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学生の自由な発想で開発されたアプリで、楽しくて知識も身に付く避難訓練が大盛況!

みなさんこんにちは! アバナード株式会社コーポレートシチズンシップリードの日野紀子です。アバナードのコーポレート シチズンシップが重視していることの一つに、若い世代のチェンジメーカー育成があります。その一つのプログラムとして、毎年、お茶の水女子大学で寄附講座を実施しています。2023年度の寄附講座では、社会課題をテクノロジーの力で解決することに挑戦し、42人の学生が14のアプリを開発しました。
 
授業は今年の1月末に終わりましたが、教室の中での学びにとどめず、作ったアプリを通じて社会課題を本当に解決するため、アバナードのメンバーと準備を重ねていたチームがありました。そして4月1日、大学生協の協力のもと、この春大学に入学する新入生を招いた開かれたキャンパスツアーの中で、アプリを使ってもらうことができました! 真のチェンジメーカーとして成長した彼女たちの、当日の模様をお届けします。



「フラッシュモブ」にヒントを得て、防災訓練をアップデート

菅野萌々寧さん、平田万葉さん、榊原明日香さんの3人によるチームが開発したアプリの名前は、「フラッシュモブ防災訓練」です。アプリを通して実現したいテーマは、「”予期せぬ“を楽しくみんなで考える」。毎年のように起こる地震や台風に備え、防災意識を高めるために、テクノロジーを使って変える必要があると考えたのが「防災訓練」でした。

学校や会社などで多くの人が経験する防災訓練ですが、その内容は「何時ごろに揺れが起きるので、机の下に入る」「この地点で火事が起きるので、このルートで避難する」など、予定調和的に行われることがほとんど。避難経路を確認することはできるものの、記憶には残りづらく、またアラート音などの怖いイメージだけが印象に残ってしまいがちです。

この点を解決するために、3人が参考にしたのが「フラッシュモブ」でした。目指したのは、突然始まり、その場にいるみんなで一緒に楽しめる防災訓練。クイズも盛り込み、建物内の安全な避難経路やAEDが設置されている場所を確認したり、災害用伝言ダイヤルなどの知識を身に付けたりすることができます。

アプリの操作画面(一部抜粋)。地震が発生した想定で、大学指定の避難場所であるグラウンドの案内がクイズ形式で表示される
現在地を選択すると、適切な避難方法をクイズを通して知ることができる
実際のアプリ画面

1月末の講座終了後もアップデートを重ね、3月初旬には、アバナードのメンバーと大学関係者によるデモンストレーションを実施。「地図がわかりにくいので、途中のチェックポイントからの景色を確認できたらなお良い」「クイズの答えがわからなくても、類推できるように工夫できないか」など、さまざまなアイデアが出ました。


笑顔が溢れ、楽しみながら取り組んだ防災訓練

デモンストレーションの後も、アバナードのエンジニアと相談しながら、アプリのアップデートを続けてきた3人。そして迎えた4月1日、大学生協の協力のもと、お茶の水女子大学の新1年生を対象にしたイベントの中で、アプリを使った防災訓練が行われました。

新入生を3〜4人のグループに分け、各グループにボランティアの上級生が1人ずつ付きます。イベントの名目は、広いキャンパス内を上級生が案内する「キャンパスツアー」ですが、配布されたスマートフォンで、上級生が誘導した先に掲示されているQRコードを読み取ると突然、「緊急地震速報発令」の文字が画面に表示されます。もちろん本当に揺れるわけではなく、そこから防災訓練がスタートする、という仕掛けです。

避難場所として指定されているグラウンドに向かう途中、クイズが出題され、今いる場所から屋外に安全に避難するためのルートや、AEDの場所などを確認します。いきなり始まった訓練に、新入生は驚いた様子でしたが、クイズの回答をチームの仲間と一緒に考え、真剣に取り組んでいました。正解すると「やった!」と盛り上がる様子も。

災害用伝言ダイヤルの番号を当てるクイズでは、「なんだろう……?」と頭を悩ませていましたが、上級生が「7が入る」「3桁の数字」などとヒントを出すと、正解の「171」に辿り着くことができました。この番号を初めて知ったという学生は少なくなかったようです。

