マガジンのカバー画像

花と私

17
花にまつわるエッセイについて💐
運営しているクリエイター

#つぶやき

天界に咲く花の託け

天界に咲く花の託け

「悲しい思い出」「あきらめ」「独立」「情熱」
これは彼岸花の花言葉である。
墓地の近くに群れて咲く赤い姿が印象的で、ひんやりした秋の訪れを感じさせる。
その凛とした姿は心の奥をざわつかせる妙な妖艶さがあり、怖いイメージがつきものだ。
しかし、よく見るとすらりとした一本の茎に真っ赤な細い花びらがきらきらと揺れて光る素敵な花でもある。
コンクリートとアスファルトに固められた都会じゃ見ることができないレ

もっとみる
街には恋が愛に変わりそうな秋の香りが漂っていた。

街には恋が愛に変わりそうな秋の香りが漂っていた。

2021年9月11日 土曜日
研修だというのにしっかり寝坊してしまった。
まぁガンダしたおかげで電車に間に合ったからよしとしよう。
食卓にあった風呂敷まんじゅうと昨日私が夕飯で残したゆで卵だけでよくもあんなに走れたもんだ。
朝から走れる体力があることに感謝。
あと発達した交通網に感謝だな。
走っていたら今日はなんだか金木犀の香りがした。
金木犀の木を探している暇なんてもちろん無かったけど、帰り道に

もっとみる
あったかいのに悲しい、そんな夢の話

あったかいのに悲しい、そんな夢の話

起きたら病院のベッドだった。
真っ白な天井と壁、冷たいシーツに横になっていた。
看護婦さんらしき人がやってきて「体調はどうですか?」なんて穏やかに尋ねてくるから、一体どうしたことかと不思議に思った。
考えても状況が全く読み込めない。
朝からずっと体調が悪かったから横になって休んでいた。
いつの間にか泥のように深いところに沈んでいくような眠りについていたのだろう。

夢だと気づいてからはその世界をみ

もっとみる
蒼いいのち、ネモフィラ

蒼いいのち、ネモフィラ

「どこでも成功」「可憐」

これはネモフィラの花言葉である。

さわやかな青色で小さな花が一面に広がる光景は優しい海を連想させて清々しい気持ちになる。

赤ちゃんの小さな手のひらでもそっと包み込めそうな花に、誰からも愛される理由がなんとなく分かる気がする。

小学生が遠足に行く前日になかなか眠れない現象が数億年ぶりに私の元にやってきた。

ずっと行きたかった花の国に足を運ぶときが来たのだ。

花の

もっとみる