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音楽レビュー

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2020年1月の記事一覧

もう少しだけ2019年を引きずってみる(個人的に出会ってよかった作品54)

もう少しだけ2019年を引きずってみる(個人的に出会ってよかった作品54)

普段はどちらかというとアンビエントかノイズかアラビア・トルコ音楽を聴いている私ですが、いわゆる「テン年代」の終わりとしての2019年は、再結成やら数年ぶりのリリースやらで色々とあって、自分の好きなアーティストの復活に心踊らせているうちにあっという間に過ぎてしまいました。

・・というわけで(?)、実は個人的ベスト作品25というものはすでに記事化しているものの、それではあまりにも取りこぼしてしまった

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何だか聴いたことがあるようで新しいもの、としてのアルチュセール的理解(Easy Life『Junk Food』レビュー)

メロウなキーボードのメロディに打ち込みやサンプリングされたパーカッション、そこにギターやベース、ドラムといったオーセンティックなバンド構成を合わせつつ、サックスやトラペットなどの管楽器が時折姿を見せ、レイドバックした調子のラップが展開される・・

果たしてこれはファンクなのか、ヒップホップなのか、ソウルやジャズの参照点もありそうだが、BBCのSound of 2020にて「 hard to pin

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★月間まとめ:師走とともに過ぎ去った音楽を振り返る

★月間まとめ:師走とともに過ぎ去った音楽を振り返る

今年も始まったなあと思ったらいつの間にか1月の1/3が経過していて、焦ったりなどしておりますが、年明けは主にアラビア・トルコ音楽を聴いていて、何だか正月なんだかどこにいるんだか良くわからない時間軸を過ごしていました。

・・というわけで、年末〜年明けに色々とあり、つい発表が遅れてしまいましたが、12月後半のキャッチアップ、おさらいをしようと思います。前回までの12月前半の部分については下記をご参照

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記号的であること、匿名的であること(Brainwaltzera「The Kids Are AI」レビュー)

記号的であること、匿名的であること(Brainwaltzera「The Kids Are AI」レビュー)

例えば Vaporwaveの名盤『フローラルの専門店』をリリースしたアメリカのアーティストVektroidが、Machintosh Plus、情報デスクVIRTUALなど同時多発的に別名義での作品をリリースし拡散するという(セルフ・)プロモーションを行なった一方、

嘗てのウィッチハウスのようなムーヴメントがそうであったように、Unicodeや三角形、十字架といった可読性の低い記号を用い(†‡†、

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モダンでありノスタルジックであるもの、局所的であり普遍的であるもの(The Spy From Cairo『Arabadub』レビュー)

モダンでありノスタルジックであるもの、局所的であり普遍的であるもの(The Spy From Cairo『Arabadub』レビュー)

はたして、ポピュリズムの向かう先はどこだろうか?貧困を無くし、教育や学問を子供に与え、インフラを整備し、衛生面も整え、快適な生活を送れること・・健康的で近代的な営みは、人間に安息と文化的繁栄をもたらす。

・・それは本当にそうだろうか?

例えば、NoFXというバンドの楽曲に「Kill All The White Man」というものがある。そこで歌われているのはこうだ。

”白人は自分のことを「文

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