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エッセイ・コラム・ショートショート等々

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ヘッダー画像は尊敬するナンシー関さんの著書です。
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2024年4月の記事一覧

【エッセイ】水色の洗面器

【エッセイ】水色の洗面器

今でも僕は水色の洗面器を見ると条件反射で拒絶してしまう。
嘔吐した場面を思い出してしまうからだ。
幼稚園、もしかしたらそれ以前から小学生くらいまで使っていた洗面器が水色の乗り物のイラストが描かれた子供用の洗面器だった。
僕が最後に吐いた(嘔吐した)のは小学校低学年くらいだったろうか。
吐き気に負けて涙しながら嘔吐する時は決まってその洗面器にだった。
風邪や体調を崩した時によく気持ち悪くなっていた僕

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【エッセイ】桜見てひまわり思う

【エッセイ】桜見てひまわり思う

雪国というほど近年は雪が降り積もらなくなった石川県ではあるが年間降水量も上位で日照時間は下位なのは今も健在の地に住んでいるから冬は西高東低に従ってこもることが標準デフォルトと刷り込まれている。
もし、この概念が元からなかったとして例えば湘南に生まれていたら風は冷たくても空が青くて日差しが眩しければ防寒対策ばっちりで外へ軽やかに出歩く感覚を僕は持っていただろうか。

そんなことはわからない。
もしも

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【エッセイ】読み捨てられる雑誌のように

【エッセイ】読み捨てられる雑誌のように

四月はちょっぴりセンチメンタルジャーニーである。

先日、某県の某知事が新入職員たちに「毎日野菜を売ったり、牛の世話をする仕事とは違い皆さんは知性が高い」「シンクタンクだ(横文字使うな)」などと宣った。
さすがお役人。意識がお高い。次元というかステージが違う。そして職業差別を意図しての発言ではないと最後まではぐらかした。記者会見で建前は謝罪したが、それも不快な思いをされた方がいらしたらお詫びすると

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【エッセイ】レンタルビデオ屋の名犬ラッシー

【エッセイ】レンタルビデオ屋の名犬ラッシー

高校何年生だったか定かではないがティンバーランドのナイロンパーカーにユニクロのマフラーを隙間なく巻いていた寒い冬だったことは覚えている。
雪が降ってなかったからその日は自転車で通学した。五時も過ぎれば外はもうすっかり夜の色。僕は自転車のライトを点けていつもの道を家に向かって帰っていた。部活を終え時刻は7時も近かったと思う。
僕はほぼ毎日のようにレンタルビデオ屋へ立ち寄っていた。
朝は返却ボックスに

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【エッセイ】ストツーと半ズボン

【エッセイ】ストツーと半ズボン

昨年、レスリングの吉田沙保里さんが春麗(チュンリー)のコスプレでストリートファイターのCMに出ていた。
ストリートファイターももうⅥ(シックス)なのだなーと画面に釘付けになった。
驚いたのはシリーズの数字だけではなくチュンリーとスマホで入力したら春麗と変換候補で出たこともそうだ。
今当然のようにストリートファイターだの春麗だのと並べているが知らない人にはなんのこっちゃな話である。
遅ればせながら、

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