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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】八十八夜と「緑茶」のヒミツ

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

東洋医学では、人間は自然の一部であるという、天人合一の思想に基づき、季節の変化を知らせる暦というものを大切にしています。
今回は、その暦の中から、雑節『八十八夜』にちなんで、「緑茶」をとりあげ、そのヒミツや「緑茶」のすごさをご紹介していきます。
『5.「緑茶」の簡単レシピ』では『茶の葉ふりかけ』をとりあげています。
では、どうぞ最後までお楽しみください!

1.八十八夜とは

『八十八夜』というのは、立春から数えて八十八日目にあたる日で、今年は5月2日となっています。
ちょうど季節が春から夏に変わる節目の時期でもあり、昔は田植えや茶摘みなどの農作業を始める目安となっていました。
この時期に摘むお茶は、一年で最初に収穫される『新茶』で、上等なものとされています。
また、八十八には末広がりの『八』が重なっているため、昔から縁起が良いとされ、この日に摘み取ったお茶を飲むと長生きできるという言い伝えもあります。
茶摘みの時期は品種や産地によって異なりますが、季節の風物詩として、また、お茶に興味をもってもらうための話題として、八十八夜にちなんだイベントが開催されたり、茶摘みの様子がニュースに流れたりしています。

2.緑茶の由来

茶葉はツバキ科の茶樹の葉を加工したもので、中国の雲南省・四川省地域の原産です。
中国の漢の時代に日本に伝わり、そこからお茶の文化が広まりました。
喫茶店の「喫茶」というのも、鎌倉時代に、中国から伝わったお茶を頂きながら、その効用をたしなむ習慣や作法を指したことが、その始まりと言われています。

中国茶の歴史は古く、紀元前2700年頃に神農が解毒としてお茶を用いたという伝説もあります。
中国茶は製法の違いによって、緑茶・紅茶・青茶(烏龍茶など)・黒茶(プーアル茶など)・白茶・黄茶の6種類に分類されます。
中国茶といえば、現代では、烏龍茶やプーアル茶が有名ですが、清代以前は「緑茶」が主流でした。

一方、日本とお茶のつながりでは茶道が特徴的です。
茶道は、宋の時代に留学した日本の僧侶栄西が、帰国後に『喫茶養生記』の中でお茶を「神仙妙薬」と記して絶賛したことがきっかけとなり、その後発展しました。
茶道で使われる抹茶は茶葉を細かい粉末にしたもので、茶筅で茶を点(た)て、きめ細かい泡を作ることで、味がクリーミーでまろやかになります。
また、お茶を淹れる作法にも特徴があります。
中国には「茶藝」という独自の文化がありますが、現在では、日本独自の文化となった茶道がお茶の発祥の地である中国にも伝わっています。

3.千葉と緑茶

千葉と緑茶、イメージではピンときませんね。。。
実は、千葉県は、古くは静岡県に次ぐ日本有数の茶産地だったのです!
かつては、千葉産のお茶が市場に流通していたこともありあしたが、冬場でも温暖な気候のために、次第に生産性の高い落花生などの野菜の生産に転換され、現在ではお茶の生産量は少なくなりました。
そのような中でも、佐倉地域や八街地域などでは現在でも続けてお茶がつくられています。
今回、少し調べてみたところ、筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』が所在する千葉市内にも、茶園を持ち製造をしているところがありました!
千葉市緑区にある、株式会社マルハチさんです。
ここは、現在でもお茶づくりにこだわりを持っており、自家製の有機堆肥をたっぷり与えて栽培した千葉県産茶葉100%!「おちゃ美人」というブランドのペットボトル茶を販売しています。
また、千葉名物のピーナッツにもこだわりを持ってお土産品を作っていますので、興味を持たれた方は、ぜひ販売店や千葉のお土産ショップで購入をしてみて下さいね!

4.栄養学としての効果

「緑茶」はポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つカテキンやタンニンが豊富です。
カテキンは「緑茶」の渋味のもととなる成分で、特に抹茶や玉露など高級なお茶により多く含まれています。
また、茶葉を発酵させていないため、他のお茶に比べてビタミンA、C、K、葉酸がとても多く含まれています。

栄養学的には以下のような効果が期待されます。
《カテキンの働き》
●血圧・血中コレステロールの上昇を抑制:老化防止や動脈硬化の予防などに効果があるといわれています。
●殺菌作用:口臭を消したり、食中毒を予防する効果も期待できます。胃潰瘍の原因となるピロリ菌を死滅させる作用も確認されています。
●血小板の凝集を抑制する作用:脳血管障害の予防効果も確認されています。

《葉酸の働き》
●造血促進作用:特に白血球や赤血球の増加を促進する働きがあります。
《タンニンの働き》
●老化を予防する作用
《カフェイン・セオフィリンの働き》
●利尿作用

最近では、免疫力を高めたり、発がん物質の生成を抑制することにによるガン予防の効果も期待されています。

ここで、お茶の栄養素を上手く取り入れるポイントを一つ!!

