Dona

平和な日常の記録。 忘れたくない、私の小さな記憶の旅。 むかし絵描きをしていたら、 ひ…

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平和な日常の記録。 忘れたくない、私の小さな記憶の旅。 むかし絵描きをしていたら、 ひょんな事で今の旦那さん(ヒデさん)と出会い、 娘(まる)が産まれました。 noteの挿絵にイラストを描いています。映画が好き。 『書く部』に入ってみました。

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  • ゆるく映画の話

    映画の話が出てくる記事まとめ

  • 読んだ絵本の記録

    娘に読み聞かせた、お気に入りの絵本たち。

最近の記事

ボーは何をおそれている?

『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』などの記憶に残る衝撃的なホラー体験をさせてくれるアリ・アスター監督。 3本目となる最新作『ボーはおそれている』を見てきました。 ※この記事は個人的な感想です。 作品の内容に触れる表現がありますので、気にされない方だけお読みください。 赤ん坊の出産シーンから始まるこの旅は2時間59分。私はこのとき、まだ悪夢を知らない。 はなしの始まりは、通り魔やラリってるやつがウロウロして、常に怒号が飛び交う街からだ。 この世の終わりみたいな地域に

    • 似てるけど、ちがうよ

      「このこ、なんていうの?」 娘(まる)はおもむろに、黄色いチューブの塗り薬に描かれたキャラクターを指差す。 「サトちゃんだよ。ゾウさんなの。」 私はポリベビーを見せて、そう答える。 「ふぅ〜ん。」 この塗り薬は何度リピート買いしたか分からないくらいお世話になっている。 娘が赤ちゃんの頃、おむつかぶれでお尻がおさるさんのように真っ赤になったときも、汗疹が出たときも、乾燥で肌がかゆいときも、1発で治してくれる、心のお守りだ。 ある日保育園から帰るとき、ATMのそばで 「サトち

      • 時を超える爆音映画祭

        日曜のお台場に、ひとり。 どこもかしこも混み合っているレストラン街。 回転率のいい中華屋さんでレバニラ定食を食べている女、ここに。 楽しみなイベントの前に貧血になってる場合じゃないのだ。 2月11日にユナイテッド・シネマアクアシティお台場で行われた「爆音映画祭」に足を運んできた。 開催期間は2月9日〜18日までの10日間。 爆音上映とは、ライヴ用の音響システムを使い大音響の中で映画を見・聴く試み。 1本目に選んだのは『ゲストセレクション爆音映画祭Vol.2』なんと、上映す

        • 絵本で作るガトーショコラ

          やってきましたバレンタイン。 夫(ヒデさん)と12年ほど一緒にいると、作るチョコレートのバリエーションも尽きてくる… ということで、去年はファイトクラブの石鹸を模したチョコレートを作ってはみたが、ふむ今年はどうしようか。 目に止まったのは、家にあった「ぐるぐるガトーショコラ」という絵本。 このカラフルで可愛らしい本は、ガトーショコラ専門店「ケンズカフェ東京」のオーナーシェフ氏家 健治さんが手がけた絵本なのだ。 詳しい作り方も最後についている。えっ、いいんですか?秘伝のレシピ

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          『哀れなるものたち』は、わたしたち

          映画『哀れなるものたち』 このタイトルは哀れなる(愛すべき)ものたち そう、あなたたちへ。 というようなメッセージを感じる。 ※この記事は個人的な感想です。 作品の内容に触れる表現がありますので、気にされない方だけお読みください。 マッド・サイエンティストによって胎児の脳を移植されたベラはまだ見ぬ世界の旅へ出る。 あらすじを文字だけで伝えてしまえば、「エグい」(この言葉はあんまり使いたくないけれど)と感じて、拒絶反応する人も居るかもしれない。 カルト的な生い立ちや登場人物

          『哀れなるものたち』は、わたしたち

          和解スタイル豆まき

          今年も節分の季節がやってきた。 3歳になる娘(まる)の成長度合いが分かる1日でもあるので、毎年楽しみにしている。 まだよちよちと歩きはじめた1歳の頃は、玄関からぬっと入ってきた鬼(という名の夫)を見て座り込んで大泣きだった。 2歳になる昨年はうっすら父の存在に気づき「おまめ、なげないっ。」と感動の結末となったっけ。 2月2日、園でひと足先に行われた節分イベントでは、園庭に結構ガチめの赤鬼と青鬼が来たらしい。 先生いわくなまはげ感があったとかで、それは相当怖かっただろう。 事

          和解スタイル豆まき

          カラオケ、行く?

          「青春も延長できたらいいのに。」 映画『カラオケ行こ!』のキャッチコピーがとってもいい。 30分とかね、気軽に"今楽しい時間"を電話一本でフロントにお願いできたら。 今回は映画の簡単な感想と、カラオケにまつわる思い出を。 午前9:00 初回の上映に間に合った。 今、観始めたのに、もう2回目を観たい。 私はこの作品にチグハグな好感を抱えたまま進んでいく。 主人公、中学3年生の岡聡実くんの瑞々しい青春の中にある思春期のもどかしさ、危なっかしさが胸を打つ。 巻き戻し機能が壊れた

          カラオケ、行く?

