死ぬことすらできない辛さ 6 〜寝ていられない〜
脚と腕が動かない状態でも電動車椅子ならレバーを指先で操作すれば移動は出来る。
しかし、人が多い所では細かい操作や急に止まることが難しいため、夫に介助してもらいながらの移動となる。
一緒にスーパーなどへ買い物に行っていたが、通路が狭いためショッピングモールやコストコなどの広い場所へよく行くようになった。
前に話した欲しいものを買ってくれる話には実は裏がある。
近所に大型ショッピングモールなどはない。
車で1時間以上かかる距離。
その日見て欲しくなり、やっぱりいらないと諦める。そのままいらないの状態で居ればよいのだが、帰ってから欲しくなることがたまにある。
自分では買いに行けない。
一緒に行くのも大変。
仕事から帰って来た夫にやっぱり欲しくなったから今すぐ買って来てと催促する。
売り切れては困るため最速で。
帰って来るのは早くても19時。車で1時間以上運転してもお店はまだやっている。
購入できれば良いけど、時には売れてしまっている時もある。
店員に在庫があるか確認しても、なければ諦めて帰らざるを得ない。しかし、その説明を聞いても「 ちゃんと探したのか。欲しかったのに 」と何度も責めるように質問する。
そうならないように『 欲しければ買う 』のルールが生まれた。(夫談)
突然ですが、脚と腕を使わないで寝返り出来ますか?
心変わりではなく、身体の向きを変えることです。
人は座っていたり寝ている時に無意識に身体を動かしています。
同じ姿勢で居続けると褥瘡[ じょくそう( 床ずれ )]が出来てしまいます。
褥瘡が出来ないように身体を動かして血流を良くしたり、圧力を取り除きます。
では、もう一度伺います。
脚と腕を使わずに寝返りできますか?
寝返りが出来なければ誰かにやってもらうしかない。
では、誰に?
昼間はヘルパーがいるのでお願いする。
では、夜は?
夫しかいないため夫にお願いするしかない。
同じ姿勢で居られる時間はそう長くはない。
そのため何度も起こして向きを変えてもらう。
最低1時間は同じ姿勢でいるけど、痩せているため骨が当たる所はすぐ痛くなる。
それを我慢しながら時間が経つのを待つ。
次の日が休みなら良いけど仕事だと躊躇ってしまう。
お互いに辛い思いをしなくていいように考えた結果、音声で向きを変えられるベッドを購入することに。
「 右に寝返り 」で右向きに
「 元に戻る 」でフラット( 平らな状態 )になる。
右向きにしてもらうのは介助で。
上向きになるのは音声で。
これで夫の睡眠時間を多少は確保することに成功した。
ん?右向きをなぜ音声か?
それは自動では安楽な姿勢にならず、逆に苦痛を感じるからである。
23時におやすみなさいをしてもすぐに痛みで目が覚める。
1時には夫を起こして右向きにしてもらう。
酔いも手伝い気持ち良く寝ているところを起こされて、介助をしなければならないのだから不機嫌な様子が伺えるのは毎度のこと。
でも、同じ姿勢で長くは居られないのだから仕方ない。
エアーマットはふわふわしているため酔ってしまうので、普通のマットレスに毛布などを敷いてクッション性を高めている。
それでも2時間も同じ姿勢でいるのはしんどい。
右向きにしてもらって3時近くまで耐え、音声で上向に。
きちんとした姿勢にはなれないので2時間は耐えられない。
そのため4時には夫を起こしてきちんとした姿勢に整えてもらう。
この時も眠そうである。
最低2回は寝返りで起こしている。
私が夫の立場だったら完全に寝不足でやっていられないわってなると思う。
それを毎晩やってくれるのは『 使命感 』か?
『 愛 』だと思いたいけど・・・
気になる続きはこちらから。
第1話をまだ読んでない方はこちら
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