お茶の栄養分は、お湯で抽出された分だけが摂取できますが、実は、茶葉自体には、飲むお茶で摂取できない栄養分が含まれているのです。
その中には、カルシウムやカロテン、食物繊維など、普段、不足しがちな栄養素も含まれていますので、茶葉をてんぷらの衣に混ぜたりふりかけにして食べてみるとよいですよ。

5.東洋医学的な効能

東洋医学的には、「緑茶」は以下のような属性と効能をもちます。

【性質と味】 
苦・甘、涼(苦・辛・甘、微寒)
【関連する臓腑経絡】 
心・肺・胃・腎経(心・肝・脾・肺・腎)

①清熱解毒(せいねつげどく)
身体にこもった余分な熱を沈めて、体内の毒を排出しやすくします。
感冒による咳や咽頭炎、細菌性の下痢や急性胃腸炎などに効果的といわれています。

②除煩渇(じょはんかつ)
身体にこもった余分な熱を沈めて、喉の渇きをいやし、イライラを解消します。
気持ちを落ち着かせたり、過敏性の歯痛をやわらげる効果が期待できます。

③化痰消食(けたんしょうしょく)
体内の老廃物である、痰を排出しやすく、消化不良の解消に役立ちます。
痰を伴う喘息の症状の改善、腹部の膨満感や肥満症の改善に効果的です。

④利尿解毒
体内の毒を尿として排出しやすくします。

体質により緑茶は控え目に!
緑茶は寒性の性質、身体を冷やす作用を持ちます。
この性質は加熱しても変わりません。そのため、気血両虚の胃腸の弱い方は胃腸を冷やして胃の働きが弱くなりやすいので飲みすぎに注意が必要です。
また、体内に余分な水分が溜まっている食積痰湿の方も控えめにするほうがよいでしょう。
もともと冷え性のある陽虚の方は、温性の性質を持つ紅茶の方が体質にあっていることもあります。

また、緑茶には、コーヒーや紅茶同様、フェインが含まれており、
東洋医学的には、「気逆」をおこしやすくする作用をもちます。
「気逆」とは、身体循環が上手く行われず、逆流した状態をいいます。
身体症状として、
・頭痛
・目眩
・耳鳴り
・目の充血
・頚肩こり
・動悸
・嘔気
・咳
などがあてはまります。
こういた症状があるという方は、ぜひ、緑茶を含め、カフェインの摂取を控えめにしてみるとよいでしょう。

また、最近では、低カフェイン・ノンカフェインのお茶も出回っていますので、ぜひ、そういったもので緑茶を楽しんでみて下さいね。

6.「緑茶」の簡単レシピ

最近では、ペットボトルの「緑茶」も種類が豊富で手軽に飲むことができますが、麦茶やウーロン茶などのお茶を好む傾向があり、「緑茶」を口にする機会は、意外と少ないのではないでしょうか。
これまでご紹介してきたとおり、「緑茶」は飲むだけでなく茶葉自体にも栄養素が含まれています。
栄養面からみても東洋医学からみても健康によい食材となりますので、家庭の食事に取り入れられると良いですね。

そこで今回は、茶葉をつかった『茶の葉ふりかけ』をご紹介します。
簡単レシピですので、ぜひ、お試しください!

【茶の葉ふりかけ】
《材料》分量は適宜
緑茶の茶葉(お茶を出したあとの茶殻でもOK)、白ごま、塩

《作り方》
1.茶葉をミルサー(茶葉挽き)かすり鉢で好みの粗さに挽く。
2.きれいに洗ったフライパンに茶葉を入れて弱火で乾炒りする。
※茶殻を使用するときは、ここでしっかりと水分を飛ばしてください。
3.乾いて香りがたってきたら白ごまを加えてさらに炒る。
4.最後に塩を加え軽く混ぜたらできあがりです。

できあがったふりかけはご飯のおともに限らず、うどんやそうめんの薬味としても使えます。
また、卵焼きや大根サラダなどにひと振り、ちりめんじゃこ、乾燥桜エビ、かつお節などを加えてもおいしくいただけます。

7.おまけ

茶香炉(茶葉を焚いて香りを楽しむための香炉)

最後に、お茶をより楽しむためのとっておきのポイントをご紹介します。

自宅でお茶を美味しく淹れるためには、ほうじ茶であれば熱湯が適していますが、高級な緑茶はいったん沸騰させた後、少し冷ました80℃くらいのお湯が適しています。
また、緑茶の茶葉は周囲の匂いや湿気を吸い込みやすいので、しっかり密閉し乾燥した状態で保管しておくことがポイントです。

また、お茶を淹れる際には、石灰分や鉱物はお茶の味や色みの妨げとなりますので、できるだけ硬度の低い軟水を使うほうが、おいしいお茶を淹れることができます。

いかがでしたでしょうか?
『八十八夜と「緑茶」のヒミツ』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』ほか


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