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蒼いいのち、ネモフィラ


「どこでも成功」「可憐」


これはネモフィラの花言葉である。

さわやかな青色で小さな花が一面に広がる光景は優しい海を連想させて清々しい気持ちになる。

赤ちゃんの小さな手のひらでもそっと包み込めそうな花に、誰からも愛される理由がなんとなく分かる気がする。


小学生が遠足に行く前日になかなか眠れない現象が数億年ぶりに私の元にやってきた。

ずっと行きたかった花の国に足を運ぶときが来たのだ。

花の開花シーズンは逃すと一年待たなければいけないから、機会を伺うのはなかなか難しい。

大学4年生になるとゼミ以外に授業がほとんどないため、土日の人混みを避けて平日にお出かけができるのが嬉しい特権。

明日は何を着ていこうかと迷ったけど、お目当てのネモフィラと同じ蒼いスカートを纏った。

園内マップやレストランのメニューを眺めてワクワクする気持ちにときめきを感じた。



「今日の万歩計は何歩かな?」

最近のお出かけでは万歩計の数字を予想して結果を見るのがちょっとした私のお気に入り。

今日は18000歩くらいかなぁって2人で予想した。

てくてく歩いて園内を巡った。

ポピーの花はおっとりさんで、満開の見頃には早すぎたのがちょっと残念だった。

それでもぽつりぽつりと花を開かせたかわいこさんたちには癒された。

そしてネモフィラの花とようやくご対面できて、ふわっとした柔らかい気持ちに触れた。


ここ最近の私は嫌なことも多く、気持ちが塞ぎ込みがちだった。

やりたくないことや、言われたくないことばかりに追い詰められてライフゼロの瀕死状態だった。

だけど、こんなに小さな花も大地に根をのびのびと張って美しい花を咲かせて生きていると思ったら、私も負けてられないわって思えた。

「どこでも成功」のメッセージと美しく逞しい花姿に励まされた気がする。

自然の力って不思議な効力を持っているとあらためて感じた。

プラスアルファ、遊具ではしゃぐ彼をみて、いつもの学童保育アルバイトと変わらないなぁって内心に笑みがこぼれた。



歩き疲れて、遊び疲れて、ようやくふらふらと辿り着いた丘の上の小さなレストラン。

食券で頼むスタイルが学食を思い出させて、大学の友人たちとのランチタイムが恋しくなった。

彼からひとくちもらったゴジラカレーはチクチクする辛さだった。

“火を吹く辛さの“と書かれたのぼりに目もくれず、ゴジラの名前に惹かれて頼むところがまだまだ少年だった。

のんびりと窓から見える向こう岸は房総半島だった。

ここからフェリーで40分らしいけど、かっ飛ばせば20分もかからなそう。

「すぐ千葉県に行けちゃうなんて嘘みたいだね。このまま海を渡ってしまおうか」なんて、冒険心をくすぐられた。

デザートの蜂蜜パンケーキは半分こした。

花の濃い香りとひんやりとしたバニラアイスが贅沢だった。



万歩計の答え合わせは20180歩の彼と、19916歩の私。

彼の優しい気配り+家の距離=小さな幸せの264歩。

素敵な誤差だった。

よし、ライフ回復。私もまだまだ歩いていけそう。

どんな場所でも成功できると信じて自分の足で歩いていきたい。



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