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*追憶*

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私の過去。ノンフィクション。重たい内容多めです。気をつけてお読みください˚✩*
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#追憶

心失すとき(4)

心失すとき(4)

実家へ着くと人がいるにも関わらず

冷たい空気の流れる静かな空間となっていた

泣き声も聞こえない
物音もしない

ただ静かな空間

私と娘は2人で普段と変わらないように
何事も無かったかのように話をして
父も妹も妹の子供も食べたくないという買ってきたお弁当を
普段通りに食べた

よく似るものだ

こういう時に明るくしなくてはいけない
暗くしたくない

そう娘も思い
その結果の行動だろう

それを

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心失すとき(3)

心失すとき(3)

警察が来た

病院以外で倒れて亡くなった場合
事件性を疑い、捜査が必要なのだと言う

『ご遺体を預からせてもらえますか』

聞けば捜査をして、母が家に帰れるのは翌日の日中もしくは夕方だという

『今日中に帰してください』

それは難しいと言う警察

そんな時間まで一人ぼっちにさせるのか?
寂しがり屋で、誰かといないと不安になる
一人をとにかく嫌がった母を
そんな時間まで晒されるのを

私は承諾する

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私と、母という人 (4)

私と、母という人 (4)

今になって

彼女がとってきた言動がわかるような気がしてならない

病気である私の症状によるものにとても近いものがあるから

その頃に気づくことはもちろんできなかったが

*
大人になった「私」
病気と診断された「私」

その「私」の隣にいる「母」

気分の波にのみ込まれ苦しむ「私」

誰よりも必死に私がよくなるようにと
動いてくれたのは「母」だった

「鬱病」と診断され服薬するも
全く改善されな

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私と、母という人 (3)

私と、母という人 (3)

私は彼女にとって「言うことを聞かない子」だったらしい

もちろん私にはそのつもりはない

「私」はよく考えてしまう子供だった
それは自分のことでもそうだったし
親に言われたことに対してもそうだった

ゆっくり考えて、理解して、それから返事をしたし行動した

それが彼女には待てなかったのかもしれない

『どうするの!』
『わかった!?』

そう聞かれて、なにか考える前に
『やる!』
『わかった!』

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私と、母という人 (2)

私と、母という人 (2)

*
気分を害してしまうかもしれない内容が含まれます
精神疾患や異常性などに偏見を持たれる方はご遠慮ください

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母はとても不安定な人だった

それはもしかすると

私と同じ病気だったのかもしれない

今さらながら
そんなふうに思えるようになった

彼女との関わりの記憶は少ない

写真を見ると思い出せることもある
それは「思い出せる」という

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私と、母という人 (1)

私と、母という人 (1)

母のことについて書こうと思う

そう思って幼い頃から見てきていたはずの母を思い出そうとして

衝撃的なことに気づいてしまった

私の子供の頃の記憶に、私のほうを向いている母の顔がない
いや、現実には必ずあったはずなのに
それを思い出すことができなかったのだ

私の記憶にある「母の顔」

それはアルバムの中の「母の顔」だった

それに気づいた時、私の胸は締め付けられ、自然と涙がこぼれ落ちていた

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記憶のない結婚(2)

記憶のない結婚(2)

『仲良くやっていこう』

婚姻届を出した彼は、笑顔でそんなようなことを言っていた

頭の中でひとり事を呟くことだけが、唯一私に与えられた自由だったので
『嫌だ』『たすけて』
そんなような、言葉に発することができない思いを頭の中でつぶやき、頭痛と吐き気を抑えながら笑顔を作った記憶がある

その日の記憶はそれだけ
その後何をしたかの記憶は一切ない

この結婚生活で記憶に残っているものはほとんどない

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記憶のない結婚(1)

記憶のない結婚(1)

本来なら書く事すら躊躇わなければならないだろうことを悩んだ末に書いてみる

私は結婚を2回経験している
今はシングルなので離婚経験も2回
1回目についてはいつか書けるかもしれないけど、今はまだそこに向き合う強さが足りない

子供の頃から今の病気であったとは思うが、診断されたのは大人になってから
初めて病院にかかったのが1回目の離婚の後

このあたりからの記憶がほぼ抜け落ちている

2回目の結婚相手

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