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NO,37 初めて台本を作った日

これは私が中学生の時の話だ

文化祭の出し物で影絵をやる事になった

当時はまだパソコンはそこまで普及してなくて
基本的にはワープロの時代で
オーバーヘッドプロジェクターという機械が
多分どこの学校にも数台あったはずだ

オーバーヘッドプロジェクターはどんな機械かというと
上にランプが付いていて下の箱の上の部分がガラス張りで
スクリーンに絵や文字を写す事が出来る機械だ

画用紙をカッターナイフで切り抜き
色の付いたセロハンを貼り
オーバーヘッドプロジェクターで写すという
影絵の紙芝居みたいな事をやる事になった

お話は絵本で有名なモチモチの木をやる事に決まった

モチモチの木の台本は私が書く事に決まった
初めてする事だった
不安もあったが挑戦して最後までやり遂げようと思った

モチモチの木は
作: 斎藤隆介 絵: 滝平次郎の作品で
臆病な主人公の幼い豆太が
12月(旧暦の11月)20日の夜中に
腹痛をおこしたじさまの為に
町まで医者様を呼びにを駆けて行き
帰りにモチモチの木に火がともるのを見るというお話だ

モチモチの木のお話自体はとても面白いのだが
じさまと豆太と医者様しか出てこないお話で
あとは亡くなった豆太の父のエピソードがあるだけだ

登場人物が男性ばかりなので
会話が極端に少なく最小限の会話だけでお話が進んでいく

私はどうしたら影絵という芝居が面白くなるか考えた

何回もお話を読みこんだ
放課後は台本を書く為に机に向かう日が続いた

そして考えた末に出した答えは
普通の文章の部分を会話として書き直し
ナレーションの部分を最小限にする事だった
その為にお話がおかしくならない程度に
新しいセリフも付け足してみた

そして影絵用の台本が仕上がった

影絵用の台本を担任の先生に見せると

とても面白くいいお話が出来た!

ととても喜んでくれた

台本と同時作業でクラスメイト全員で
オーバーヘッドプロジェクターに写す為に
画用紙を切り抜き色の付いたセロハンを貼る作業をした

その後は色に付いたセロハンを貼った画用紙を
オーバーヘッドプロジェクターに写しだして
台本を元にみんなでセリフ合わせをしたり
色の付いたセロハンを変えるタイミングの練習をした

放課後の時間まで使い
みんなで文化祭の前の日まで毎日毎日練習した

文化祭の日の1日2回の公演だけだ
その2回の為に沢山練習した

お客さんは学校の生徒と保護者
教室の中は満員御礼で立ち見まで出ていた

公演の時間が来て練習通りにお話しが進む
お客さんはみんな真剣に見てくれた

公開が終わると割れるような拍手が起きた
そしてお客さんみんなが褒めてくれた

お客さんに配られたチラシの
台本の場所には私の名前が書かれていた

お友達の保護者の方や違うクラスの友達が
台本の事をとても褒めてくれた

初めてする事なので難しい作業ではあったが
一生懸命に考えて作ってる時は楽しかったし
文化祭当日の割れるような拍手を聞いて
最後まで諦めずに挑戦して
台本を仕上げてよかったと思った

そして自分の書いた文章が
時には誰かの心を動かす時もあると知った

大人になってインターネットが普及して
誰でも文章を発表出来るようになった

あの時の割れるような拍手を思いだしながら
私は今日も文章を書く

いつかそう遠くない未来に
誰かの心を動かす日がくるはずだ!と思い
今日も書く事に挑戦し続けるのだ

#挑戦してよかった