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女子大生ひとり旅の記録

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東京にひとり旅に行った記録です。
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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.30〉ひとり旅、完

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.30〉ひとり旅、完

【前回の話】

あれほど輝いて見えた東京に疲れ果ててしまい、銀座から東京駅までタクシーで移動するひとり旅女。

幸せはお金じゃ買えないと言うけれど、このタクシーが幸せじゃないとしたら、幸せはこの世に存在しないのではないかと思う。

お金で幸せを買った女は東京駅の丸の内口にたどり着いた。

首からぶら下げた一眼レフで駅舎を撮る。

肉眼で見る建物はすごく良いのに、液晶に映るそれはそこまで良くなくて、

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.29〉ここは天国

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.29〉ここは天国

【前回の話】

仕方なく銀座の歩行者天国に来たひとり旅女。

ゆくあてもなく、おばあちゃんにテレビ電話をかけた。

「もしもしーどこにいるのー?」

おばあちゃんは元気だ。

「銀座の歩行者天国にいるよー」

と答えると、笑っていた。

涼しくて快適な家で笑うおばあちゃんと、5月の末とは思えない炎天下にさらされる私。

「もう疲れたから早く帰りたい」
と言うとおばあちゃんはまた笑っていた。

もう

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.28〉旅の目的を見失う

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.28〉旅の目的を見失う

【前回の話】

ついになかむたに会えたひとり旅女。

出番が終わったなかむたは三角座りで地べたに座って他の人のネタを見ていた。
笑うわけでも、拍手するわけでもなく、いかにも考え事をしているような顔をして見ていた。

73歳のおばあちゃん芸人には拍手を送っていた。

芸人・なかむたが好きだ。前に「目標は?」と聞かれて「無いんですよね」と言っていたなかむたが好きだ。目標ない芸人なんて売れなさそうすぎて

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.27〉なかむた makes me happy.

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.27〉なかむた makes me happy.

