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トム・ハンクスと夫の靴下

説明できない面白さ、とはなんだろうか。

それが自分にしか分からない場合、特にシェアしようとも思わないのだけれど、今回答え合わせがあったような気がしてここに記録しておこうと思う。

私は結婚する前から、夫(ヒデさん)の脱いだ靴下が好きだった。
正確に言うと脱いだあとの形。なんとも言えない。
匂いが好きとかはでは、断じてない。
形がかしこまっているというか、うーん、なんとも言えないのだ。

初めて目にした第一印象としては、
「靴下が人間みたいに寝ている!」
もしくは、
「なんか行儀よくしている!」
という感じだった。
生まれて初めて、こんな靴下の脱ぎ散らかし方をしてる人を見たので(正確には全く散らかってはいなくて、むしろ礼儀正しい)
物珍しさと、じわじわくる面白さから写真を取ったあと、しばらく笑いのツボに入っていた。

これだけハードルを上げておいて写真を載せるのはどうかと思うが、事実確認のためだ。
※他人の靴下を見たくない方はお気をつけ下さい。
本人の許可を得ています。






「なんの琴線にも触れませんが…」
という方がほとんどではあると思うのだけど、
本人しか分からない面白さとは往々にしてそういうものだ。
対が寄り添っている律儀さと、寝相の良さと、少スペースで十分です、と言わんばかりの肩身の狭さがなんだかヒデさんの寝相にそっくりだと思った。
飼い犬は主人に似ると言われるけど、靴下もそうなんだな。

面白くしようと、わざと置いていないからいい味が出るのだと思う。
これはただ「揃えて置く」という日々の習慣がなせる技だ。
きっとそこにはエゴがない。
絵も上手く描こうと意気込むより、フラットな状態のがいい出来だったりする。飾らず、自然体でいること。
それが余白を生み出し、面白みを帯びる。
大事なことを靴下を通して再確認できた。

話は変わるが、私は昔からトム・ハンクスの演技が好きである。
「グリーンマイル」も「フォレスト・ガンプ」も、心に残るシーンが沢山ある。
そうそう「キャスト・アウェイ」で出てくるボールの"ウィルソン"はオークションにかけられ、23万ポンド(約3500万円)で落札されたそうだ。


2021年某日。
当時のTwitterで、トム・ハンクスが落ちていた片方だけの手袋を写真に撮り集めている、という記事を見かけた。
あ!
同士を見つけた気がした。
トム・ハンクスがどういう気持で、全く映えない落とし物を撮影しているかは分からないけど、妙な親近感を覚えて興奮した。
あぁ…地球上に居るたった一人の兄弟と巡りあったかのようだ。
彼がレンズ越しに撮っているのは、哀愁か。はたまたユニークさなのか。
いや、もっと哲学的な何かなのかも知れない。

これからも靴下の所存をLINEのアルバムに更新していきたいところだが、最近ヒデさんは洗濯カゴにすぐ入れてしまうため、靴下寝相チャンスはなかなか到来しない。

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