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正しい答えを導く間違った前提:逆説と反証の役割と重要性

『世の中には二種類の人間がいる。私の文章を理解できる人間と、理解できない人間だ』というと、物事を深く考えない人は、『確かに二つに分かれますね』と納得してしまうかもしれません。この手法は #ひろゆき がよく使う #レトリック #小学生ならこのレトリックに引っ掛かってしまう ため、この幼稚な考え方が社会問題となっています。

 このように複雑な問題を二元論の前提条件で考える間違いとして、『いやいや、世の中そんなに単純ではないでしょう。半分くらい理解できる人や、ほとんど理解できない人や、ほぼ理解している人もいるはずです。その前提条件自体がおかしいでしょう。そもそも論として、あなたの理解の定義は何ですか?』と補足説明が入ると、小学生でも『あれっ? 確かに二つには分かれない』と気付くものです。

#哲学 #応用倫理学 #法学 #論理学 #数学 などでは、間違った前提から間違った結論を提示し、その間違った結論を指摘することにより、正しい答えを導く手法として逆説(パラドックス)や反証といった方法があります。

逆説(パラドックス): 逆説的な命題や状況を提示し、それを考えることで、通常は考え難い、或いは直感に反するような真理や原理に気付かせる手法です。私の文章には『科学が正しいとは限らない証拠です。逆説的には科学が正しいからこそ、科学的な間違いを発見することができた証拠とも言えます』のような逆説的な説明が多いので #パラドックス #ジレンマ 問題に慣れていない人は、混乱するかもしれません。しかし、AI倫理を考えるうえでは、パラドックスやジレンマ問題は避けて通れないので、AI倫理を理解するためには必須の基礎知識です。

反証(refutation): #REFUTATION と書いて #レェフュゥテェィシャン (ヌ) と読むは、反証、反論、抗弁、論駁、反証事実などを意味し、語源は #ラテン語 の"refutare"(反駁する、否定する)に由来します。

 法学や論理学、科学哲学でよく使われる手法であり、ある命題や理論の誤りを示すために、その命題や理論から論理的に導かれる結果を示し、それが誤りであることを指摘することで、その命題や理論の信憑性を否定する方法です。

 これらの方法は間違った前提や結論から正しい答えを導くための有用な手法として、哲学や法学、論理学、数学など様々な分野で用いられています。この方法によって既存の理論に対して健全な検証が行われ、進化や進歩がもたらされることで、新しい知識や理論の発展に寄与しています。

 具体的には以下のような分野で、#逆説#反証が頻繁に用いられています。

哲学:哲学的な問いや命題に対する新しい視点や理論を提供するために逆説や反証が用いられます。最も有名な逆説は #ラッセルのパラドックス #カントールの定理 です。これらの逆説は、当時の哲学の一般的な考え方に疑問を投げかけ、新しい理論の発展につながりました。

法学:法廷での議論では、反証を用いて相手方の主張を 『 #はい論破』 することが一般的です。法学を勉強していなくても、法廷ドラマや法廷ミステリーなどで、検察官の主張に対して弁護士が異議を唱え、検察官の間違いを指摘し、被告人の無罪を#立証するシーンを観たことがあると思います。

論理学:ゲーデルの不完全性定理 は、逆説的な性質を持つため、論理学の分野では特に重要です。この定理は、ある数学的体系がその体系自身の中で完全で自己証明できることはないと示しました。これは、論理学や数学の基礎に関連した深い問題を示すもので、今日でも多くの議論を呼び起こしていますが、コンピュータサイエンスの #基礎知識 でもあります。

#ゲーデルの不完全性定理 #コンピュータサイエンスの基礎知識 とされている理由は、主に以下の通りです。

形式化と計算の限界:ゲーデルの不完全性定理は、ある数学的体系がその体系自身の中で完全で自己証明できることはないと示しました。これは、コンピュータサイエンスにおいて、ある計算体系(あるいは #プログラム #アルゴリズム )が、その体系自身で全ての問題について正確な答えを求めることはできないという #計算の限界 示唆しています『示唆しています』という表現は、まだ証明されていないかのように受け取られるかもしれないので、別のアプローチとして『無限を計算できるかどうか』を考えると、この概念が分かりやすくなるでしょう。

