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ゆるく映画の話

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映画の話が出てくる記事まとめ
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#映画感想文

時を超える爆音映画祭

時を超える爆音映画祭

日曜のお台場に、ひとり。
どこもかしこも混み合っているレストラン街。
回転率のいい中華屋さんでレバニラ定食を食べている女、ここに。
楽しみなイベントの前に貧血になってる場合じゃないのだ。

2月11日にユナイテッド・シネマアクアシティお台場で行われた「爆音映画祭」に足を運んできた。
開催期間は2月9日〜18日までの10日間。
爆音上映とは、ライヴ用の音響システムを使い大音響の中で映画を見・聴く試み

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『哀れなるものたち』は、わたしたち

『哀れなるものたち』は、わたしたち

映画『哀れなるものたち』
このタイトルは哀れなる(愛すべき)ものたち
そう、あなたたちへ。
というようなメッセージを感じる。

※この記事は個人的な感想です。
作品の内容に触れる表現がありますので、気にされない方だけお読みください。

マッド・サイエンティストによって胎児の脳を移植されたベラはまだ見ぬ世界の旅へ出る。
あらすじを文字だけで伝えてしまえば、「エグい」(この言葉はあんまり使いたくないけ

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カラオケ、行く?

カラオケ、行く?

「青春も延長できたらいいのに。」
映画『カラオケ行こ!』のキャッチコピーがとってもいい。
30分とかね、気軽に"今楽しい時間"を電話一本でフロントにお願いできたら。
今回は映画の簡単な感想と、カラオケにまつわる思い出を。

午前9:00
初回の上映に間に合った。
今、観始めたのに、もう2回目を観たい。
私はこの作品にチグハグな好感を抱えたまま進んでいく。

主人公、中学3年生の岡聡実くんの瑞々しい

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照らされた私の中の『PERFECT DAYS』

照らされた私の中の『PERFECT DAYS』

この記事は映画『PERFECT DAYS』の個人的な感想です。
作品の内容に触れる表現がありますので、気にされない方だけお読みください。

ザザッ ザザッ ザザッ
映画の中で役所広司さん演じる「平山」は朝、目覚まし時計のかわりに外から聞こえるホウキの音で起きる。
心地よい雑音は一定のリズムを刻み、平山は寝ながら窓の右上へ視線を流す。
今日は晴れそうだ。
身支度を済まし、小さな植物達に霧吹きをして、

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東京国際映画祭『アンゼルム』感想

東京国際映画祭『アンゼルム』感想

人気のない広大な倉庫。
ここがフランスのシルク工場の跡地だろうか。
人の手で作ったとは思えない自然物のような絵画達、そびえ立つ石の宮殿。
先程まで着ていた人が消えてしまったかのように、残されたドレスの彫刻。
3Dで眼の前に浮かび上がってくるそれらは、めまいと美しい叙情を感じさせる。

先の見えないほど長い廊下に、ゆらゆらと自転車を漕ぐ姿。"彼”は膨大なBOXの中から写真や枝などの素材を探し、ぽんぽ

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映画『はだかのゆめ』感想

映画『はだかのゆめ』感想

独り言のようで、詩を感じさせる台詞たち。
それは四万十の広大で見知らぬ絵画に似た自然の中に、ひっそりと埋もれて響く。

10/22UPLINK吉祥寺にて映画『はだかのゆめ』を観てきました。
小説の発売記念上映のため、磯部涼さん(音楽ライター)、甫木元空(ほきもとそら)さん(本作監督)のトークショーも開催されました。感想を交えて記録します。
あくまで記憶や個人的解釈で書いているのでご理解下さい。

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「レザボア・ドッグス」の無駄の中にあるもの

「レザボア・ドッグス」の無駄の中にあるもの

無名だったタランティーノのデビュー作「レザボア・ドッグス」
この映画の冒頭に、作品とあまり関係がない長回しの雑談がある。

マドンナの『Like A Virgin』の解釈についての議論とか、会話の内容は少しばかり下品でここには書けない。
ぐるりと回るカメラに次々と写しだされる個性派の俳優陣は、好き勝手に喋り続ける。
このシーンがなんだかすごく好きで、繰り返し観てしまう。

ここで仲間内の呼び名が「

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映画「怪物」感想

映画「怪物」感想

是枝裕和監督の作品を観たあと、
「あぁ、あの人達はこの後どうなったんだろう。
今、このとき、どんな生活をしているだろう。」
と、物思いにふける。
次の日にも引きずって、歩いてるときに自分のスニーカーの先を見ながらまだ考えていたりするし、
3年後に電車に乗っているとき、ふと思い出すこともある。

坂元裕二脚本の作品を観ていると、
胸のメモに残しておきたい言葉が出てくる。
その台詞を忘れないように、作

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映画「最後まで行く」感想

映画「最後まで行く」感想

※個人的な感想メモと落書きです。
本編の重大なネタバレはしていませんが、あらすじを引用しているので、先入観なく見たい方はご遠慮下さい。

以前ヴィレッジを観に行った際、予告編で気になっていた作品[最後まで行く]

この物語は12月29日の、急かすような年の瀬から始まった。

たびたび映画では、

あぁ、もう駄目だ。
終わった。
詰んだ。

と、思わせる展開が1、2度出てくる。
しかしこの映画では1

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