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「ヴェネツィア」を作った男カナレット~『カナレットとヴェネツィアの輝き』展内覧会から
SOMPO美術館の『カナレットとヴェネツィアの輝き』展の内覧会を取材。
カナレットは、本文執筆を手がけた『西洋絵画 風景をめぐる12か月』でも3枚ほどの作品について紹介した。
その時は、そこまで思い入れのある画家ではなかったが、今回の展覧会で彼の大きさを思い知った。
カナレットは、一言で言えば、今私たちが思い描く「ヴェネツィア」を作った男だった。
広い青空。
きらめく海の上に浮かぶ建物。
都
徒然日記~松園を追い掛けて
なぜ、松園は謡曲(能楽)の中に自分の突破口を見いだしたのか。その答えを求めて、1日悩み、仕事の後は、能楽に関する本を三冊ほどめくって、答えを探した。
......能楽は、「演劇」で、限られた表現の枠の中で、喜びや悲しみ、怒りなど様々な感情を表す。詰め込むのではなく、決まった枠組みの中だからこそ、余計なものはおのずと排除され、最低限必要なものーーー「本質」だけが抽出されて残る。
この日本文化全般に共
徒然日記~TSUTAYAのこと
今日、出先で見かけたTSUTAYAが8月31日で閉店するとの告知を見た。
最近、どんどんレンタルのできるTSUTAYAの店舗が街から消えていく……。
何となく、ドラマや映画で何か良い物がないか、と店の中をぶらつくのは楽しみの一つだったのに。
新作コーナーを眺めながら、「お」と思う一枚を見つける。あるいは、沢山あるDVDの中から、古い名画と呼ばれる作品を発掘する。店員のおすすめに手を伸ばして見る。
2026年大ゴッホ展!
2026年、大ゴッホ展が上野に来る!
大が冠せられているだけあって、今までにないスケールのものになりそうだ。
福島でやるとは聞いていたが、東京に来てくれるか!
現時点での情報で、楽しみなのはあの〈夜のカフェテラス〉に会えること。
ゴッホ作品の中でも大好きな一枚で、初めての20枚シナリオにも登場させている。(ギリギリまで、〈星月夜〉と迷った)
その本物に会える!
昔のリベンジができる。
絶対に会
徒然日記~原田ひ香さん『ランチ酒』
最近、原田ひ香さんの『ランチ酒』シリーズを写経しているが、やはり彼女の短編には20枚シナリオの手法に通じるものがあるような気がする。
主人公・祥子の職業を「見守り屋」に設定し、職業も年齢も様々な人と出会い、数時間の間、間近に接し、彼らとの抱える問題や、これまでの時間の積み重ねを垣間見する。
それは時に主人公自身の抱える過去(妊娠したのをきっかけに結婚したものの、うまく行かず、最終的には娘を置いて離
徒然日記~これまでに執筆した本と、これからの目標
用事があって出掛けた際に、アトレの中の書店に寄ってみたら、執筆協力した『名画best 100』が平積みされているのを発見。
私にとって、最初の紙の仕事だったこの本に関しては、もっと担当箇所を増やしたかった、など思うところもある。
が、最初に提示された時には、「宗教画、肖像画など、ジャンルごとのベスト10を10本分」だったのに対して、「ジャンルや時代に関係なく1位~100位にする」よう提案したのは
テルマエ展へ行って考える
今日は汐留ミュージアムの『テルマエ』展の内覧会へ。
古代ローマの生活文化を、「入浴」を中心に紹介していこう、というコンセプトで、漫画『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリさんも協力者として参加している。
以前、『ポンペイ』展を取材した時にも思ったが、約2000年の時間の隔たりがあるにも関わらず、古代ローマの生活と、現代の私たちの生活に、なんと共通項が多いことだろう。
その「共通項」の代表例が、「