アルゴリズムと決定問題:ゲーデルの不完全性定理は、全ての命題についてその命題が真か偽かを決定するアルゴリズムは存在しないことを示しています。これは #アラン・チューリング #停止性問題 #ハルティング問題 と関連があり、 #コンピュータサイエンス における基本的な問題である #アルゴリズムが停止するかどうかを決定するアルゴリズムは存在しない ことを示しています。

計算理論の基礎:ゲーデルの不完全性定理は、計算理論の基礎として非常に重要です。特に計算可能性(何が計算できるか)、計算の複雑さ(計算にどれだけのリソースが必要か)、およびアルゴリズムの限界についての深い理解を提供します。

プログラムの検証:コンピュータサイエンスにおいて、プログラムの正確さを検証することは非常に重要です。しかし、ゲーデルの不完全性定理は、ある計算体系が、その体系自身で全ての問題について正確な答えを求めることはできないという、計算の限界を示しています。これは、プログラムの検証において、あるプログラムが全ての入力に対して正しい結果を出力することを確認することは不可能だということです。

 以上のように、ゲーデルの不完全性定理はコンピュータサイエンスの様々な側面に深い影響を与えており、コンピュータサイエンスの基礎知識とされています。しかし、いきなりこのような話をしても何を言っているのか分からないかもしれないので、ここでお決まりの #攻殻機動隊 からゲーデルの不完全性定理を説明します。

 前述のとおり、ゲーデルの不完全性定理を非常に簡略化して説明すると、ある数学的体系がその体系自身の中で完全で自己証明できることはないというものです。これは、コンピュータサイエンスにおいて、ある計算体系が、その体系自身で全ての問題について正確な答えを求めることはできないという、計算の限界を示唆しています。

 一方、攻殻機動隊では、人間の意識やアイデンティティが電子的に複製や転送されるというテーマが探求されています。 #ネットは広大だわ これは人間の精神や意識を完全に理解し、それをデジタルメディアに変換することが可能かどうかという問いを提起しています。

 これら二つのテーマは、どちらも#完全性#完全な理解が可能かどうかという問いを共有しています。ゲーデルの定理は数学的・論理的な視点からこの問いを探求し、攻殻機動隊は哲学的・倫理的な視点から同じ問いを探求しています。この意味でゲーデルの定理と攻殻機動隊は深層的な関連性を持っていると言えるかもしれませんが #ゴーストダビング #パペットマスター #タチコマ #ゴーストが宿る かどうかというと、これだけで、攻殻機動隊ファンには、私が何を言っているか分かるでしょう。

科学:科学的方法では、仮説が反証可能であることが求められます。これは #カール・ポパー #ジョージ・ソロス #哲学思想 に大きな影響を与えている哲学者)によって提唱された#反証可能性の原則です。科学者は新たな仮説を立て、それが観測結果や実験結果と矛盾しないかどうかを検証します。仮説が反証された場合、科学者はその仮説を修正または棄却し、新たな仮説を立てます。このプロセスは科学的知識の進歩に不可欠です。

 ちなみに、数学や哲学では、命題や理論の正しさを示すために『論理的な証明』を行います。例えば、数学では、ある定理が成り立つことを示すために、既知の命題や公理から論理的に導かれる証明を行います。哲学でも、ある理論が正しいと考えられる根拠を示すために、論理的な議論を行います。

 一方、科学や工学の分野では、#証明ではなく、#実証が重視されます。科学では、ある仮説が正しいと考えられる根拠を示すために、実験や観測を行います。そして、その結果から、仮説の正しさを評価します。工学でも、ある技術が機能することを#検証するために、実験や #シミュレーション を行います。

 このように、数学や哲学では『 #論理的な証明 』が重視されるのに対し、科学や工学では#実験や観測による実証が重視されます。これは、数学や哲学が抽象的な命題や理論について議論するのに対し、科学や工学が現実の現象や技術について議論するためです。

 このように逆説や反証の手法は様々な分野で用いられ、新しい視点や理論、洞察を提供するための重要な手法となっています。

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