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週刊ヴェルデ

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短めのエッセイを、週一回を目標に更新。
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記事一覧

徒然日記

昨日、原稿を一本仕上げたことで、少し俯瞰して考える余裕ができた。
最近、とにかく案件をこなすことに執着しすぎていたような気がする。
文を書いていく途上、何かパーツを欠いたまま、無理やり機械を稼働しているような感覚もあった。
それが何なのか。今日一日考えてみた結果、「ストーリー性では」と思い至った。
とにかく、正確な情報を、読める形に並べ、整えなければ、と思いつつも、気がつけば情報を詰め込みすぎたり

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徒然日記~これまでに執筆した本と、これからの目標

用事があって出掛けた際に、アトレの中の書店に寄ってみたら、執筆協力した『名画best 100』が平積みされているのを発見。

私にとって、最初の紙の仕事だったこの本に関しては、もっと担当箇所を増やしたかった、など思うところもある。
が、最初に提示された時には、「宗教画、肖像画など、ジャンルごとのベスト10を10本分」だったのに対して、「ジャンルや時代に関係なく1位~100位にする」よう提案したのは

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テルマエ展へ行って考える

テルマエ展へ行って考える

今日は汐留ミュージアムの『テルマエ』展の内覧会へ。
古代ローマの生活文化を、「入浴」を中心に紹介していこう、というコンセプトで、漫画『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリさんも協力者として参加している。
以前、『ポンペイ』展を取材した時にも思ったが、約2000年の時間の隔たりがあるにも関わらず、古代ローマの生活と、現代の私たちの生活に、なんと共通項が多いことだろう。

その「共通項」の代表例が、「

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もっと早く出会いたかった

もっと早く出会いたかった

「もっと早くこの画家(作品)に出会いたかったな」
先日、SOMPO美術館での『北欧の神秘』展の内覧会の会場を歩きながら、私は何度そう慨嘆したことだろう。
もっと早く、その存在を知っていたなら、本文執筆を手がけ、昨年発売された『西洋絵画 風景をめぐる12か月』にも入れただろうに、と。

確かに、ムンクをはじめ、ソールベリやガッレン=カッレラなど、北欧の画家の作品は何枚か入れていた。

ガッレン=カッ

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気になる作品~「画家ボナール ピエールとマルト」

気になる作品~「画家ボナール ピエールとマルト」

今年の秋に公開予定の映画『画家ボナール ピエールとマルト』が、今週末からのフランス映画祭で先行上映されるらしい。
ピエール・ボナールはナビ派の画家で、浮世絵をはじめ日本美術が大好きで、その平面的な表現を積極的に取り入れた事から「日本かぶれのナビ」と仲間内でもあだ名されていた人物である。
ナビ派時代は、渋めの色調だったが、南フランスに移ってからは、赤や黄色、オレンジなど暖色系を多く用いた明るい画面へ

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大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』~クリエイターを目指す人へのオススメ本

大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』~クリエイターを目指す人へのオススメ本

今更ながら、大島真寿美の直木賞受賞作『渦』を読んでいる。
人形浄瑠璃の作者(つまりシナリオライター)の話なのだが、主人公や彼を取り巻く人々の浄瑠璃や芝居の仕掛けに賭ける熱量に圧倒されるばかりである。
文字通り「三度の飯よりも浄瑠璃が好き」で、芝居の内容について話し出したら止まらない主人公・半二。
「近松門左衛門の後継は自分」と決め込み、しかし、肝心の作品は一行も書けずに、鳴かず飛ばずの日々を過ごす

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考えるな、感じろ~私のモットー

テコンドーを始めてからしばらくは、型や技を覚えること、それを間違えずに出すことで頭がいっぱいだった。
「練習中はいくら間違えても良いから、頭でごちゃごちゃ考えるな」
とは師範にもよく指摘された。
が、こちらとしては「無理な話」だった。
とにかく、師範の手本を再現しようとするも、何か違う。それが頭の中に渦を巻いて、体を重くする。そのせいで、また動きがぎこちないものになる。
師範からすれば、一つの動作

