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小説

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2024年7月の記事一覧

愛した人 (短編小説 1 )

愛した人 (短編小説 1 )

#オールカテゴリ部門

その家の門の前に立つと、妙な違和感があった。
空き家にしては、そう古びた雰囲気がしない。
よく見ると、出窓にかかるレースのカーテンは真新しい白さだ。僅かに開いた窓から吹き込む風を受けて、軽やかに揺れている。

(新しい住人が住んでるのだろうか?)

その家は平屋建てで、玄関は引き戸だ。
グレーの壁は、さほど色褪せてはいない。
ふと、家屋に隣接するガレージに目を向ける。
シャ

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この世の果て(短編小説 1)

この世の果て(短編小説 1)

決行の時がやってきた。
真希は思いきり息を吸う。そして、ゆっくりと吐き出す。
深呼吸しても興奮は冷めない。
が、そそくさとベッドに入った。

スマホを手に取り、例の動画を表示する。
幽体離脱を誘導する音楽が、約8時間流れるのだ。
SNSのフォロワーさんが、幽体離脱できるという音楽を聴いてみたが、離脱はできなかったと呟いていたのを見て、興味を持ったのだ。
どんな動画なのか尋ねたら、この動画だよと教え

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この世の果て(短編小説 8)

この世の果て(短編小説 8)

《《 今までのあらすじ →3回目の幽体離脱をした真希は、海岸にひっそりと設置されていた電話ボックスで鳴り響く電話のベルに引き寄せられる。試しに電話に出てみると、津波に流され行方不明になった恋人、裕二の声が聞こえた…… 》》

       《 最終回 》

あの世とこの世の狭間。
それは、水平線の彼方にある。
以前、何かの本で読んだ記憶がある。
神秘的な作り話ね、と思ったが、あながち嘘ではないかも

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この世の果て(短編小説 7)

この世の果て(短編小説 7)

《《 今までのあらすじ →幽体離脱をした真希は、観光船の沈没事故で亡くなった女性の亡霊と知り合い、一時の友情を育んだ。その後、亡き両親や愛犬と、束の間の再会を果たした。そして、これで最後にしようと、3回目の幽体離脱をした 》》

真希は祈った。心を込めて。
女性と、沈没事故で亡くなった死者と行方不明者達の魂に向けて。
海に散った、尊い命。もっと生きたかった命。
強制的に人生が終了させられ、無念だっ

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この世の果て(短編小説 6)

この世の果て(短編小説 6)

《《 あらすじ → 真希は2度目の幽体離脱に成功した。海峡で例の女性を探していると、亡き愛犬の鳴き声が聞こえた。鳴き声に導かれるように移動したその場所は、かつて両親が住んでいた借家だった。人が住む気配を感じ、様子を伺っていると、引き戸を開けて亡き母が現われた 》》

何もないがらんどうの部屋の中で、次第に悲しみが押し寄せてくる。
昨夜の光景は幻覚か、または霊界に迷い込んだか
どちらかの可能性がある

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この世の果て(短編小説 5)

この世の果て(短編小説 5)

《《 今までのあらすじ →幽体離脱に成功した真希は、海峡で観光船の沈没事故で亡くなった女性の亡霊と出会う。翌日も会う約束をしたが、女性の亡霊は現われなかった。
ふと、亡き愛犬の鳴き声が聞こえてきた。鳴き声に誘われるように上空を移動すると、かつて亡き両親が住んでいた借家に辿り着いた 》》

「母さん……」

嬉しそうに微笑む母を見て、真希は考える。

(この状況を、どう解釈したらいいのかしら? 

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