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母の日に「内省」という名で、ごちゃごちゃ考えている。
昔から、私はやることは何でもそれなりにやってのけるタイプだ。
これには理由がある。
そもそも、苦手なことは極力やらなかったからだ。
小学校低学年時に習っていたピアノ、
折り紙や裁縫といった手先の細かい作業、
パズルなどのコツコツ組み立てていくもの、
数学や理科といった数字や記号を扱う思考は、
早々に「私の人生には必要ない」とバッサリと切り捨ててきた。
得意なことに力を注ぐ。
苦手分野はスルーする
あの頃の冒険は、いつの間にか少々退屈な日常になってしまった。
雲ひとつない青空に、飛行機雲が数本、あちこちの角度に伸びている。
ドイツ・フランクフルトの空だ。
市内から空港が近いこの街では、
空を見上げれば、
いつでもどこかに飛行機が飛んでいる。
先月までの灰色の空から一変して、
すっかり春らしい陽気になった。
イースター4連休。
貰ってきたり、自分たちで買ったりして、
玄関先は、気が付けばウサギのチョコレートだらけだ。
市内に出かけると、
今年も本屋さ
彼女は「小さい私」ではなかった。
私にはふたりの娘がいる。顔も性格も、5歳の長女は私に似ていて、2歳の次女は夫に似ていると言われる。
長女は自己主張が激しい。実によく喋り、ずっと文句か要求を言っている。そんな風に我が強いわりに、実はメンタルはそんなに強くない。ちょっとしたことで傷つき、拗ねる。そんなところも私に似ていると思う。彼女と私が言い合いをしていると、夫は私たちの顔を見比べて「……一緒やん!」などと言いながら、通り過ぎてい
美しいおっさんの背中を見て、歳をとるのも悪くないと思った。
毎週火曜日の夕方、私は機嫌が良い。夕飯の支度を済ませ、私が出かけるのを引き止めようとする娘たちのほっぺに軽くキスをして、「いってきます」と軽い足取りで家を出る。あるおっさんに会いに行くのだ。
おっさんの名前はマリアーノという。多分40代半ばだろう。無精ひげなのか、あえてそういうデザインなのか、よくわからないモジャモジャの口元。かきあげる様子が異常にセクシーなクセのある髪。無駄のない、鍛え上げられ