マガジンのカバー画像

3 count...の仕入れ先『あちらの世界』のおはなし

90
3 count...(3カウント)は、不思議なあちらの世界から仕入れた魔法や不思議な雑貨を使うハンドメイド雑貨屋さん。 minneギャラリーで販売中。 ここでは、アクセ… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年7月の記事一覧

#17 First Perfume Bottle

#17 First Perfume Bottle

Eveの家はナチュラルテイストを通り越して
庭と一体になっているような
どこからが庭でどこからがリビングなのか
わからないようだった。

ただ、雑然としている様子ではなく
気品あふれるイングリッシュガーデンで
お茶会をしているような
可愛らしさを感じるタイプの庭だった。

好きなところへ座ってね。

と言ってEveはキッチンへ行ったので
私は部屋の中を見回しながら
白い大きな長テーブルに着いた。

もっとみる
#16 魔女の奥様Eve(イヴ)

#16 魔女の奥様Eve(イヴ)

ここがEveのお家よ。
あ、ねぇ。あれ、見てて。

Oliviaの視線の先に目をやると
垣根の隙間から
1人の婦人が3人の小さい子供たちと
楽しそうに話しているのが見えた。

婦人は一輪の薔薇のようなものを
指揮みたいに振りながら

1,2,3…と言うと、
なんと、すぐ近くの薔薇が次々と咲いた。

子供たちは喜びの声をあげ、
婦人は満足そうに笑っていた。

余談だが、実は、
ギャラリーの名前の「3

もっとみる
#15 街の建物の扉の先は…

#15 街の建物の扉の先は…

Oliviaは私を見つけて
手を振りながら駆けつけてくれた。

やっぱり!戻ってこられたのね!
よかったわ!!
あのあと、Rajeepと
きっとあなたならまた来れるだろうって
話してたの。

私なら戻れる?
戻ってこれない人もいるの…?

えぇ。
始めの一度きりで、ずっと会えない人も
少なくないわ。

とてつもない不安を覚え、
私は今度こそ、と慌てて聞いた。

ここにはどうやって来るの?
どうなっ

もっとみる
#14 あちらの世界に帰った日。

#14 あちらの世界に帰った日。

どれくらいの日が経っただろう。

日常生活を送りながらも
あちらの世界を思い出していた。

一体どうやったら
またあちらの世界に戻れるのか。

あのアンティークな扉が現れたときの状況を
自分なりに再現してみたりもした。

街を歩いている時も
おしゃれなカフェやお店の
アンティークっぽい扉を見ると
自然と目が行っていた。

不思議なのは、見てすぐに
この扉は違う。
と感じることだった。

アンティー

もっとみる
#13 夢が覚めた…?

#13 夢が覚めた…?

勘の良い方は、もうお気づきだろう。

包み込むような光が引くと
見えてきたのは自分の部屋。

クローゼットに
背を向けるようにして立っていた。

そう、私はあちらの世界へ行く前の
自分の部屋に戻ってしまったのだ。

え!?
と一歩踏み出した時、
自分の部屋に土足で居ることに気付き
慌てて靴を脱いだ。

こんな混乱する状況なのに
土足がこんなに気になるなんて
なんだか可笑しいものだが。

玄関に靴を

もっとみる
#12 光に包まれて

#12 光に包まれて

すごい綺麗な翼の飾り、買ったんだね!

店主からあの幻想的な
時の鳥の七彩の翼を受け取った時、
Rajeepが後ろから声をかけてきた。

Rajeepはいつの間にか
見えない鳥を見るのをやめていた。

うん、買っちゃった!
Rajeepはさっき見てた鳥、
飼ったりしないの?

う~ん
少しでも見えたら飼おうかなと思ったけど
やっぱり無理だった…

なるほど、と思った。
だからRajeepは難しい顔

もっとみる