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ヤマノテ・ループ・ライン(2)
乗客2:目黒〜高田馬場レバーを静かに前に倒し、車内へと進む。
こんなに気持ちよく電車に乗り込むのは久しぶりかもしれない。
1本、場合によっては2本見送って先頭で待っていても、追い抜かれたり反対側で待つ乗客に遮られて乗るのに難儀することの方が多く、そんな時は駅員のサポートを頼まなかったのを少しだけ後悔するものだ。
しかし、今日は降りて来た青年が盾となるように道を開けてくれた。
おかげでスムー
ヤマノテ・ループ・ライン(3)
乗客3:新宿〜駒込こんなに疲れちゃったのはいつ以来かしら?
お店上がってから休憩室で寝かせてもらうこと自体が珍しいのに、こんなに陽が高くなるまで寝ちゃうなんて。
さすがにヒゲが伸びちゃったわ。
好奇の目を向けられるのにもだいぶ慣れちゃって、それがいいことなのか、悲しいことなのか、よくわからない。
でも、ラッシュの終わり頃に乗るよりも空いているからか、あまり視線なんかは気にならない。
ホー
ヤマノテ・ループ・ライン(4)
乗客4:池袋〜日暮里電車好きで助かるのは、電車でお出かけを厭わないこと。
電車好きで困るのは、電車でお出かけに異常にも思える興奮を見せること。
パパ友にそれをグチったら、
「うちのは電車とか乗り物嫌いで、ちょっと乗ったら飽きてグズって大変だから、電車好きの方がいいよ」
とたしなめられた。
それでも、あまりの興奮に大騒ぎするので、周りの目が気になることもしばしばだ。
池袋のデパートで北海
ヤマノテ・ループ・ライン(5)
乗客5:大塚〜東京山手線の改札を通り、まずはトイレでいつもの点眼をした。
鏡を見ながら、目薬がこぼれないよう、タオルで閉じない瞼を押さえる。
目薬をしまい、タオルをしまい、指でほんの少し口元を微笑ませて元に戻す。
自分が周りの人と違うと気付いたのは、幼稚園の年中くらいだった。
周りの人にある表情というものが、自分にないと認識できたのがこの頃だった。
家の洗面台で自分の顔に触れながら、そし