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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】東洋医学からみる「あんみつ」の世界

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

鍼灸治療では、症状の改善に役立てる、日常的な養生の方法のひとつとして、食生活上で気を付けることをお話することがあります。

甘いものに関しても、必ずダメというわけではなく、
・少し取りすぎに気を付けましょう
・上質な甘味を少しとるようにしましょう
など、その人の状態によって摂取を控えるようにしたり、すすめたり、と食養生は様々です。

今回は、TV番組【マツコの知らない世界】で、先日、テーマとして取り上げられていた「あんみつ」について、東洋医学からみる「あんみつ」の世界をご紹介していきます。

どうぞ最後まで、お楽しみください!!

1.甘味と身体

梅雨の季節は、すっきりしないお天気に合わせるかのように、気持ちがどんよりしたり、からだが重かったりと、心身の不調を感じがちです。
そんな時、つい、甘いものに手が伸びてしまうことはないですか??

東洋医学では、梅雨の時期の湿気が、胃腸の働きを弱らせて、身体の中に余分な水分を溜まりやすくさせて、様々な不調をひきおこします。
また、胃腸の働きと甘味は東洋医学の五行において関連性があると考えられており、甘味をとると胃腸の働きを良くするという効果があることから、自然と甘いものをほっしてしまうようになる、のように考えることができます。
ただし、適度な量の天然で上質の甘味は胃腸にとって良い効果をもたらしますが、過剰な量の人工の甘味は、逆に胃腸を弱らせてしまい、症状を悪化させることになるため、甘味のとりすぎには注意が必要です。

そこで、自然な甘さにあふれる甘味のひとつとして、古くからある和の甘味『あんみつ』を食べてみるのはどうでしょう?

自然でのど越しのよい『あんみつ』の甘味は、気持ちがほっとして、からだから元気が出てくるような、そんな感じがしてきますね!
また、いろいろな材料の組み合わせでできているあんみつは、その食感だけでなく、色とりどりで目で見て楽しむこともできます。

では、ここから先は、そんな『あんみつ』について、その歴史や効能などをご紹介していきます!

2.「あんみつ」の歴史

「あんみつ」といえばみなさんご存知の通り「みつまめ(蜜豆)」にあんをのせたものです。
あんや蜜に種類があったり、クリームやアイスをのせたりと、そのバリエーションはさまざまなので、お店ごとの盛り付けや味が楽しめます。

ベースとなる「みつまめ(蜜豆)」は、さいの目に切った寒天のうえに、塩ゆでのエンドウ豆、白玉や求肥餅を盛りつけたものにフルーツを添え、糖蜜をかけただけのシンプルなものですね。

この「みつまめ」の原型はさらにシンプルです。しん粉(米粉)餅と茹でたえんどう豆に蜜をかけたもので、江戸末期の頃に屋台で庶民や子供向けに売られていたものといわれています。

今のような形になったのは、一説には、明治36年に浅草の和菓子店「舟和(ふなわ)」が、角寒天、甘煮杏、ぎゅうひ、赤えんどう豆を器に盛って蜜をかけたのが始まりと言われています。

その後、銀座にある「若松」がみつまめにあんこをトッピングし、それを「あんみつ」として提供したのをきっかけに、あんみつが全国に広まったと言われています。

3.栄養学としての効能

「あんみつ」は、ケーキやパフェなどの洋菓子に比べればカロリーが控えめですが、甘いものを食べると太るのではないかと不安になったり、からだによくないのではと心配になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、あんみつのカロリーや栄養効果、食べ方のポイントを考えてみたいと思います。

3-1.「あんみつ」のカロリー

「あんみつ」はいろいろなお店で提供されていて、お店ごとに1食あたりのボリュームや、使われている素材の種類によって異なりますが、寒天・白玉・赤えんどう豆・あんこ・フルーツに黒蜜をかけていただく、ごくシンプルな「あんみつ」のカロリーは1人前で200カロリー前後です。

200カロリーって多い?少ない?

