Haniho Minase / 水無瀬 はにほ

美術の授業(架空)をつくってはこなしています。ご連絡はs08628mh@gmail.c…

Haniho Minase / 水無瀬 はにほ

美術の授業(架空)をつくってはこなしています。ご連絡はs08628mh@gmail.comまで。

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記事一覧

心を疎かにしないって、何

こころがガッチガチになっているときの対処法を、なるべくたくさん、質より量で、把握しておくのが、現代社会を生きる大切なライフハックだと思います。 情報にさらされす…

ぐっときた

夕闇に包まれて、残暑のけだるい空気から逃れて安心した、そんなとき。 息子と同い年の車がバッテリー切れを起こした。 私が車の外に立って、淡々とした気持ちで保険会社に…

夏が

すきだ。 乗り物で言えば、なんだか速い新幹線に乗っている感覚がある。毎年毎年こりずに、期間限定だなあと思える季節である。 ただ日々をすごすだけで、ひりひりと五感…

おみずと緑茶

今日も飲むよ。あなたたちを。 しばらくおみずしか飲まない偏屈さを発揮していた。 それは突然、なんの前触れもなく、やってくる、スーパーで水出し緑茶がバイヤーに推さ…

あいしてる

奥行きをかたちどり、奥行きの中を全力で生きるのは難しい。 こどもの頃はすんなりとできていたこと。 この上なく薄い空間のなかに自分を閉じ込める、いつだって深呼吸で…

自分を探しても探しても、

何かを表現したいし、なんでもいいから表現できたら、 こころが、とっても元気になることはわかっている。 なんでもやってみればいいし、なんでもダイソーに行けばわりとそ…

山小屋の妄想

頂上にある山小屋っていったらどんなん想像する?ぶっとい丸太が積み重なった、三角屋根のワンルーム。3匹のこぶたにでてきそうなやつ。そればっかり想像する。電気は通っ…

無題

来世あんたは蚊になるよ。ってなにもそこにこれといって意図はなくただ淡々と言われても、ふーん。蚊かー。あんまり早くは飛べなさそうだなあ。浮遊。って思いながら玄関の…

なんやかんや(33分探偵のやつ)

私の完璧なゆるくてたのしくて最高な妄想がこころを躍らせて、 その勢いで現実を1日生きたら、その可愛いこころがあっというまに疲弊してしまって、 妄想と現実のギャップ…

無題

tamatebako. その名も玉手箱。ときたもんだから、中から何がでてくるのやらとこころを躍らす。炊き立てのお米、雨の後の濃い緑、研いだばかりの包丁で切った青リンゴ、みつ…

マウス(not animal)ってなんて謙虚な存在

つらいつらいつらすぎる。現実を生きるのって本当に大変。 仕事を1日して帰ってきたら、もうあっというまにこころがおしまいになっていた。おしまいになるとは、使い古し…

マスターオブピース

そういえば日記をかいていたなあ。インターネットの中で。 色味ひかえめでそろえた3種類のお花。灰色がかった水色、ランドセルに貼るシールみたな模範的な黄色、そして小…

春をよぶ ささやかな声で

7年でひとの細胞はぜんぶ生まれ変わるんだよ 3年かけてまるですべすべだけれど指に心地よいマットな質感のマグカップにぬるくなった甘さひかえめのミルクティーを注いで…

ティンブクトゥ をよみました

ウィリーとミスター・ボーンズ。 詩人と老いぼれ犬。ひとりと1匹。 誰かと誰か、何かと誰か、何かと何か……物語のなかで展開される1対1の関係性、にともなう奥深さやキ…

心を疎かにしないって、何

こころがガッチガチになっているときの対処法を、なるべくたくさん、質より量で、把握しておくのが、現代社会を生きる大切なライフハックだと思います。
情報にさらされすぎて、自分の心が動かなくなってしまうときがある、情報処理能力が速い人間が羨ましい。
いちいちこころが追いつけなくなるんだよ。
新しいコンテンツに触れる機会はいくらでもある今、本当に心震えたものがいくつあるかな。
がちがちになっていなきゃ、奥

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ぐっときた

夕闇に包まれて、残暑のけだるい空気から逃れて安心した、そんなとき。
息子と同い年の車がバッテリー切れを起こした。
私が車の外に立って、淡々とした気持ちで保険会社に電話している最中、息子は少しわくわくとした様子でチャイルドシートから降りてきた。
非日常に興奮したのだろうか。
そう思いながら、3分ほどして繋がったオペレーターの方と話していると、隣から大泣きする声。
息子が、車の前方ライトにもたれてわん

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夏が

すきだ。

乗り物で言えば、なんだか速い新幹線に乗っている感覚がある。毎年毎年こりずに、期間限定だなあと思える季節である。
ただ日々をすごすだけで、ひりひりと五感が刺激されるからだろう。
目の端っこに刺さる温度をもった光
冷房からでてくる風のいきおいに少し危機感を感じるとき
肌にまとわりついて、見えないのに見えるかのように濃い湿気
日中のもうやってられないと諦めるくらいの暑さを超えて生き延びたあと

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おみずと緑茶

おみずと緑茶

今日も飲むよ。あなたたちを。

しばらくおみずしか飲まない偏屈さを発揮していた。

それは突然、なんの前触れもなく、やってくる、スーパーで水出し緑茶がバイヤーに推されていて、これみよがしにずらっと並んでいた。単純な私は冷蔵庫に眠らせるお茶のポットを恋しく思った。
5年くらい使っていなかったんじゃない?
記憶力がむだに良い私よりも、悪いことはすぐ忘れちゃう夫のほうが、知っていることがある。お茶のポッ

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あいしてる

奥行きをかたちどり、奥行きの中を全力で生きるのは難しい。
こどもの頃はすんなりとできていたこと。

この上なく薄い空間のなかに自分を閉じ込める、いつだって深呼吸できることさえ忘れて、知っている味のガムをひたすら噛み続けている。変だ。いつからこんな変なことなった?

