アルセーヌ・ルパン『金三角』その6-父母と同じ運命を辿るのか?愛する2人の生と死-
みなさん、こんにちは!
前回は、パトリスとコラリーが、自分たちの父母の墓石がある不思議な屋敷を発見後、なんとその家に閉じ込められてしまう!という場面で終わりました。
今回は、その続きからみていきたいと思います。
また、「金三角」と「パリの街歩き」の参考に、拙著とYouTubeもあわせてご覧いただけると嬉しいです^^
パトリスはあらゆる窓やドアに体当たりを試みたが無駄だった。
この屋敷を知っている者はパトリスとコラリー、そして今は発狂してしまったシメオンだけだった。
2人は助けが来る可能性が低いことに愕然とし、その恐怖感を和らげるために屋敷にある本を手に取ると、そこに20年前にも今と同じ目にあっていたパトリスの父が書いた手紙が現れた。
(携帯電話がない時代って、こういう命に関わるピンチの時に大変ですよね💦)
死の恐怖を前にした手紙で、それは遺書ともとれるものだった。
それはここに閉じ込められて4時間が経過した時に書かれたものであり、「やつはコラリーに俺の愛を拒否するならお前とお前の恋人を殺してやる」と言っていたことが書かれてあった。
その時、つるはしか何かで土を掘る音がわずかに聞こえはじめる・・・。
驚くことに20年前にパトリスの父とコラリーの母がここに閉じこめられた時と同じことが進行しているのだ。
そして次に天窓が開けられようとしていた。
パトリスの父が書き残した手紙によると、20年前に天窓が開けられたとき、そこから覗いた顔はなんとエサレスだったのだ!
そして、その縄梯子の端に手紙が付けられており、「10分間だけ猶予を与えるからコラリーだけ上がってこい。コラリーの命だけは助けてやる」ということが書かれていた。
そして今、この天窓から覗いた顔は、なんとシメオンだった!
パトリスとコラリーは苦悩する。
コラリーはパトリスを犠牲にすれば命は保証される。
でもその保証の代償は・・!?
パトリスはコラリーに上にあがるように説き伏せる。
しかし、コラリーは絶対に行かないと言う。
コラリーはパトリスのことを死を賭してまで愛していた。
パトリスはもちろんその思いが嬉しかったが、コラリーを助けるという意思は変わらなかった。
パトリスはコラリーが先に上がって僕を救出してくださいと頼む(コラリーを助けるための口実)が、コラリーはどうせ死ぬなら2人で一緒に死にたいと言う。
あたりは暗くなり、天窓の戸を釘で打ちつける音が響き渡る。
今まさにこの屋敷は棺桶と化していた。
マッチをすると、そこにまだ読んでいなかったパトリスの父が壁に書いた文字が浮かび上がった。
窒息・・・ガス・・・
2人は狼狽した。
間もなくガスが入ってくる音が聞こえてきた。
2人の意識は遠のいていく・・・。
続く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?