年齢や身体活動レベルによって変わりますが、成人女性のエネルギー必要量が1,700〜2,350kcalと言われていますので、一日の食事量で考えれば10%程度に相当します。
また、ケーキは300カロリー前後、シュークリームは200カロリー前後、市販のアイスクリームは1個あたり300カロリー前後ですので、洋菓子と比較して特に低カロリーというわけではありませんね。

3-2.「あんみつ」の栄養効果

「あんみつ」にはいろいろな材料が使われています。
中には、からだにうれしい食材もありますので、代表的な材料を見ていきましょう。

①寒天:寒天は天草という海藻からできています。全体量のおよそ70〜80%が食物繊維で、特に水溶性食物繊維を多く含まれています。整腸作用のほか、糖の吸収を抑えたり、コレステロールを体外に排出する作用があります。そのため、便秘や軟便などで悩んでいる方や、ダイエット中の方にはうれしい食材です。

②赤えんどう豆:あんみつに入っている豆は「赤えんどう豆」です。タンパク質、食物繊維のほか、女性に不足しがちな鉄分も含まれています。そのほか、ミネラル分やビタミン類も多く含んでいます。

③餡:以前の記事でご紹介しましたが、餡の原料はあずきです。あずきには、ビタミンB1、カリウム、鉄などが含まれています。また、あずきのタンパク質には、ひとの身体の中で合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)が豊富に含まれています。強い抗酸化作用を持つポリフェノールやサポニンも含まれていて、アンチエイジングや目の健康に役立ちます。

④ぎゅうひ餅:ぎゅうひの原料はもち米です。主成分は炭水化物ですが、良質なタンパク質やミネラル分、ビタミンB1、食物繊維も含まれています。炭水化物はからだの重要なエネルギー源で、特に脳や神経系にとっては唯一のエネルギー源です。

⑤フルーツ:一般的にフルーツにはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCには、鉄分の吸収を助ける役割もありますので、鉄分を含む赤えんどう豆と一緒に食べるのは効果的です。

⑥黒蜜:原料は黒砂糖です。黒砂糖はさとうきびの搾り汁から直接作られます。そのため、苦みや渋みなど独特の風味があり、たんぱく質やミネラル分も豊富です。ミネラル分のうち最も多く含まれているカリウムには、塩分を排出して血圧を下げる効果があります。余分な水分を排出する作用もあるので、むくみの解消や予防に効果的です。

このように食材を見ていくと、「あんみつ」は栄養面でバランスのよい甘味のようです。
乳製品など高脂質・高カロリーのものは含まれていませんので、健康を気にする方にとってはやさしい甘味かもしれませんね。

4.東洋医学的な効能

4-1.「あんみつ」の材料と東洋医学

ここでは、「あんみつ」の材料それぞれについて、東洋医学的な属性と効能を見てみましょう。

1)寒天(てんぐさ)
かんてんの材料です。
【性質と味】 甘・鹹、寒、滑
【関連する臓腑経絡】 肺・肝・大腸経
①軟堅散結(なんけんさんけつ):堅く凝り固まった腫瘤や結石などを軟らかくします。
②清肺化痰(せいはいけたん):肺の熱を鎮め、痰をきます。
③清熱利湿(せいねつりしつ):体内の熱を鎮め、余分な水分を排出します。

2)赤えんどう豆
あんみつに入っている豆です。
【性質と味】 甘、平(甘・鹹、寒、滑)
【関連する臓腑経絡】 脾・胃経
①健脾利湿(けんぴりしつ):胃腸の機能を高め、からだの余分な水分を除きます。
②生津(せいしん):唾液などの分泌を促進します。
③消張通乳(しょうちょうつうにゅう):気血を巡らし、乳汁の出を良くして乳房の脹れや痛みを解消します。

