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【ネタバレあり】『1917 命をかけた伝令』感想-ゲームっぽさについて
全編ワンカット(風)撮影が話題のきっかけとなり、その映像美や臨場感が高く評価される本作。せっかくなのでIMAXで見てきた。ちょうど視界いっぱいにスクリーンが広がるくらいの、普段よりも気持ち前めの座席を確保していたが座った瞬間に勝利を確信した。期待を裏切られさえしなければこれ以上ない没入感が得られるはずと、否応なく期待が高まる。
マァ~~~~~~~~期待の上をいく出来でしたね。
ワンカット
『ジョジョ・ラビット』 踊ること・愛すること・誰かの靴紐を結ぶこと【ネタバレあり】
『ジョジョ・ラビット』は戦争映画というジャンルのなかで新鮮な思考の経路を立てて、平和と愛の価値の劇的な「再発見」をもくろんだ――そして見事に成功した傑作だ。
本作の主人公は、ヒトラーを信奉し、ヒトラー・ユーゲントひいては親衛隊に憧れる10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)。臆病で自分に自信がないジョジョをいちばんに理解し励ましてくれるのは「空想上の友人」であるちょび髭のアドル
【ネタバレなし】『パラサイト 半地下の家族』見て!!
『パラサイト 半地下の家族』、大大大傑作でした。
パンフレットの1ページを割き、「ポン・ジュノ監督からのお願い」と題してまでネタバレを防止したい制作の思いも頷ける。そんな先読み不可能なエンターテイメント作品としての一面もあり、韓国の(日本にも通ずる)格差社会とその階層間の交わりを眼差した批評的な一面もある。
コミカルでありながら洗練された脚本にみるみる巻き込まれ、痛快・緊張・驚き・寂寥・
マックス・チャンが今、俺の中でアツい
カンフーアクション俳優のマックス・チャン(張晋)の話をします。
年が明けて、親戚一同の集まりに粛々と参加し、初詣も行ったりなんかして、それでも合間あいまでめちゃくちゃ時間をもてあます三ヶ日。寝正月ではいけないと思いつつ、これ以上出かける気力も湧かない。寒いし。
そんなときこそカンフーだ!!!!(は????)
年明けのふわふわした頭で難しい映画は見たくないし。しっとりした映画なんて見てたら寝る
【ネタバレあり感想】『マリッジストーリー』よかった!!
「Netflix映画がゴールデングローブ賞最多ノミネート」、「アダム・ドライバーがすごい演技をしている」あたりでもう見るほかないと思っていた。たいして作品数を見ているわけではないが、ぼくはアダム・ドライバーが好きなのだ。とくにジャームッシュの『パターソン』で彼にハマり、何度も見返した。
監督は『フランシス・ハ』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』のノア・バームバック。夫のチャーリー役がアダム・ド
【若干ネタバレ?】『ドクター・スリープ』感想
ドクター・スリープ 11月29日鑑賞
「モダンホラーの金字塔」といわれる『シャイニング』の40年後の物語、映画『ドクター・スリープ』もまた傑作だった。「原作から乖離している」と原作者スティーブン・キングから批判されしばしば議論を呼んできたキューブリック版『シャイニング』へのオマージュをふんだんに取り入れつつ、あくまで小説「シャイニング」の続編である「ドクター・スリープ」を映像化する。それは一種
【ネタバレなし】『ブライトバーン/恐怖の拡散者』感想と見どころ
「お前は橋の下から拾ってきた子なんだよ」
幼いころ両親にそう告げられて大泣きした経験をあなたはお持ちだろうか。幸いにしてぼくにはその経験がない(か、少なくとも記憶にない)。ともあれ世代や地域を超えてよく知られた脅し文句であることは確かだし、それだけ効果が見込める、つまり言われた子はかなりのショックを受けるものなのだろう。
本作に登場しのちに怪人“ブライトバーン”となるブランドン・ブライヤー君
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』-線路の話-【ネタバレではない】
京都での劇場公開最終日の手前くらい(確認したら10月23日)に見て、だらだらと感想を書くことを先延ばしにしていた映画にとりかかる。といっても、語りたいのはほんのワンシーンだったりする。他に見どころがなかったとかそういうわけではなく、ここがとにかく刺さった。うまく言葉にならないこの作品の空気感を人に伝えるとしたらここだと思うし、このシーンからいろいろと想像してぼくなりに何か腑に落ちたものがあった。
もっとみる【ネタバレ】IT/THE END-“それ”の倒し方-
ネタバレなしの感想(というか何やらよくわからないもの)は既にアップしたので、今度はクライマックスで何が起きたのかぼくなりに解釈したことを書きたい。
再集結した〈ルーザーズ・クラブ〉はそれぞれに降りかかる精神的・身体的な危機を乗り越え、“それ”を滅ぼすための「チュードの儀式」の供物となる思い出の品を持ち寄る。このパートはやや間延びした感はあったし評価が低いのも分からなくはないが、それはさておき
【ネタバレなし】『IT/THE END “それ”が見えたら終わり』雑多なこと
『IT/THE END “それ”が見えたら終わり』の上映時間は、パンフレットによると169分とある。Twitterや映画情報サイトでの事前情報にも、たしかにそんなようなことが書いてあった気がする。いやマジで? そんなに長かったか? むしろ短く感じるくらいだった。
思えば、二年前に公開された前編のラストで「CHAPTER ONE」とスクリーンに映し出された―今作のパンフレットで原作のキングも言及
『THE GUILTY/ギルティ』-多分ネタバレなし-
劇場公開時に見られなかった話題作。ちょうど『[LIMIT]』や『ALONE』、あと『search/サーチ』あたりのソリッドシチュエーションものを何本か見て面白いなと思っていた時のはず。
ソリッドシチュエーションものとは、たとえば主人公が密室に監禁されたりして、舞台となる空間が制限されるなかで展開していく物語のジャンルだ。外部との連絡の制限や身体的拘束、さらに時間的なプレッシャーなんかが加わる