花粉症の治療で、多糖類の「マンナン」で原因たんぱく質を包むことで副作用軽減!
こんにちは、翼祈(たすき)です。
2024年2月は、季節的には冬なのに暖冬で、気温が20℃を超える日もあって、5月上旬並みの気温を記録するなど、暖かい日が続いていますね。
私も病気の関係で寒がりですが、今年は寒いより、暖かいと言った日の方が多いです。
花粉症の本格的なシーズン到来を前に、2024年1月24日、1月25日、お子さんを持つ7131人の親御さんに、ロート製薬がインターネット調査を行いました。0~16歳のお子さんの42.6%、小学生ではほぼ半数が花粉症だと実感しています。0~16歳では10年前からおよそ10ポイント上昇し、勉強に集中できないといった日常生活への影響もきたしています。
21.8%が病院を受診すると花粉症の診断を受けたと答え、症状などを踏まえて「多分私は花粉症だと思います」とする回答も20.8%寄せられました。
専門家はお子さんの生活環境の変化に加え、親御さんの花粉症発症率の高さも要因の1つだと危惧しています。
この様に多くの人にとって現代病である花粉症ですが、2023年と2024年に最新の研究成果が発表されました。今回はこの研究成果2つを発信します。
花粉症の症状がすぐ眼に来るのは、「杯細胞」と呼ばれる細胞のせい?
粘膜に守られているはずの眼に花粉症の症状がすぐ来るのは、眼の表面にある「杯細胞」と呼ばれている細胞が花粉の殻に過敏に反応し、大量の原因物質を素早く取り込んで、免疫細胞まで送り出す特殊なメカニズムが原因だと推定されることを順天堂大学の研究グループが、花粉を殻と中の原因物質に分類しました。
その上で、マウスの眼に殻と原因物質の両方を付着させ、その過剰反応を顕微鏡で詳細に観察したマウスを使用した実験で解明し、このメカニズムをさらに詳細に解析することで、花粉症の新しい治療法の開発に結び付く研究成果として注目を集めています。
花粉症は、花粉の殻の中に存在するアレルギーの原因物質が身体の中に取り込まれることで発症しますが、粘膜に守られているはずの眼の表面から身体内に取り込まれる詳細なメカニズムは解明されていませんでした。
その反面、原因物質だけをマウスの眼に付着させても身体内には取り込まれることはほぼありませんでした。
順天堂大学の研究グループでは、花粉に触れるとすぐに花粉症の症状が出現するのは、この様なメカニズムが働いているためだと想定しています。
参考:“花粉症の症状 目にすぐ出る原因に特殊メカニズム” 順天堂大 NHK NEWS WEB(2023年)
順天堂大学の安藤智暁准教授らの研究グループのこの研究成果は、国際的な学術誌にて掲載されました。
多糖類の「マンナン」で原因たんぱく質を包むことで花粉症の治療での副作用軽減
花粉症などのアレルギーの治療に伴って起きる副作用を大幅に軽減する手段を開発したと、九州大学大学院などの研究チームが明らかにしました。花粉症のアレルギーの原因たんぱく質を特殊な多糖類の膜「マンナン」で包んで飲むことで、免疫細胞の“防衛”を上手にかわして副作用を予防します。
長い間花粉症などの治療には、点鼻薬などで症状を抑制する対症療法が行われてきました。2010年頃には、原因たんぱく質を少量ずつ飲んで、身体を慣れさせる免疫療法が実用化されました。身体内に侵入した異物の情報を「学習」する樹状細胞が、原因たんぱく質を繰り返し摂取する中でアレルギーを根治するもので、2014年には花粉症の薬剤が保険適用になりました。
ですが、原因たんぱく質は微量でも免疫細胞を刺激し、舌下で飲み込む場合なら、喉のかゆみや腫れなどの副作用を招く可能性があります。そのことで、副作用のキツさから、免疫療法の治療を途中で諦める事案も多いとされます。
九州大学大学院と九州大学病院、慶応義塾大学で構成された研究チームは、免疫細胞を刺激することなく、原因たんぱく質を飲める手段を模索していました。セルロースや寒天などと同じ多糖類の「マンナン」で原因たんぱく質を包んだ直径およそ100ナノ・メートル(1ナノ・メートルは10億分の1メートル)の粒子をマウスに投与すると、副作用を引き起こさずに身体に慣れさせられたといいます。
「マンナン」は樹状細胞にくっつきやすい性質をもつ反面、免疫細胞は反応が鈍いとます。そのことで、原因たんぱく質を「マンナン」で包んで飲むと、副作用をほぼ出ずに、花粉症の治療での身体の負担が大きく軽減されます。
原因たんぱく質を効率的に飲むことができることで、花粉症の場合3年以上開発に時間のかかる治療期間を短縮できることも期待が持たれています。研究チームは2023年11月、国際電子版科学誌[Biomaterials]に論文を発表しました。10年以内の「マンナン」の実用化に向け、人での治験を行う方針だといいます。
小麦や卵などの食物アレルギーの治療にも応用できる可能性を秘めており、研究チームの中心メンバーの1人の森健・九州大学大学院工学研究院准教授は「様々なアレルギーに悩んでいる人たちに良い知らせをお届けできる様に、研究開発や治験を急ぎたいです」と説明しています。
参考:花粉症治療の副作用を大幅に軽減…原因たんぱく質を「膜」で包み服用、治療短縮も期待 読売新聞(2024年)
暖冬のために、
今年は2月の上旬くらいから、花粉症の症状を訴え、病院を受診する人が例年以上に早いそうです。1週間で30人以上、花粉症で病院を受診するところもあったりします。
またドラッグストアなども例年以上に早く花粉症対策グッズを設置し、売れ行きも好調だそうです。
こんなにも早く花粉症の症状が出ることで、仕事や勉強においてもパフォーマンス力も下がりますし、受験などを控えている学生さんは、症状が出て、受験に差し支えない様に、早めに病院受診をして、花粉症対策をしている人もいます。
私自身は花粉症はありません。確かに「目が乾いてるな」とは思いますが、それは仕事でパソコンを使うからでしょうし、目がかゆいわけでもないので違います。
後私は昔からインドア派で、予定のない日はずっと家から一歩も出ない日も多いので、それが花粉に直接触れないことにも繋がっていると思います。
今は仕事に行く以外、スケジュール表は空欄なので、家でまったりと過ごしています。
ですが、多くの人は、仕事や学校などで、全く家を出ないということはできません。この時期のニュースでは多くの番組で花粉症のことを取り上げますし、冒頭のデータから観ても、花粉症は深刻な現代病だといえます。
花粉をほとんど出さない「少花粉スギ(無花粉スギ)」に植え替える取り組みを10年以上前から始めている県もあります。
このまま暖冬が進むと、並行して花粉症を発症する人も増えてくると思います。早期に花粉症の症状を抑え込む、画期的な効果のあるものが開発されることが、喫緊の課題だと思いますー。
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