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読書日記~湊かなえ『落日』

湊かなえ『落日』を読了。昨日今日の二日で読んでしまった。
湊かなえといえば、イヤミス。後味が悪い話はどちらかと言うと苦手なのだが、中毒性と言うのだろうか、時々手を伸ばしてしまう。
最後に読んだ彼女の本は、『ブロードキャスト』だったか。こちらは、「イヤミスの女王」という名前から想起されるにしては珍しい、青春小説だった。(一気読みした)

さてこの『落日』は、過去の事件を軸に据えた、新進の映画監督と売

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浮世絵展の切り口

北斎、広重、歌麿、写楽、国芳、春信… …
浮世絵師のビッグネームといえば、こんなところだろうか。
浮世絵についての展覧会といえば、だいたい彼らの作品が集まる。
北斎の〈神奈川沖浪裏〉を、私はこれまで
いくつの展覧会で見てきただろう。

たが、絵師一~二人に焦点を当てたものにせよ、有名どころを集めた大規模なものにせよ、展覧会の主役となるのは、絵師であり、商品として完成され、江戸に流通していた彼らの

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「光悦の大宇宙」展より(覚え書き)

「光悦の大宇宙」展より(覚え書き)

「光悦の大宇宙」展の内覧会に行ってきた。
印象的だったものの一つが、展覧会の後半に飾られている『鶴下絵三十六歌仙和歌絵巻』。
これは、鶴の大群が飛び立ち、上昇や下降を繰り返しながら向こう岸に到達するストーリーを、俵屋宗達が全長13.5mの画面に下絵として描き、そこに光悦が、三十六歌仙の和歌を散らし書きする、というまさに奇跡のコラボレーション。

装飾的な下絵をほどこした料紙に、和歌を散らし書きする

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徒然日記~生き続けるコンテンツ

創作物、そしてその作者の名が、同時代だけでなく、百年、二百年、と時を越えて残り続け、なおかつ人々から愛される、というのは奇跡に近い。
例えば、「歌川」と名のつく絵師といえば、広重や国芳の名が思い浮かぶだろう。
彼らの作品は、時間も国境も越えて愛され続け、その名は燦然と輝いている。
と言っても、彼らとて最初から順風満帆だったわけではあるまい。
特に広重は、下級とはいえ武家に生まれ、13歳で家長として

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2024年の目標

を書き出してみる。

・テコンドーで青帯をとる(~3月)
・シナリオ講座の課題シナリオ、残り17本をクリアする
・アウトプットに力を入れる
 Web記事の仕事だけではなく、noteでの発信に力を入れ、毎日更新をめざす
→そのために、決まった時間にnoteを開き、つぶやきでも何でも書く習慣を身につける
・自分の名前で本を出す(紙媒体か、Kindleで)
・年内のライティング収入で20万円以上を目指す

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鳥文斎栄之という男~鳥文斎栄之展@千葉市美術館から

鳥文斎栄之という男~鳥文斎栄之展@千葉市美術館から

浮世絵で美人画、といえば誰が思い浮かぶか?
この質問に対し、多くの人は歌麿の名前をあげるだろう。
バストショットで捉えられた女性たちの様々な仕草や表情は、まさに彼の観察眼の賜物、とも言えようか。
歌麿が数多くの画家の中でも抜きん出た存在となっているのは、このバストショット、つまり「大首絵」を取り入れ、美人画の新たな境地を切り開いた「パイオニア」としての功績もあるだろう。
そんな歌麿と同時期に活躍し

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徒然日記~窓、窓、窓……

ライターとして、自分の幅を広げたい。
書く物の質を底上げしたい。
そして、「面白い」という映画の仕事に近づきたい。

そんな動機から、シナリオセンターのワークショップを受け、勢いで8週間講座に申し込んだ。
8週間講座は、何だかんだで最後の一回を除いては毎週の課題を提出していた。
が、本科にあがって、書くべき枚数が20枚に増え、さらに「小道具」の括りができて、どうしたら良いのかわからなくなってしまっ

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