宝石を早く、早くみつけて、わたしにちょうだい。
私は今を生きすぎて、留めることが苦手すぎる、どんどんとこぼれていく、反応しか残らない。

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自分を探しても探しても、

何かを表現したいし、なんでもいいから表現できたら、
こころが、とっても元気になることはわかっている。
なんでもやってみればいいし、なんでもダイソーに行けばわりとそろう。
でもいざ、やろうとすると、何もでてこないし、何も浮かばない。そんなもんだ。

表現しないと生きていけない。ってほどではないんだ。そういうひともたくさんいると思うけれど私はそうでもない。
だからといって、それをしないで一生を終えると

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山小屋の妄想

頂上にある山小屋っていったらどんなん想像する?ぶっとい丸太が積み重なった、三角屋根のワンルーム。3匹のこぶたにでてきそうなやつ。そればっかり想像する。電気は通ってなくて天井近くに錆びたランタンがかかっていて、入り口のちょうど裏側に井戸があるから水はそこからくんでくる。

って生まれてから今まで当たり前みたいに思っていたけれど、山に登ってわざわざ行きたくなるような山小屋を想像してみよう。

まずソフ

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無題

来世あんたは蚊になるよ。ってなにもそこにこれといって意図はなくただ淡々と言われても、ふーん。蚊かー。あんまり早くは飛べなさそうだなあ。浮遊。って思いながら玄関のドアを閉じて、靴をぬいだ。お気に入りの革靴だから、ささっと玄関の棚に置いてある小さなブラシで撫でてから部屋にはいった。それさえもちいさなライムの習慣でそこに意図はない。

ライムの得意なこと、それは、歯磨きをしながらあたまの中まできれいにす

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なんやかんや(33分探偵のやつ)

私の完璧なゆるくてたのしくて最高な妄想がこころを躍らせて、
その勢いで現実を1日生きたら、その可愛いこころがあっというまに疲弊してしまって、
妄想と現実のギャップを受け入れられず丸1.5日ふさぎこんでいた。

けれどもう34年生きてる。そのまま現実逃避しつづけることを選ばなかった。アコースティックギターがあってよかった。今年の3月だった。初めてギターを触ったのは。そのときの詳細をもうあまり思い出す

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無題

tamatebako. その名も玉手箱。ときたもんだから、中から何がでてくるのやらとこころを躍らす。炊き立てのお米、雨の後の濃い緑、研いだばかりの包丁で切った青リンゴ、みつばちがせっせとみつを調達しにいく場所にうわっと集まる三つ葉の群れ、でっかい竹炭がすっきりさせた冷蔵庫の3段目、7時から9時半までだらっとちゃっかり太陽から栄養をもらったタオル、いろんないろんなにおいが詰まっている。丁寧に絹が張ら

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マウス(not animal)ってなんて謙虚な存在

つらいつらいつらすぎる。現実を生きるのって本当に大変。
仕事を1日して帰ってきたら、もうあっというまにこころがおしまいになっていた。おしまいになるとは、使い古してぼろぼろになりもう捨てられる目前のぼろ雑巾のようになること。
別に過度な労働をしいられているわけではない。
私が今選んでいる仕事とは、ひたすら現実をかたどっていくようなもの。受け手には、「ひとつしかない正解」や「緻密さ」を届ける。空想の世

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マスターオブピース

そういえば日記をかいていたなあ。インターネットの中で。
色味ひかえめでそろえた3種類のお花。灰色がかった水色、ランドセルに貼るシールみたな模範的な黄色、そして小さな花びらが散らばったかすみ草。

窓辺にかざったその花たちに、4歳の息子はすぐ気が付く。ああ豊かだなあと思う。気づいてほしくて飾ったわけではないのだそれはもちろんのこと。お花を持ち帰りたくなった余裕があっただけのこと。それでも生けたことに

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春をよぶ ささやかな声で

7年でひとの細胞はぜんぶ生まれ変わるんだよ
3年かけてまるですべすべだけれど指に心地よいマットな質感のマグカップにぬるくなった甘さひかえめのミルクティーを注いで飲んでいるときのような安心、みたいな関係を築いた友人が教えてくれた。

うん、別のにんげんだ。まったく入れ替わっている。細胞からすべて。

だからあえてまた、書き始めることに決めた。

うっすらと、私と世界のあいだに確実にあった膜は、いつの

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ティンブクトゥ をよみました

ウィリーとミスター・ボーンズ。

詩人と老いぼれ犬。ひとりと1匹。

誰かと誰か、何かと誰か、何かと何か……物語のなかで展開される1対1の関係性、にともなう奥深さやキテレツさや圧倒的な愛の量などの描写が私はすきなのだが、この関係は、キテレツさ故に愛が際立っていた。こんなペアに出会ったのは初めてです。

ティンブクトゥ Paul Auster

以下ネタバレ有りの短き感想です。

詩人であり、とりま

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