          ツイてない日のBGM

          こんがり焼いたトーストが、ジャムの面を下にして落下する。 買った手土産置き忘れ。 突風により傘が骨折。 今日に限って臨時休業。 目当てのものが売り切れる。 タチの悪いクレーマー。 シチューの鍋が焦げついた。 家出るときに娘の「うんち」 「くっそー…」 と、つい思ってしまいがちな日常に現れる、小さな小さなOMG。 自分の至らなさや余裕のなさが引き起こすトラブル、それを上回ってどうにも出来ない不運。 なんだかちょーっとツイてない。あれっ、今日はどうした? これって背中がチク

          ツイてない日のBGM

          ニセ湯たんぽ大作戦

          もうタイトルがダサいんですけど、聞いていただけますか。「騙し合い」という名の育児を。 私は冷え性だ。 特に足の先が冷えやすいので、冬は半身浴をしっかりして、湯たんぽを使う。 すると安眠が保たれ、朝までポカポカぐっすり眠ることができる。 娘(まる)は暑がりなので、布団をよく蹴っ飛ばして、肉まんみたいに美味しそうおなかをポヨンと出していたりする。 私のベッドの隣の布団で寝ているのだが、たまにモソモソと起きてきては、こちらへ潜り込んでくる。寝ぼけながら動く姿はパンダの赤ちゃんみた

          ニセ湯たんぽ大作戦

          3歳児にパジャマを着せる方法

          どなたかご存知ですか。 お風呂から出た娘(まる)は、はだかんぼうで逃げ回り、保湿クリーム「アトピタ」を持った私は本気の目で捕獲を試みる。 すべては娘のぷるもち肌を守るため。 ところで保湿って何歳までするの? 「とりあえずオムツ履こう!」 まるはほぼ自分の意思でトイレへ行けるが、うっかりカーペットやソファにおしっこしてしまっては大惨事だ。 なんとか肌着まで着せたら、髪を乾かす。 途中なんどもウロウロして戻ってこない。 「きーら、きーら、ひーかるー♪」 急に『きらきら星』を歌う

          3歳児にパジャマを着せる方法

          照らされた私の中の『PERFECT DAYS』

          この記事は映画『PERFECT DAYS』の個人的な感想です。 作品の内容に触れる表現がありますので、気にされない方だけお読みください。 ザザッ ザザッ ザザッ 映画の中で役所広司さん演じる「平山」は朝、目覚まし時計のかわりに外から聞こえるホウキの音で起きる。 心地よい雑音は一定のリズムを刻み、平山は寝ながら窓の右上へ視線を流す。 今日は晴れそうだ。 身支度を済まし、小さな植物達に霧吹きをして、まだ薄暗い外へ出ると空を見上げて、微笑む。 トイレ清掃員平山の1日の始まりだ。

          照らされた私の中の『PERFECT DAYS』

          Die or ジングル・ベル・ロック

          「じんぐるべーる じんぐるべーる じんぐるべーるのっ♪」 3歳になったばかりの娘(まる)は、いったいどこで聴いてきたのか『ジングル・ベル・ロック』を口ずさむ。 彼女は耳が良いらしい。 過去には、 「うえをむーういて あーるこおーおーおー」 と、何の気なしに上機嫌で歌っていた。 「坂本九?!」 と、顔がブレるほどの勢いで夫が振り向くのも無理はない。 音楽番組の昭和名曲ランキングなどで耳にしたのだろう。 「うららーうららー」 と歌っているときもあった。 私はLEGOブロックを詰む

          Die or ジングル・ベル・ロック

          映画『PERFECT DAYS』にむけてパーフェクトな心得を

          78歳になるヴィム・ヴェンダースはこの映画のことを「第二のデビュー作だ。」と言う。 なんとも夢のある、壮大な映画人生なのだろう。 『PERFECT DAYS』は日本とドイツの合作で制作、2023年12月22日に全国公開だ。 この作品は東京国際映画祭でオープニングを飾っていたが、私はまだ見ていない。 メディアで「ヴェンダース」と「役所広司」のお二方の並びを見たとき、ドキッと胸が高鳴った。 いったい何を見せてくれるのだろう、と。 公開を記念して、雑誌『SWITCH』12月号にて

          映画『PERFECT DAYS』にむけてパーフェクトな心得を

          トム・ハンクスと夫の靴下

          説明できない面白さ、とはなんだろうか。 それが自分にしか分からない場合、特にシェアしようとも思わないのだけれど、今回答え合わせがあったような気がしてここに記録しておこうと思う。 私は結婚する前から、夫(ヒデさん)の脱いだ靴下が好きだった。 正確に言うと脱いだあとの形。なんとも言えない。 匂いが好きとかはでは、断じてない。 形がかしこまっているというか、うーん、なんとも言えないのだ。 初めて目にした第一印象としては、 「靴下が人間みたいに寝ている!」 もしくは、 「なんか

          トム・ハンクスと夫の靴下

          幻聴ドライヤー

          出産を経験して、ずいぶん本能的だなぁという体の変化があったのを思い出した。 つわりのときもそうだった。長年付き合ってきた自分の鼻が研ぎ澄まされた犬の嗅覚みたいになったりするのだ。歳を重ねて体が鈍くなることはあっても、この年齢で進化するとは。なんだこれは。 虫のように変態を遂げはしないが、明らかに内側でザワザワと人体の不思議が起きた。 それは、娘がまだ言葉も喋れない赤ちゃんだったときのこと。 私が1人で浴室でシャワーを浴びているとき、娘の泣き声が聞こえた。すぐさまドアを開け、

          幻聴ドライヤー

          11月の蝉のぬけ殻に、宿る

          「日常生活において、自然の些細な変化に気づくようになった。」 ニュアンスは少し違うが、映画監督の甫木元さんは余命を生きるご自身の母の変化をこのように語っていた。 似ている。と、ふっと私の頭に浮かんだのはまだ幼い娘の観察眼だった。 霜月。 夕日は足早に私たちの横を走り抜ける。 みるみるうちに一番星は夏より輝き、自分の輪郭も溶けてしまいそうな暗闇があたりに立ちこめた。 娘がつい30m先に居ても、夜に連れ去られないか不安なくらいだ。 一瞬、目を離した隙に神隠しに遭わないよう、てん

          11月の蝉のぬけ殻に、宿る