【前回の話】

目的のヨシモト∞ドームに近づいてはいるはずなのに、私の青丸は何度もピンを通り過ぎる。

行きたかった喫茶店にも、もしかして推しにも 、Googleマップにも、嫌われるひとり旅女。

ぐるぐる同じところを行き来しながら、ついにヨシモト∞ドームを発見する。ビルの7階。

エレベーターを呼ぶボタンを連打して、乗り込むや否や閉じるボタンを連打、さらに7のボタンを連打して、止まったと思うと同

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.26〉絶望の東京、旅の目的。

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.26〉絶望の東京、旅の目的。

【前回の話】

夜行バスに乗り込んだ時はいい旅になる予感がしたのに、やっぱり私が旅行するの行こうと決めていたお店が閉まっている。

神保町でモーニングを求めて彷徨う亡霊になってしまったひとり旅女。

神保町は例の推しにおすすめされた喫茶店しか調べていなかったから、どこへ行けばいいのかもわからず、ただ腹は減り、彷徨う。

しばらく彷徨っていたら、ライブに間に合わない時間になっていた。

とにかく、渋

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.25〉22歳のの修学旅行の夜

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.25〉22歳のの修学旅行の夜

【前回の話】

Aの家に着き、お風呂に入って、宴の始まりである。今日の夜はひとりではない。

「デザートを用意してます」
と謎のキャラクターを憑依させてそう言うAは両手に瓶に入ったプリンを持っていた。ここらへんでは有名なプリンらしい。

突然押しかけて迷惑かと心配していたのだが、Aもいくらか楽しみにしてくれていたのかと思うと安心した。

それからさっき買った醤油バターのポテトチップスもあるから今日

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.24〉なぎみょん。

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.24〉なぎみょん。

【前回の話】

推しにオススメされた喫茶店を目指して北千住駅を目指す私と同級生のA。

東京のよくわからない乗り換えにうんざりしていたひとり旅女は乗り換えの全てをAに任せて、Aの後を着いていく。

北千住駅に着いた。

私は歌う。

そこばかりを繰り返して。
改札は銀色じゃなかったから多分あいみょんとは違う路線を使っていたなぎみょん。

Aに「恥ずかしいから歌うのやめて」と言われたけれど、「いやだ

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.23〉日本で一番高いところにいる女になる

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.23〉日本で一番高いところにいる女になる

【前回の話】

下から見上げるスカイツリーはどこまでも続いているようで、ここを辿っていけば天まで届くのではないかと思うほどだった。

少し迷いながらエントランスに辿り着き、高校の同級生Aとふたり、天望デッキと天望回廊のセット券を購入し、エレベーターに乗る。

天望デッキは高さ350mのところにあるらしく、それはそれ高かった。

小さく東京タワーが見えた。

関東の地理に興味があると言って関東でタク

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.22〉スカツリ道中鳩ぽっぽ

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.22〉スカツリ道中鳩ぽっぽ

【前回の話】

できるだけ長い間、スカイツリーを眺めていたいという私利私欲のために歩いてスカイツリーにふたり。夜勤明けのAを振り回していると思いきや、自分が苦しむ羽目になった、ひとり旅女。

スーツケースをゴロゴロ転がして散々歩いてきた私の疲労は限界に達しかけていたのだ。Aは私を気遣って、スーツケースを持とうとしてくれていたけれど、流石の私も夜勤明けのAに(夜勤明けじゃなかったとしても)自分の荷物

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.21〉浅草、因果応報の摂理を知る。

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.21〉浅草、因果応報の摂理を知る。

【前回の話】

昨日ぶりの高校の同級生Aと浅草を観光し、あの有名な雷門をくぐり、浅草寺にお参りをして、食べ歩きをして、スカイツリーに登る予定を控えたひとり旅女。

昨日ぶりのAとの待ち合わせまでの時間を潰しがてらひとり人力車ライドをきめてしまったひとり旅女。人力車マジックにかかったのか、ハイになったままAとの待ち合わせ場所へ行く。

「久しぶりやん!高校卒業ぶり?」
昨日ぶりのAにそう声をかけると

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.20〉浅草、またひとり。そしてふたり。

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.20〉浅草、またひとり。そしてふたり。

中学の友達と、また夏頃にと約束をして別れた。そしてまたひとり、浅草に向かうひとり旅女。

昨日のタクシードライバーとスカイツリーに行く約束をしている。

と言うと運命的な出会いをしたみたいだが、高校の同級生Aと遊ぶだけだ。

月島から浅草へ行くのに、銀座で乗り換えがあるらしい。さっき一緒にもんじゃ焼きを食べた関東暦4年のBに、「銀座難しいし気をつけて」と言われたので少し緊張しながら電車に乗った。

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.19〉友達ともんじゃ焼き

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.19〉友達ともんじゃ焼き

【前回の話】

上野のゲストハウスで目覚めるひとり旅女。

雨の音が聞こえる。
体もずんと重たい。
窓の外を見ると、ザァザァと大きな音を立てて雨が降っている。かなり激しい雨だ。
せっかく東京に来たのに。

ちょっぴりしょぼくれながら、メイクをして髪の毛をセットする。

ちょっぴりしょぼくれているけれど、でも、私はウキウキしている。

インスタグラムのストーリーズに東京旅の様子を載せたのをきっかけに

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.18〉また明日、

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.18〉また明日、

【前回の話】

お客様、どちらまで?

とマニュアル通りに接客してくる、タクシードライバーになった高校の同級生Aと、ケラケラ笑うひとり旅女。

上野のゲストハウスの住所を伝えると、Aはナビに入力してタクシーを発進させた。

安全運転でどうたらこうたらと、またマニュアル通りに喋り出したので面白かった。

それからは仲のいい同級生に送る用に、Aが運転する動画を撮りながら、高校生に戻ったように喋りながら

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女子大生ひとり旅の記録〈Vol.17〉東京タワーと同級生A

女子大生ひとり旅の記録〈Vol.17〉東京タワーと同級生A

【前回の話】

明日登るスカイツリーを東京タワーから眺めるひとり旅女。

タワーは好きだけど、タワーを見るのが好きなだけで、景色を見るのはそこまで好きではなさそうな自分を知った。

自分探しに旅に出る人がいると聞くが、あながち間違っていないのかもしれないと思った。

展望デッキからメインデッキに戻り、ショップを覗く。どうせこんなところの商品は手を出すまい、と思ってショップに入った。
フィギュアと好

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