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似てるけど、ちがうよ

「このこ、なんていうの?」
娘(まる)はおもむろに、黄色いチューブの塗り薬に描かれたキャラクターを指差す。


「サトちゃんだよ。ゾウさんなの。」
私はポリベビーを見せて、そう答える。
「ふぅ〜ん。」
この塗り薬は何度リピート買いしたか分からないくらいお世話になっている。
娘が赤ちゃんの頃、おむつかぶれでお尻がおさるさんのように真っ赤になったときも、汗疹が出たときも、乾燥で肌がかゆいときも、1発で治してくれる、心のお守りだ。


ある日保育園から帰るとき、ATMのそばで
「サトちゃんいた!」
と嬉しそうに駆け寄る娘。
そこには防犯ポスターにオレンジのキャラクターが、「お金送れは全部詐欺!」的な警告を発していた。

ピーポくん


警視庁の『ピーポくん』である。
お勤めご苦労さまです。
「確かにカラーリングは似てるけど、違うよ。ピーポくんっていうんだ。」
キャラデザは共通してどこか懐かしい昭和の趣を感じる。

佐藤製薬のキャラクター『サトちゃん』は私が小学生の頃、近所の薬局の前に居たかなぁ?くらいの記憶しかないので、そのときにはすでに絶滅危惧種だったかもしれない。
今となってはドラッグストアの普及で町薬局がなくなってしまったため、見つけるのは難しいかも。

ピーポくんにいたっては、私の記憶の彼方から原宿のとあるシャッターが引っ張り出された。
竹下通りはああみえて店の営業時間が短い。
あんなに日中、観光客で溢れているのに20:30くらいにはバタバタとあちこち閉店する。
割とやんちゃな遊び方をする中学生の友人が、
「あっ、門限だから帰るわ。」
と足早に17時に帰ってしまうかのような…
確か竹下通りをみち半ばまで進んだ左手のシャッターに、ピーポくん一家がおんなじ顔で描かれていたはずだ。

警視庁公式ホームページより


おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、ピーポくん、お母さん、いもうと、おとうと。
造形のフォーマットが同じなので、差別化する為にベースのピーポくんに服を着せたり、髭をつけたり、リボンをしてみたりと、工夫がなされている。
シュールだ。
揃いも揃ってあらぬ方向に目がイッているが、その先には何があるのだろう。

今もあのシャッターあるのかなぁ。
(なんの話だっけ)

現在の『サトちゃん』はファンクラブがあったり、マガジンやサトちゃんソングがあったりと、公式サイト「サトちゃんシティ」で充実した生活を送っているようだ。
ときには街をパトロールして守っているらしい。
ん?
『ピーポくん』は「ピーポくんタウン」という警視庁の公式サイトにて広報課によるアニメーションが見れたりする。こちらもピーポくんの歌があるらしい。
なんだか共通項が多すぎやしないかい。

シンクロした世界に、ちょっとだけパラレルワールドを見てしまった気がする。
大丈夫?秘密に気づいたら抹殺とかされない?

それぞれの世界はきっと、今日も平和である。

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