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エアコンを1番強にしても、気温が下がらない学校。原因は、天井に「断熱材」のない教室だった!?

こんにちは、翼祈(たすき)です。

2023年9月17日、新潟県で37.1℃を記録するなど、まだまだ残暑の厳しい、観測史上最も暑く、スーパーエルニーニョ現象で「地球沸騰化」とまで言われている、2023年。

今年はまだまだ帽子や日傘などが手放せないほど、暑いですね...。

子ども達は新学期を迎えていますが、今学校では気温が高すぎる原因に、あることが絡んでいました。

今回は今学校現場を悩ませる、ある暑さトラブルについて考えていきたいと思います。

「断熱材」があるだけで、気温の差がこんなにもあると分かる実験も紹介

残暑が厳し過ぎて「エアコンが効かない」という悲痛な声が、学校現場から多く上がっています。エアコンを低めの設定温度に付けているのに教室の気温が30℃近いままだった学校もありました。対策をしていない教室の「断熱」の性能が低いために、厳しい夏の暑さが直に教室へと伝わってきてしまうからでした。

強い危機感を抱いた日本各地の市民ボランティアなどが、冷房の効きを高める「断熱」の改修工事を少しずつ学校の教室で進行させていますが、限界が露呈しています。

「断熱」って、そもそもどれ位の効果を発揮するのでしょうか?そんな疑問を解決する実験が2023年8月下旬、さいたま市立大宮小学校でのワークショップの中で開催されました。

「断熱材」の1種グラスウールを150℃のホットプレートに載せる実験では、ワークショップに参加した子ども達が手をホットプレートに近づけました。すると、「全然熱くない!」と、驚きの声が上がりました。

「断熱材」があると、外の気温の熱は伝わりにくくなります。教室の壁や天井に「断熱材」を入れると、夏場は屋外の暑さが室内に入りにくく、涼しさを維持できます。冬場は、部屋の暖かさを維持できます。

ワークショップの主催はNPO法人[環境ネットワーク埼玉]でした。さいたま市立大宮小学校のワークショップの会場には、さいたま市内の別の小学校の校長も参加していました。「1℃、2℃でも子ども達のために、教室の温度を下げたくてワークショップに参加しました」と述べました。

熱心にワークショップの中で見ていたのは、ホームセンターで安く手に入る材料で遮光パネルを手作りする作業風景でした。自身が赴任する小学校の校舎には「断熱材」の改修工事をする予定はないとし、「とにかく教室でエアコンが効かないです。子ども達が暑さに耐えて我慢しているのが可哀想に思って…」と語りました。

建物の「断熱」に詳しい前真之東京大学准教授によりますと、学校の教室の中で暑さが特に厳しいのは、屋上の熱が直に伝わる最上階の教室だといいます。

真夏日に計測した教室では、低めの設定温度でエアコンを付けていても教室の室温は30℃超えからほとんど下がらず、時間がある程度経過してエアコンから吹き出す冷気がおよそ10℃にまで下がっても結局、教室の室温は28℃以下にはなりませんでした。

猛暑日には「断熱材」がないことで、学校の教室の天井の温度が40℃を超過し、頭に直に熱せられる様な過酷な環境だといいます。

参考:教室が暑すぎる!「エアコン最強でも汗だく」その理由は頭の上に…文科省は「補助メニュー」があると言うけど 東京新聞(2023年)

最上階の教室の壁や天井板をはがして「断熱材」を差し込み、窓に太陽光を反射させるパネルを設置した結果、教室の室温は「断熱材」を入れる前とでは5~6℃下がりました。

断熱材」の差し込んだ改修工事をした後の子ども達へのアンケート調査では「涼しくて授業に集中できる様になりました」「以前は『モワッ』と暑い教室でしたが、『断熱材』を差し込む改修工事をした後は、教室内は『キーン』と冷えている感じです」などの声が届きました。

「断熱」の改修工事によって教室の温度が屋外の暑さ・寒さに影響されづらくなれば、冷暖房費の節約に繋がります。建物の「断熱」に詳しい前東京大学准教授は「『断熱』の改修工事を行うことで、教室は快適さを維持し、エアコンの電気代も抑えられます」と強く主張しました。


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