3)あずき
あんこの材料です。
【性質と味】 甘・酸、微寒
【関連する臓腑経絡】 心・小腸・脾経
①利水消腫(りすいしょうしゅ):利尿作用があることから、身体の中の余分な水分を排出しやすくして、むくみを解消します。
②解毒排膿(げどくはいのう):身体の毒素を消し、膿を排出させます。

4)もち米
白玉の材料です。
【性質と味】 甘、温(苦、温、無毒)
【関連する臓腑経絡】 脾・胃・肺経
①補中益気(ほちゅうえっき):胃腸の消化吸収力を高め、からだに必要な栄養を補います。
②健脾止瀉(けんぴししゃ):胃腸を整えて慢性的な下痢を改善します。

5)黒蜜(黒砂糖)
あんみつにかける蜜の材料です。
【性質と味】 甘、温
【関連する臓腑経絡】 脾・胃・肝経
①散寒駆風(さんかんくふう):寒邪を追い払い、腸内のガスを排出します。
②活血消腫(かっけつしょうしゅ):血行を良くして、むくみを解消します。

5.「あんみつ」の食べ方のポイント

これまで、あんみつを栄養学的、東洋医学的にみてきました。
甘いものは、身体や体重のことを気にして我慢をしたいけど、やっぱり食べたいという時、その食べ方を工夫してみてはいかがでしょうか。

お店のメニューには、シンプルな「あんみつ」のほかに、白玉をのせた「白玉あんみつ」やアイスクリームやホイップクリームをのせた「クリームあんみつ」などが並んでいますね。

「クリームあんみつ」は乳製品が加わるので、どうしても高カロリーになりがちです。
シンプルな「あんみつ」であればカロリーの大半は黒蜜の糖分です。ダイエット中などでカロリーが気になるのであれば蜜を控えめにしてみるといいかもしれません。

また、もう少し低カロリーにこだわりたい方には「豆かん」がおすすめです。寒天とたっぷりの赤えんどう豆の上に蜜をかけるだけですが、ほんのり塩味の赤えんどう豆と蜜の甘さ、コリコリとした寒天の食感を存分に味わえます。
ただし、くれぐれも蜜のかけすぎには注意してくださいね。

6.千葉市と「あんみつ」

筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は千葉市内千葉駅、千葉中央駅の近くに位置しています。
女性は、男性に比較して、甘いものが好きな人の割合が多いことから、女性患者様からも甘味の食養生について質問を受けたりすることは少なくありません。
そういったときに、千葉駅周辺でおすすめする、とっておきの甘味スポットの一つが『甘味処 楓(かえで)』です。
このお店は、先日のTV番組【マツコの知らない世界】の中でも紹介をされていたお店です。
当院からは、ぷらっと散歩にちょうどよい、歩いて20分ほどのところ、西千葉駅のすぐ近くにあり、白あんを使った「白あんみつ」が食べられるのが、おすすめポイントです!

あんみつといえば粒あんかこしあんを使ったものが多いので、白あんは珍しいですよね。

『甘味処 楓』白あんみつ

筆者は先日、お休みを利用して、実際に食べにいってきました!
黒蜜か白蜜が選べますが、今回はあんに合わせて白蜜を選びました。
少し小ぶりの器に入った白あんみつは、とてもさわやかに映ります。
十勝産の白いんげん豆を使用した白あんはとてもまろやかで上品な味わい。寒天の歯ごたえもよく、白蜜であっさりといただくことができ、初めての味わいでした。
また、エンドウ豆は好みにあわせて、入れるかどうかを選ぶことができます。

『甘味処 楓』さんのように、素材・製法にもこだわって作られる身体にやさしい甘味は、心にも身体にもひと時の安らぎを与えてくれます。

『甘味処 楓』さんの営業時間は12時から19時(水曜定休)ですが、あんこがなくなると完売閉店となるようですので、ご注意くださいね。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?
『東洋医学からみる「あんみつ」の世界』はお楽しみいただけましたでしょうか??

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

https://ayakazari.com/

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』


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