに27歳の時期は過ぎてしまった。
過ぎてしまったから、今からあれこれ考えてもしょうがないのであるが、
講談社から出版されている『わたしたちが27歳だったころ』という本を読んでいると、自分が27歳だったころのことをどうしても思い出してしまう。
『25歳はお肌の曲がり角』という化粧品メーカーのコピーが世の中の25歳前後の女性たちをヒヤヒヤさせていた時期があったり、『29歳のクリスマス』と

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批判は情報

批判は情報

非科学的な占いの話で申し訳ないのだが、今日の私の占いが『誰かに怒られたらそれは運が良いと思いましょう。怒られるということは期待されているということです』となっていた。常にそう思えたら良いのだが、なかなかそこまで人間できていない。以前読んだ本(何の本だったか忘れた)で「批判は情報」という言葉が出てきたのを鮮明に覚えている。批判を「悪口」と受け取るか批判を「教え」と受け取るかでずいぶん違うということが

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リコ と リタ

リコ と リタ

リコとリタ...イタリア人の愛称か?はたまたディズニーの新しいキャラクターか?みたいなタイトルだが、『利己と利他』と漢字で書くとピンとくるだろう。漢字ってこういう時にすごく便利だ。字面を見ただけで「ははぁ〜ん」と納得する。

利己とは、利己主義という言葉でもわかるように自分のことしか考えていないことで、利他とはその正反対で自分を犠牲にしてでも他を助けることをいう。あなたはどちらだ?と問われてもなか

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「ネ」の行方と、「わ」の未来

「ネ」の行方と、「わ」の未来

以前にもたぶん書いている。このnoteだったか以前のブログだったかは忘れたが、確かに書いた記憶がある。「ネ」の行方については誰かの(誰だったかそれも忘れた)のエッセイを読んで、なるほど...と考え込んでそれ以降気をつけて「ネ」の行方を見守っている。

そもそも「ネ」とは何かというと、手紙や文章の語尾に「ネ」とカタカナで書くことを言っている。『頑張りましょうネ』『また会いましょうネ』『すっかり秋らし

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だからさぁ、やっぱりワイン通は嫌われる

だからさぁ、やっぱりワイン通は嫌われる

『セレブ気取りですね』『気取ってる感じがします』『なんか上から目線』

インスタグラムのストーリーにその日に飲んだワインを投稿すると、好意的なコメントもあるが、少なからず上記のようなコメントをもらう。セレブ気取りでもなく、気取り屋さんでもなく、上から目線でもないと自分では思っているが、中にはそうは思ってくれない方もいるようだ。以前から思っていたことだが、例えばビールや酎ハイや日本酒などを投稿した時

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スピンとブックカバーと、わたしと。

スピンとブックカバーと、わたしと。

新しい本を読み始める時、自分で好きな模様の紙を丁寧に切ってブックカバーを作る。そして読み終えるまで多少汚れてきてもそれを外さずにいる。最初はゴワゴワしていて本にぜんぜん馴染まない。本自体がそのカバーを拒否しているかのように表紙に触れさせないようにしているのだ。そんな時、この本はお金を出して買ったにもかかわらず私のものでもなく、誰のものにもなっていないのだなと思う。

表紙をめくる。最初の文字が目に

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作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。

作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。

編集者の川治豊成さんによると、文章には体臭のような匂いがあって、読まなくてもその文章を絵を見るようにパラパラと見ただけで面白そうだなとかつまらなそうだなとかがわかるらしい。
でも匂いの好みは人それぞれ。だから絶対的に「これが良い」というものはないのだそうだ。爽やかな匂いが好きな人もいれば、ねっとりとした甘い匂いが好きな人もいる。中には人が嫌がる匂いが好きな変わり者もいるが、それもまたその人の好みだ

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貧乏とは、かくなるもの。

貧乏とは、かくなるもの。

朝起きてキッチンに入ると、ぽわ〜んと文旦のいい香りがする。先日、高知県の方から頂いた。食べる楽しみもあるが、この香りがなくなると思うとなかなか食べきれないでいる。根が貧乏性なのだろう。なくなれば自分で買ってくればいいではないかということになかなか行きつかない。その砲丸投げほどある丸いものを手に取って鼻にくっ付ける。恍惚感が一気に溢れ出す。

食べきれないものは他にもある。深谷のネギだ。ネギの香りも

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