ゴール地点で必要なパスワードも、国交相の道路緊急ダイヤル「9910」になっている。アプリを楽しみながら、防災知識が自然と身に付く

訓練を終え、グラウンドに集まった参加者たちを前に、平田さんが「実は、このアプリは私たちが授業の中で開発しました!」と伝えると、驚きが広がりました。参加した新入生からは、「楽しかった」「突然訓練が始まって驚いたけど、勉強になった」「これから通う大学での避難の仕方や、防災知識を確認でき、とてもいい機会になった」などの声がありました。


学生が作ったアプリが、防災の未来を変える希望に

無事にキャンパスツアー・防災訓練を終えた開発チームの3人に、感想を聞きました。

(左から)菅野萌々寧さん(生活科学部)、平田万葉さん(文教育学部)、榊原明日香さん(文教育学部)

菅野さん「新入生にとって、クイズがどのぐらいの難易度なのか、キャンパス内で迷わず移動できるかなど、やってみないとわからないこともたくさんありましたが、それぞれのチームで会話が生まれていたし、時間内に全員ゴールできたので、安心しました。アプリ内での誘導の仕方など、もっと工夫できる点も見つかったので、学内でより多くの人に使ってもらえるようにさらにアップデートしていきたいです」
 
平田さん「反省点もありますが、とにかく楽しんでもらうことを目指していたので、新入生のみなさんに『楽しかったです!』とたくさん言っていただけて本当にうれしかったですし、ほっとしています。大成功だったと思います!」
 
榊原さん「協力してくれた上級生や、菅野さん、平田さんのおかげで、楽しい雰囲気で終われたのでよかったです。アプリを使って、みなさんに防災について考えるきっかけを提供できたので、今回気づいたことを改善して、ぜひ今後も続けていけたらと思います」
 
アバナードの寄附講座をご担当いただいている、お茶の水女子大学の太田裕治教授にもお話を伺いました。

お茶の水女子大学副学長 太田裕治教授

太田裕治教授「2023年度の寄附講座は、『私が学生だったら参加したかった!』と思うくらい、アバナードのプロのエンジニアの方々にアプリ開発を手厚くご指導いただきました。『本当にアプリができるんだ』と、理系・文系問わず学生さんの自信になったと思いますし、出来上がったものの完成度を見て私も驚きました。
今回の防災訓練のように、試作されたものを授業が終わった後も高めていくことで、最終的に多くの人に配布できるようなアプリに仕上がり、本当の社会実装につながると思います。授業の外に出していくことが大事だなと、改めて感じました。寄附講座がそのきっかけになれるように、引き続き尽力します」
 
エンジニアとして寄附講座をサポートしてくださった馬場さんも、手応えを感じた様子です。
 
アバナード・馬場拓真さん「私はアバナードでは普段、人材派遣会社さまのDX支援を行っており、主にPower Platformを活用したレクチャーや技術支援を提供しています。市民開発(※)の推進にも力を入れていて、お客さまが自らのビジネスプロセスを効率化し、イノベーションを生み出すお手伝いをしています。この寄附講座を通して、ローコード開発プラットフォームを学びながら、たった半年で学生のみなさんが自ら見つけた社会課題を解決する様子を見届けることができ、率直にうれしいです。コーポレート・シチズンシップ活動の醍醐味を味わうことができました。エンジニアとして、課題に取り組むみなさんの視点から学ぶことも多かったです。大学と企業という、産学連携の強みをさらに高められるよう、次年度の準備を進めていきたいと思います」
※市民開発:エンジニアではない人がノーコードツールやローコードツールを用いてシステム開発を行うこと

今回のキャンパスツアーには、NHKの取材も入りました。取材してくださった防災担当の方は、開発チームの3人を「将来を担うリーダー」と絶賛! 

1月の最終発表会を見てくださった生協の矢葺さまにご協力いただき、アプリの社会実装への第一歩を踏み出すことができました。今後は大学内でより多くの人にアプリを使っていただくのはもちろん、大学をも飛び出して、さまざまな場所で防災のために活用していただきたいと考えています。
 
寄附講座で誕生したチェンジメーカーが踏み出した、力強い一歩。学びを生かして社会に良い影響を与えてもらうために、アバナードはこれからも若い世代の学びを支援していきたいと考えています。お茶の水女子大学では2024年度の秋学期、さらにパワーアップした講座をお届けするべく、準備を進めてまいります。乞うご期待!
 
アバナード(株) コーポレートシチズンシップ 日野紀子
編集協力:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSさん


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